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夜明けに咲く幻想 — 第4章
その夜、街の片隅にある廃墟に、陽菜は小夜に呼ばれて足を運んだ。
「ここ…」陽菜は息を呑む。壁は崩れ、風に揺れるカーテンが月明かりに白く浮かぶ。
小夜は静かに立ち、目を伏せていた。
「ここで…事故があったの」
「事故…?」陽菜はそっと声をかける。
小夜の瞳に、淡い光が滲む。
「私は…一人で、何もできなかった」
その声は小さく、震えていた。
陽菜は言葉を詰まらせ、手を差し出す。
「…大丈夫。今は一人じゃない」
小夜はふっと顔を上げ、陽菜を見つめる。その瞳に、悲しみと孤独が溢れた。
「私、もう…怖くない」
その瞬間、小夜の体から淡い光がふわりと広がる。
廃墟の中、二人だけの静かな時間が流れた。陽菜は自然と涙がこぼれるのを感じる。
「…私も、守りたい」
「守って…ほしいの」小夜の声に、陽菜は強く頷いた。
外の風が廃墟に入り、月明かりが二人を包む。
その夜、陽菜と小夜の間に、言葉以上の絆が生まれた。
「怖くても…一緒なら、できる気がする」
「うん…私も」
初めての涙と、初めての決意が、街の夜に溶け込む。
二人の心は、少しずつ強く結ばれていった。




