中年研究員と中年魔導師
あるいみザコ3部作の主役な人がでます
side イ・コージ
図書館を出て実家へ着く頃には日暮れ間近となっていました。
「コージおじさんお帰り。ガイストルビーの事、何か分かったの?」
キャロルのお帰りなさいには本当に癒されますよ。
いつか養子縁組みをして一緒に暮らしたい位です。
「とりあえず明日はブラングルの近くにある惑わしの森に行ってみようと思います。早朝に出ても帰りは遅くなると思いますからデュクセンで一泊する予定です」
side キャロル
パパの言葉を聞いた瞬間、女の勘+娘の勘が危険を告げてきた。
「私も一緒に行っていいかな?魔術関連の史跡を見学するのも大事な勉強になるし」
パパとリアさんだけが行ったら大変な目に会う予感がする。
次の日、朝早くに起きておばさんとリアさんと一緒にお弁当作り。
リアさんはおばさんに気に入られた様で一安心。
ブラングルへは乗り合い馬車を乗り継いで昼頃に到着出来た。
「パパ、惑わしの森は近いの?」
周りに人がいないのを確認して呼び方をおじさんからパパに戻す。
「歩いて30分も掛からないみたいですよ」
パパの後に着いて惑わしの森に突入、少し歩くと突然開けた場所に出たんだけれども。
なに、これ…。
私達の前に現れたのはレモン色のスーツを来た中年男性。
その後ろには巨大な塔、そして"ようこそイ・コージ御一行様 美しきカリスマ魔導師ロッキさん"と書かれた横断幕があったの。
「ようこそ、魔導師の塔へ。お待ちしていましたよイ・コージさん」
この人は何時の間にパパの名前を知ったんだろう。
でもそれ以上にこんな魔力を持った人なんているの?
side イ・コージ
何なんですか?この桁外れの魔力は?
きっと、この男性の前では上級精霊の魔力も霞んでしまうと思います。
「私が格好良いからって、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。何しろ私がイ・コージさん達を招いたんですから」
「なぜ私の名前をご存じなんですか?それに貴方は誰なんですか?」
この男性と私は初対面、当然私の名前を分かる訳がありません。
「私は陽気なミラクル魔導師のロッキさんですよ。貴方達が探している惑わしの森の主でコウサ・ザイツの暖かなお師匠様でもあります」
つまりザイツさんが使った系統不明の魔術はこの人が教えたって事になりますね。
「それでは私が求める知識を授けてくれるのですか?」
「良いですよ。でも一つだけ条件があります、もう少しすると私の弟子は渦中の人になります。その時功才君に手を貸してあげて下さい」
「渦中の人ですか?」
「ええ、エルフィンだけじゃなくルーンランドもデュクセンも巻き込んだ大きな渦の中心ですよ」
つまり私も嫌でも巻き込まれるって事ですね。
「ザイツさんと約束をしましたし、出来る事でなら協力をしますよ」
約束を破ってロッキさんと相対したら私なんて1秒も持ちませんし。
「イ・コージさんならそう言ってくれると思ってました。ガイストルビーですね、あれはですね精霊が好むルビー鉱山に住むアーマードボアのお腹に出来る魔石なんですよ。アーマードボアは土の中の植物を食べますから、その時に砂と一緒に僅かですが魔力を含んだルビーの欠片も摂取します。砂は排出できますがルビーの欠片は排出でずに溜まっていきます。早い話がガイストルビーは人間で言う結石なんですね」
石ですか…。
あれとんでもなく痛いんですよね。
でもアーマードボアの結石なら取る方法を隠したくなる気持ちも納得できます。
そんな事がばれたら値段が大暴落しちゃいますからね。
「しかし精霊が好むルビー鉱山なんて滅多にないと思いますが」
「ご心配なく、この近くにあるルビー鉱山に知り合いの精霊を住まわせています。それなりに強力な精霊ですから魔力が溜まるのも早い筈ですよ。場合によっては契約してくれるかも知れませんね」
それなりに強力な精霊、この人が言うそれなりはかなりなんでしょうね。
「なんでザイツさんと契約をさせないのですか?」
「なんで私の可愛い弟子が精霊と契約をするんですか?功才君にはもっと強力な隠し球を用意してありますよ。それじゃあルビー鉱山に行ってらっしゃーい」
ロッキさんがそう言うとレモン色の光が私達を包み込みます。
この魔力は転移魔術ですよね、触媒も詠唱もなく転移魔術なんて反則すぎませんか?
そして飛ばされた先にいたのは一匹の巨大な黒い竜。
竜は手に"すっきりぽっきり今ならアーマードボアを倒せばガイストルビーが手に入る。キャンペーン中は古代竜ビルクーロとの契約をプレゼント"そう書かれた看板を持っていました。
でも何でピンクのハッピを着ているんでしょう?
そしてこれが私の契約精霊にして生涯の親友(愚痴仲間)ビルとの出会いでした。
イ・コージとビルの胃痛コンビの誕生です
あと結石はとんでもなく痛いです