おじさんになっても、学生時代の先輩は働いても怖かったりする
エーリゼ先輩は女性です。
side イ・コージ
エリーゼ先輩はドワーフの父親とエルフの母親の間に産まれたと聞いています。
エルフの優れた容姿と高身長、ドワーフの筋肉質な体と質実剛健な性格、
それを持ち合わせたのがエリーゼ先輩。
年は40才近くの筈ですが、エルフの血の所為か、見た目は20歳ぐらいにしか見えません。
そして自分にも他人にも厳しい方なんです。
3日、3日で開発。
エリーゼ先輩を満足させる物を3日で…
胃だけじゃなく頭まで痛くなってきました。
「エリーゼ主任、いきなり来て納期の短縮なんて横暴過ぎますよー」
リアさん、その人にたてついちゃいけません。
学生時代は冒険者をしいて、オークを素手で倒した人なんですよ!
「コージ、このピンクもじゃは誰だ?」
確かにリアさんは、ピンク色の髪をしていて髪がボサボサですけども
「私の助手をしてくれているリア・クローゼさんです」
「助手か……。なら仕事だけの付き合いだろ?コージは俺の可愛い後輩だ。少なくとも俺はお前よりはコイツの事を分かっている。コージなら3日あれば作れるから言ってんだよ」
そうですよね。
先輩は5分でパンを買って来いって人でしたよ。
「リアさんありがとうございます。候補はありますから大丈夫ですよ。それじゃ作成に入りますので」
正直に言えば先輩から逃げたいだけなんですけどね。
でもそうは問屋が卸してくれないみたいです。
「待て。お前はまだ俺に挨拶をしてなかったよな。新入りの後輩が先輩に挨拶をしないとは、コージも偉くなったよな」
がっちりと私の肩を掴んで不適に微笑むエリーゼ先輩。
「いやー、先輩がこちらにお勤めとは知りませんでしたし。所長からも余り目立たたない様に言われていますので」
「おい、コージ。お前何をやらかした?デュクセンの魔法研究所にいる筈の奴がルーンランドの魔法研究所にいて所長に目立つなって言われただ?まさか世間様に顔向けできない事をしたんじゃねえーだろな」
正直に話したら、先輩の鉄拳がとんできますよね。
言わなくてもとんできそうですけど。
「エーリゼ主任、お待ち下さい。イ・コージさんは私がスカウトしたんですよ」
声をした方を見ると所長が立っていました。
どうやら、リアさんが連れて来てくれたみたいです。
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所長が詳しい説明をしてくれて先輩を説得してくれました。
「コージ、死刑囚になってたとはな…。この馬鹿野郎!!何で俺に手紙を寄越さねえんだよ!!お前は俺を信用できねえってのか?」
だって、先輩に相談したら全力で解決しようとするじゃないですか。
今も涙を流してますし。
涙を拭いもせずに見つめてくるなんて、相変わらず男前な性格ですよね。
「エリーゼ主任がイ・コージさんの知り合いだったとは驚きました。主任この事はどうかご内密にお願いしますよ」
まぁ先輩は口が堅いから大丈夫でしょうけど
「所長分かりました。でも1つだけ条件があります。この馬鹿が開発した物は俺に任せて下さい。コージきっちりと再教育してやるから覚悟しとけっ!!それと俺に変な遠慮は無用だ。次になんか隠したら覚悟しとけよ」
私は立場上、他人と接するのを避けたい立場ですし、心を開ける人が近くにいるのはありがたいですよね。
尊敬する先輩をがっかりさせない為にも頑張りますか。
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「イ・コージさん大丈夫でしたかー?あの馬鹿でかい女は何なんですかー?」
リアさん、馬鹿でかいとか言ったら私が鉄拳制裁をくらっちゃいますよ。
「エリーゼ主任は、私の学生時代の先輩なんですよ。口が悪くて手もはやい人ですが、面倒見も良いし情にも厚い方です」
「それじゃ徹夜をするんですよねー。イ・コージさんは助手じゃなく先輩の言う事を聞くんですねー」
リアさん、ピンクもじゃて言われた事を根にもってませんか?
「話を聞いたら先輩も仕事が忙しくて中々娘さんと触れ合う機会が少ないみたいんですよ。それを聞いたら頑張るしかないじゃないですか」
独身彼女なしとしては家族持ちの人を優先させたいですし。
「へー、そうなんですかー。イ・コージさん……いえコージさん嬉しそうですねー」
「それにあの人は元冒険者なんですよ。素手でオーク倒したりオーガを一刀両断しちゃう人ですから、あまり逆らいたくないんですよ」
「その話は本当ですかー?」
「本当ですよ。昔、無理矢理パーティー組まされていましたから」
まぁ、その経験があったお陰で追っ手とも戦えたんですけどね。
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1日目、候補の理論から絞り込み
2日目、試作品の設計図作り
3日目、試作品作り
4日目の朝、やりました。
なんとか形にする事ができたんです。
「おう、コージ出来上がったて本当か?」
「出来ましたよ、出来たから肩をバシバシ叩くのは止めて下さい。私は猿人族の普通のおじさんなんですから」
side エリーゼ
「悪い悪い、つい嬉しくてな。でどんな物を作ったんだよ」
「全く、先輩は力加減を知らないんですから。これですよ」
コージが見せたのは、魔石を珠に加工した物が1つと三角柱に加工してある物が四組。
大きさは珠が手の平大で三角柱は60㎝ぐらいの長さがあった。
「こいつにはどんな魔法が付与してあるんだ?」
「珠には高温・冷却・振動を付与しています。三角柱には増幅結界の魔法を付与しました」
「つまり岩盤の真ん中に穴を開けて珠を四隅には三角柱を仕込む。それで高温と冷却で岩盤を脆くして振動で砕く仕組みか。増幅結界は力を逃がさない為と落盤防止って所だろ?」
持つべきは使える後輩だよな。
「流石ですね。耐久性と回収方法に問題がありますけども」
「そこからは3課の仕事だよ。とりあえず三角柱の背中に吸着の魔法を付与してやるよ。おーし、他の所でつまっている案件もお前に任すからな!」
「先輩、勘弁して下さいよー」
「遠慮すんなって。そうだ、うちの課の女を紹介してやろうか。どーせ1人だと口説けねーだろ?」
コージをからかって遊んでいると、助手のリアが扉を力一杯開けて出て来た。
「コージさん話が終わったら研究室に戻りますよ」
「リアさん耳を引っ張ったら痛いですって。先輩失礼します」
いーねー。
いじり甲斐がある奴を、もう1人みつける事ができた。
パソコン投稿に変えたい今日この頃。
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