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イ・コージの日々

ネタキャラから幕間主人公へ、そしてとうとうイ・コージはオリジナル小説の主人公になりました

魔法王国ルーンランド

剣と魔法の世界オーディヌスで魔法に重きをおく国。

当然、魔法の研究には、かなりの力を入れている。

その中心はルーンランド魔法研究所、幾重物の魔法結界に保護された3階立ての建物は、広大な敷地に建っていた。


そして魔法研究所に1人の男が出社して来る。

ぽっちゃり体型に短い黒髪に黒縁眼鏡、お世辞にも美男子とは言えないの容姿を持つ男の名前はイ・コージ。

38才独身彼女なし、ちなみに研究所には、つい最近スカウトされたばかりである。


前は違う国の魔法研究所で働いていたが、人にはあまり言えない理由で退職をした後にルーンランドの魔法研究所にスカウトをされたのだ。


 

中途採用とスポンサーのない哀しさかイ・コージにあてがわれている研究室は決して広くはない。


イ・コージは人より早く出社して研究室を掃除した後に研究室で朝飯を食べる。

朝食と言っても前の日に買ったパンとお茶だけの侘びしい物。

一人暮らしの侘びしい部屋で侘びしい食事をする位なら実験道具に囲まれて食べた方が、侘びしさも薄れるし時間短縮にも繋がるからである。

あらかた食事を食べ終えたイ・コージに1人の女性が声を掛けてきた。


「またー研究室で食事ですかー?いいですけども栄養にも気を使って下さいよー」


 

彼女の名前はリア・クローゼ、イ・コージの助手である。

年は二十歳と言うがボサボサの髪を紐で結わえ、でかい眼鏡をかけて化粧もしていないから、それが本当かはどうかは見た目では分からない。


「リアさんおはようこざいます。栄養は昼にとりますから、それで今日は新しい課題は届いていませんか?」


イ・コージの様な新参者が好きな研究を出来る訳がなく貴族や商人からの依頼をこなしていくしかない。


「来てますよー。今回は騎士団から研がなくていい剣を作って欲しいそうですー。お坊ちゃま達は武器の手入れより髪や服の手入れが大切なんですよねー」



 

リアが言っているのは決して悪口ではなく、魔法王国のルーンランドにおいて騎士を目指す貴族は少なく才能ある者は宮廷魔術師やルーンランドが誇る魔術師隊を目指す。

従って騎士団は自然とお飾り的な物に落ちぶれていた。

口の悪い国民から言わせるとお花畑騎士団、頭の中がお花畑で、見た目の美しさにこだわり手間も懸かる所がお花畑と言われる由縁だ。


「これ以上剣に新しい魔法を付与するのは、きついですね」


少し前に騎士団からの依頼で剣に軽量化や熱撃の魔法等を付与したばかりである。

一時的な魔法と違いイ・コージに求めれるのは半恒久的な魔法効果。

場合によっては剣に触媒を埋め込んだり魔法文様を刻み込む必要がある。

従って過度の魔法付与は剣の耐久度を著しく下げかねない。


(泊まりですね…)


イ・コージはとある事情で貴族嫌いになっていたが、ルーンランドに来てからの無茶振りの連続でさらに貴族嫌いに拍車がかかった気がする。



side リア・クローゼ


(イ・コージさんも、こんな無駄な依頼断ればいいのに)


お花畑騎士団に便利な装備を与えても精々貴族が集うパーティで自慢するしかないのだから。

もっとも全く無駄だと言う訳ではなく、イ・コージの技術を利用した品を魔法研究所では販売をしており、その利益は研究所だけでなくルーンランドの国庫も潤していた。

実際にイ・コージがルーンランドに来て最初に手掛けたマジックアイティム"ゴブリンバイバイ"はゴブリンの被害を激減させただけではなく、今や重要な輸出品の1つとなっているのだから。

つまり今回の装備も有用ならルーンランドにおいて、実質的に直接攻撃をになっている傭兵隊に格安でまわされる事になる。


(さてイ・コージさんは今回どんな魔法を使ってくれるんでしょうねー)


恋よりオシャレより魔法に興味があるリアにしてみれば次々に新しい工夫を見せてもらえるイ・コージの研究室は理想の職場であった。



side イ・コージ


哀しいかな。弱小研究所、イ・コージは1つの仕事だけに関わっている事ができないでいる。

研究室には騎士団や傭兵隊から依頼されている装備品が魔法付与待ち状態にされていた。


「イ・コージさん、新しい依頼は上手くいきそうですか?」


「所長おはようございます。とりあえず構想はありますので、定時の仕事が終わり次第取りかかりますよ」


イ・コージに話し掛けてきたのは魔法研究所の所長ヤ・ツーレ。

イ・コージは、これほど名を体で表している人間を見た事はない。

細すぎる体に薄くなった髪は、正にやつれた感じがしているし、年は40を少し越えた位な筈であるが、そのやつれ感からか下手をしたら老人にも見えたりする。


「すいません。我が研究所で一番の功績がある魔術師に報いる事が出来なくて」


そう言うとヤ・ツーレは薄くなった頭をイ・コージに下げてきた。


「止めて下さい。所長が誘ってくれなかったら自分は、この世にすらいないんですから、それに有名になんてなりたくないですし」


(相変わらず油断がならないお人だ。下手に急かせないで、こっちが自主的に徹夜する様に仕向けるんだから)


事実ヤ・ツーレは権謀術数に長けており自分の悲哀たっぷりな容姿さえ平気で武器にしてしまう。

忙しい所長がわざわざ自分の所に、来た所をみると、今回の依頼はそれなりに急ぐ物らしい。


「とりあえず来月にお城で開かれるダンスパーティーにまで形してくれたらいいですから」


つまり、騎士団のお坊ちゃま達は剣の手入れに掛ける時間をダンスパーティーの準備に費やしたいらしい。


(恩ある所長の髪の為にも頑張るとしますか)


決意を新たに装備品に魔法を付与していくイ・コージであった。


2作同時連載を頑張ります

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