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イ・コージの昔語り

イ・コージの昔が少しでます

side イ・コージ


結局、どっちの花にするか決める事ができないまま朝を迎えてしまいました。

そのまま通常業務にはいったんですけども、リーチェさんがチラチラと私を見てきます。

テガ主任なら喜ぶんでしょうけども、今の私にはプレッシャーにしかなりせん。


雑念を振り払って、業務に集中しようとしたその時です。


「クリス様だ、クリス様の匂いがする。僕に会いに来てくれたのかな?リア先輩、僕の髪型おかしくないですか?」


チェルシーさんの尻尾の動きが激しくなっています。

でも流石は犬人族ですね。

姿が見えなくても匂いだけで人を特定できるんですから……

クリスさんは絶対に浮気はできないですね。


クリスさんの姿は見えなくても近づいて来るのがわかるらしくチェルシーさんの尻尾の動きは時間と共に激しさをましています。


「イ・コージさん、失礼します。なんかチェルシーがお世話になっているみたいでありがとうごさいます。これ、よろしかったらみなさんで食べて下さい」


流石はクリスさん、手土産も持参しましたか。


「クリスさん、気を使わなくても……」

「クリス様、クリス様、僕に会いに来てくれたんですか?僕お勉強頑張っているんですよ!」


チェルシーさんの我慢も限界になったみたいで、尻尾の動きをMAXにしながらクリスさんにベッタリとくっついてます。


「チェルシーに会いたかったのも本当だけど、ヤ・ツーレさんから呼び出されたんだよ……緊急事態ってイ・コージさん、何があったんですか?」


「全員揃ったみたいだな。用件はそこにいるキャロル・リーチェに関係する事だよ。詳しい説明は所長室でするそうだ。お前等移動するぞ」


全員揃ったから先輩に連絡したんですけどね。

先輩は、相変わらず有無を言わせない人です。

リーチェさんは…不安そうです。



――――――――――



「それでは皆様に集まってもらったのは、私の研究室に新しく実習生として来てくれましたキャロル・リーチェさんの父親に関する事です。名前はアレキス・アポロード、出身は精霊公国レクレールです。アレキスは司祭の息子でした」


「イ・コージさん、レクレールの司祭の息子さんが何でデュクセンにいるんですか?確かあの国は留学生制度は禁止な筈ですよ」


流石はクリスさん、国際情勢にお詳しい。


「禁止と言うより廃止になったんですよ。留学先で恋人を作ったり…子供を設けるケースが後をたちませんでしたから。表向きは異宗教に触れさせない為ですけどね」


私を気遣ってか、先輩がレクレールの宗旨やアレキスとマリーの関係を話してくれました。

でも何でしょう。

私に集まる同情の視線は?


「今一番の問題は、私とリーチェさんが接触した事をレクレールの異端者審問隊に知られたかどうかです。昔似たようなケースで脅迫や暴行…殺人もありましたから」


「レクレールの留学生制度が廃止になったのは、そんな理由があったんですか」


「今まで全部がレクーの思し召しで育った純粋培養な奴等だったからな。厳しい戒律から解放されて恋心に歯止めが効かなくなったんだろ」


純粋ですか。

確かにアレキスも純粋なレクレール信者でしたね。

純粋故に人を裏切れたんでしょう。


そんな中リーチェさんが重い口を開きました。


「父は何故、私とママを捨てたんですか?」


「リーチェさんのお母さんとリーチェさんを守る為だって、アレキスは言ってましたよ」


もう18年もたったんです、あの日から。


――――――――――



「アレキスお久しぶりですね。でも私は研究が忙しいんですよね」


正直に言えばアレキスを見るとマリーを思い出すから会いたくなかったんですよね。

正確に言えばアレキスと幸せそうにしているマリーを見たくなかったんです。


「コージ君、こんな事を君に頼むのは厚かましいのは百も承知だ。事情により僕は帰らなくちゃいけない。だからマリーの事を頼む」

アレキスはそう言うと土下座をしてきたんですよね。


「貴男の留学期間はまだあるじゃないですか。第一マリーが納得しないでしょ?お断りさせてもらいます」


「マリーのお腹には僕の子供がいるんだ。このままじゃ異端者審問隊に全員殺されてしまうんだよ。だから…」


「だから何です?それを覚悟で付き合ったんじゃないんですか?マリーと一緒にバルドー辺りに逃げて親子3人で幸せに暮らせばいいじゃないですか」


あの時は私もかなりイラついていました。


「無理です。僕もマリーも学生なんだよ、生活をしていけない…」


「とにかくマリーときちんと話をして下さい。お金なら少しはお祝いとして差し上げますから」


それから数日してマリーとアレキスは帰郷。

私に残されたのはマリーからの"お兄ちゃんごめんなさい"と書かれた手紙だけでした。


――――――――――


………


なんですか、このシンとした空気は。

私が話したくもない過去を語ったのに。


「コージの昔話より、現在の話をしなきゃな。所長の話だと異端者審問隊の影はないみたいだが安心はできねえ」


「そうですね。チェルシーは家に来ないか、チェルシーが前に使っていた部屋もあるし、将来的には住むんだしさ」


「い、いいんですか!それなら僕クリス様のメイドを一生懸命頑張らせてもらいます!!」


「リアさんは、しばらく研究所に住み込みますか?確か宿泊室が空いてる筈ですし」


「分かりましたー。コージさんが徹夜しない様に監視をしますから覚悟して下さいねー」


「リアさん夜更かしは体に毒ですよ。それじゃ先輩はどうしますか?」


「娘は旦那の実家に預かってもらうさ。それでリーチェはどうするんだ?お前もチェルシーと一緒にクリスの厄介になればいいんじゃないのか?」


「私は、私はパパの研究室に泊まります。ママの昔話も聞きたいですし」


リーチェさん、私はパパじゃないんですけど



マジックガールズの残り3人どうしよ

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