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ピンチと光明とピンチ

side イ・コージ


 胃も頭も痛いです。

ハルトヴィレの事を調べれば調べる程に痛みが増してきます。

いわくハルトヴィレに使われている魔石は命を司る古代竜ゼーレが力をこめた物。

古代竜ってなんですか?

昔話とか神話じゃないんですから。

確か古代竜が力を込めた魔石はオーディヌスの歴史の中でも30個ぐらいしか確認されていないんですよ。

現存している物だと10個もない筈です。

いわくハルトヴィレに勝手に触れただけで死刑になった人もいる。

私が失敗した時には同じ運命が待っているかも知れません。

いわく古代竜ゼーレから魔石を授かったシメーン家の先祖シーメン・ノラーメン様は戦で大活躍。

その報酬を惜しげもなくつぎ込んで作ったのがハルトヴィレなんだそうです。

つまり使われている素材は高級品ばかり、代用品を使ったらまずいですかね。

いわくハルトヴィレを上手く作動できずに領主を継げなかった長男もいた。

 そしてこれです。

魔力誘導に使われている魔石はガイストルビーとの事。

ガイストルビーは精神力を高める魔術師あこがれの魔石、滅多に市場に出回らない上に小さい物でも庶民の年収を軽く上回るお値段なんです。

さらにガイストルビーはどこでとれるのかは極秘扱い、そりゃそうです。

大きなガイストルビー1つで一生食べるのに困らないお金が手には入るんですから。

噂では精霊が守る洞窟にあるとか、竜のお腹にあるとか、カーバンクルの額にあるのがガイストルビーだとか様々な噂があります。

ジガーク様にお願いしてデュクセン皇立図書館に紹介状を書いてもらいましょう。

とりあえず今日はあっさりとした軽い物が食べたいです。


家に着くと母さんとリアが笑顔で出迎えてくれました。


「コージあんたの為にリアちゃんと一緒に作ったんだよ。好きなだけ食べな」


母さんが気合いと共に私の目の前に並べらたのはポークシチュー、チキンフライ、ジャガイモのチーズ焼き…。

確かに私の好きな物ばっかりなんですけども、今の私の胃にはかなりヘビーですよ。


「コージ君、リアちゃんって料理上手なんだね」


リアちゃんって、ヤシ義姉さん何時の間にリアとそんなに仲良くなったんですか?


「おじさん、俺もキャロルちゃんと一緒に作ったんだぜ」


「コージおじさんしっかり食べて元気をつけてね」


ライラとキャロルがキラキラした目で見てきます。

頑張りましょう、イ・コージ特製胃薬があれば乗り切れる筈です。


「コージさんいっぱーい作りましたから、おかわりして下さいねー」


…胃薬(強)にしておきましょう。



――――――――――


次の日、母さんはキャロルを連れて里帰りしました。


「コージさん、今日は誰かに挨拶に行くんですかー?私もお付き合いしますよー」


「今日はジガーク様に皇立図書館への紹介状を書いてもらって調べ物をします。紹介状があれば閲覧制限がある本を読む事ができますから」


それでリアと共に皇立図書館に来たんですけれども


「ないですねー。ガイストルビーの産地すら書いてないですよー」


リアの言うとおり、私が閲覧出来る本にガイストルビーに関する一般的な知識しか書かれていませんでした。


「国家機密物ですからね。見れる訳がないですよね」


やばいです、やばいったらありゃしません。


「コージさんこの惑わしの森に行ってみれば良いんじゃないですかー?」


惑わしの森は魔術師仲間てに囁かれている噂です。

ブラングルから隣の街まで通じている街道には分かれ道がありその道は鬱蒼とした森で途切れてしまう。

その森は惑わしの森って呼ばれているんですよ。

曰く惑わしの森に入っても気がつけば入り口に戻されてしまう。

いわく昔の領主が惑わしの森を開拓しようとしたらオーディヌスのお城と領主の屋敷に大きな雷が落ちた。

いわく森の主に認めれた商人のみが、森の奥に入れて巨万の富を得る事が出来るが、主の事を他人に話すと全てを失ってしまう。

これが一般的な言い伝え。でも惑わしの森にはもう一つの噂があります。

いわく森の主は全てを全てをしり気に入った者には求める知識を与える。


「それは噂ですよ。友人のお兄さんが森の主に会った事があるって奴です」


「でーも惑わしの森にはガイストルビー以上の閲覧制限がかけられていますよ」


図書目録一覧に書かれている惑わしの森に関する本にかけられている閲覧制限は特A級扱い(王族のみ閲覧可能)。

デュクセン城に雷が落ちたのは本当の話です。

なにしろデュクセン城には落雷防止や耐雷の技術が現在進行形で施されていますし。


「ブラングルに行ってみますか」



side リディ


 「リディ飲み過ぎ、飲みたい気持ちは分かるけどさ」


「だってむかつくじゃん。喫茶店の連中、私の事を元イース夫人様とか言いやがって」


確かに私は元貴族婦人だ。

元の旦那は外国で馬鹿をやったあげくに殺された。

そのせいでイース家は子爵家から男爵家に格下げされて私はイース家から追い出されたんだ。


「そりゃそうでしょ。アンタ喫茶店を辞める時に"もう庶民とは違うから気軽に話しかけないで下さいます"って言ったんでしょ。そりゃ嫌われて当然だって。そう言えば前に魔法研究所にいたイ・コージ覚えてる?」

「ああキモイ・コージね。あれがどうかしたの?」


「今ルーンランドの魔法研究所に勤めているんだって。今デュクセンに来ていて宝石店に若い娘を2人連れてきて即金で高い宝石を買ったんだってさ」


キモイ・コージは私に好意をもっていた筈、それならむしり取ってるやろう。

少し我慢すれば大金が入ってくるんだから。

惑わしの森の主を分からない人がいないと信じたい

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