書類に判子を押して貰う時って胃が痛くなりませんか?
あー、こんな上司いるよなーって思ってもらえたら嬉しいです
「ザマースイ教頭、現場を確認したいので、どなたか先生か生徒さんの同行をお願いしたんですが」
だって私1人で女子部の学校をウロウロしていたら不審者として即通報されちゃいますよ。
「分かったざます。確かに見知らぬ男性が学校を歩いていたら生徒が不審に思うざますわね。適任者は誰が良いざますかね」
私としてはキャロルを熱望します。
「できたら私みたいなおじさんに不快感を露わにしない人が嬉しいんですけども」
……
私の考えが甘かったですね。
「おうっ!!アンタがイ・コージかぁぁ!よろしく頼むっ!!」
私を迎えに来てくれたのは、義娘キャロルではなく、赤い髪を角刈りにして日焼け全開、筋肉隆々な男性教諭アーツ・クルーシー先生でした。
クルーシー先生は白いタンクトップに赤ジャージというラフな格好です。
まぁ知らない女性が来るよりはマシなんですけどね。
「クルーシー教諭、不審者はどの辺りで目撃されているのですか?」
「アンタの方が年上なんだぁぁ。呼び方はアーツで構わん!!。多いのは校庭、裏庭、部活棟だぜっ!!」
アーツ先生、なんでわざわざ大声で話すんでしょうか?
「とりあえず案内してもらっていいですか?」
「おっう!任せなっ!!」
学校案内に全力を出されても困るんですけども。
3カ所の共通点としては時間帯によっては人気がない事、他の場所と違い塀が低い事でした。
「不審者とお聞きましたが学校内に侵入でもしたんですか?」
「いやっ!!ローブで顔まで隠した奴がコソコソと学校内を覗いてんいんだぁ!!実にけしからん、男なら正面から堂々と来るべきではないかぁっー!」
そりゃ、見つかりたくないからでしょう。
「アーツ教諭、不審者の目的なんだと思いますか?」
「我が校にぃぃはマジックガールズのメンバーが在籍しているっ!!教師間ではマジックガールズの熱狂的なファンの仕業と予想しているっ!」
つまり今来ている不審者を捕まえたとしても、第2第3の不審者がでる可能性があると。
「一部の心ない保護者達からはぁぁマジックガールズの転校を望む声があぁぁる!それだけは断固として防がねばならぬっ!!」
生徒の保護者としてはアーツ先生の態度は非常に嬉しいんですけども、あまりにも汗だくになり過ぎて申し訳がないんですよね。
それよりもキャロルの為、そしてその他のマジックガールズの皆さんの為にも早期解決をしなくちゃいけません。
「しかしなぜ親御さん達はそんなに過剰反応をするんですかね?」
「以前も似た様な騒ぎがぁぁあったのだぁ!その時は悔しい事にぃぃマジックガールズのメンバーの1人が転校させられてしまったのだぁ!」
なんでもマジックガールズの人気が加熱し過ぎて授業も、まともに受けれない状態になったそうです。
これまでの事をまとめると
1・生徒も保護者も安心できる対策をとる事
2・できるだけ来客者や業者が不快な思いをしないで済む方法である事
3・学校自体を結界で囲むのは不可能
(下校時の生徒や通行人が何らかの原因で校内に避難する可能性がある為)
4・学校周囲の道路には土地の所有者が違う場所があるので魔法陣の構築は不可能。
5・今の所不審者は校内には侵入して来ていない
やれやれ、やっと大きな仕事が終わったばっかりなんですけどね。
ここは保護者の1人として頑張りますか。
……
キャロル、パパは既にギブアップ寸前です。
前は依頼を正式に受ける時には所長の判子1つで済んだんですけども。
今は部長、課長、主任に判子を押して貰わなきゃいけないんです。
「ジェラ部長、判子をもらいたいのですが」
「へー、魔法学院からの依頼ですか。女子高生に囲まれての仕事うらやましいですね。でもイ・コージ君は凄いね、こんな大きな依頼が来るんだもん。僕より出世しちゃうんじゃない?今度からはイ・コージさんかイ・コージ様って、お呼びしましょうか?」
「ゴーマ課長、判子をお願いしたいのですが」
「そんなに緊張しなくてもいいよっ。はいっ、判子押したよ。それでさっマジックガールズのサインとか手に入らないかなっ?取引先の部長さんのお子さんがファンなんだよねっ」
このお二方はまだ良かったんですよね。
「テガ主任、判子を…」
「イ・コージちゃん、連れて行って、僕も魔法学院に連れて行けー!!生マジックガールズに会えるチャンスなんだからさっー」
「主任、許可証は1人分ですからっ、先生にサインを頼んでもらいますからっ」
「ぶぉくがぁー、その依頼を代わってあげるよ!!」
キャロルの為、なによりも私のストレスの為に早期解決を目指します。
ザコ3部作、ザコ・イ・コージ・山田先輩…
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