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変わった私と変わらない私

side イ・コージ



 馬車がゆっくりと停車しました。

どうやら皇都デュクセンに着いた様です、まさか生きてこの地に再び戻って来れるとは思ってもみませんでしたね。


「コージおじさん、直ぐにシールンに行くの?」


「いえ、明日一番の馬車で行きたいと思います。今日はデュクセンで1泊しますよ」


 ホワイトデイのお返しを買わなくちゃいけませんし。

キャロルとリアが喜んでくれたら良いんですけど。


――――――――――


 幸いな事に私からのお返しをキャロルもリアも、とても喜んでくれました。

キャロルは私と腕を組んで歩いていますしリアは終始笑顔で隣を歩いています。


ここに住んでいた時には誰かと笑顔で歩くなんて想像もしませんでしたね。


「パパ、どっかでご飯食べて行こ」


キャロルはご機嫌な様で私をおじさんと呼ぶ約束も忘れている様です。


「コージさんお勧めのお店はないですかー?」


 しかし哀しいかな、私が良く行っていた店は安い早いが売りの居酒屋かボリュームはたっぷり肉メインの定食屋さん、もしくは体に優しいお袋の味が売りの食堂ぐらいです、どれもお洒落度は0。

唯一知っているお洒落な店はリディさんが勤めていた喫茶店ですけども本人がいなくても危険だと何かが告げています。


「私が良く行っていた店は女性が行く様なお店じゃないんですよ。味でいったら食堂しゃるちゃんですかね」


食堂しゃるちゃんは御年70歳のシャルロッテさんが経営している自称老舗の古い食堂。

お勧めはしゃるちゃん定食、パンにメインが1品と小鉢2つ、スープがついてたったの500デュクセン。

スープのお代わりは自由。


「行きたい、そこに行きたい。パパが通っていたお店を見てみたいな」


あれでしょうか、キャロルみたいな若い娘にしたら珍しいんでしょうかね。


「良いですねー。コージさんのー好みの味を知りたいですー」


 決まりみたいですけど若い娘を2人も連れて行ったらシャル姉(常連の人が間違って、シャル婆ちゃんとか言うとお小言&お玉アタックがもれなくついてきます)に怒られるかもしれませんが。


 食堂しゃるちゃんに着きましたけど相変わらずインパクトが強い外観です。

エアカッター1つで崩れそうな壁、エアーボールを放てばゴミが舞い散りそうな店内、ウォーターボールを当てればウォーターボールがオイルボールに変わりそうなテーブル。

うん、たかだか半年位じゃ食堂しゃるちゃんの半世紀の歴史は変わりませんね。


「はい、いらっしゃい。へー研究所のコージかい、よく生きてたね」


しゃるちゃんの常連は結構えらい騎士様もいたりしますからシャル姉は情報通なんですよ。


……


「今はルーンランドの魔法研究所に勤務してるのかい。しかしコージも相変わらずだね、若い娘を連れてくんならもう少し綺麗な店にするもんだよ。この店で綺麗なのはあたしの美貌ぐらいなんだからさ」


さすがは皇国騎士団の分隊長様をハナたれ小僧と呼べるシャル姉です、キャロルもリアも呆気にとられています。


「2人共、しゃるちゃんの話をしたら来てみたいって行ったんですよ。紹介します私の遠戚にあたるキャロルと助手をしているリアです」


シャル姉はキャロルとリアをじっと見つめています。


「あんたら、この捻くれ者に良く付き合ってるね。もし迷惑してんなら私に言いな。すっぱりと縁を切ってあげるよ」


 シャル姉は自慢の切れ味を持つ包丁を高々と掲げました。


「私とパパとの縁は包丁なんかじゃ切れません」


プクッと頬を膨らませるキャロル。


「私としてはー縁を太くして欲しいぐらいですよー」


なんでしょう、眼鏡を外したリアに言われると妙にドキドキします。


「へー、何時も不機嫌そうに隅っこで黙々と飯を食ってたコージも変わるもんだね」


そうです、私はルーンランドに行って大切な人達を得て変わったんです。


―――――――――― 


私は今生まれて初めてシールン城の中にいます。

領民が間近で見るのも不敬と言われたシールン城。

飾り気のない石造りで重厚そのものでいるだけて胃が痛くなってきます。

そして私は変わっていませんでした。

もう私は領民じゃないのにジガーク様にビビりまくっています。

領民根性って抜けないものなんですね。


「お主がイ・コージ殿か。遠い所大儀であった」


 間近で見るジガーク様は迫力が物凄いです。

50歳になっても張りを失っていない分厚い筋肉、切れ長の目に分厚い髭。

思わず私はジガーク様の低音ボイスに思わずヘヘッーと平伏をしてしまいました。


「イ・コージ殿は他国からの客人だ。そこまで畏まる必要はないであろう」


 私がホーフェン生まれである事は正直に伝えた方が良いのでしょうか。

下手をしたらホーフェンに住む家族がとっばちりをくらいかもしれません。




後からバレた方が不味いですよね。

でもジガーク様の迫力を目の当たりにしてちゃんと喋れるんでしょうか。



イ・コージって元々はネタキャラでしたから矛盾やら設定に無理が出てきます。

作者は胃が痛くなります

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