表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

夜明けに咲く幻想 — 第2章

翌日の夕暮れ、陽菜は大学の帰り道で、昨夜のことを思い返していた。まるで夢のようで、信じられない気持ちが胸を占める。


「いや、絶対あれ夢だよね…幽霊なんて…」


そう自分に言い聞かせながらも、路地の端にちらりと見えた銀色の尻尾が目に入った。狐太――狐の妖怪は、昨日と同じ場所で、こちらを見ていた。


「やっと見つけたね、人間」

「え、な、なに?」


狐太は軽やかに飛び跳ね、陽菜の前にぴょこんと立った。腰の高さほどの小さな姿だが、目にはどこか悪戯っぽい光が宿る。


「君、昨夜はちょっと面白かったよ」

「面白…?何が?」

「小夜さんに守られるの、必死すぎて笑えた」


狐太の言葉に、陽菜は思わず顔を赤らめた。

「ば、バカ…笑わないでよ!」


その瞬間、水辺から「ぽちゃん」と小さな水音がした。河童、水丸だ。丸くて大きな頭と甲羅が見え、のんびりした顔でこちらを覗き込む。


「お、君が新しい子かな?」

「そ、そうです…えっと、水丸?」


水丸はのんびり座りながらも、目だけは鋭く街の様子を観察していた。

「ふふ、夜の街は面白いね。昨日は水路がちょっと騒がしかったよ」


「騒がしかった…って何ですか?」陽菜が尋ねると、狐太はにやりと笑った。

「見ればわかるさ。夜には色々いるんだ、面白いやつらがね」


そのとき、路地の奥で微かなざわめきが走った。木箱がひとりでに動くように揺れ、何かが中から顔を出す。


「また小さな事件か…」水丸が呟く。


狐太は目を輝かせ、陽菜の手をひょいと引く。

「ほら、行こうよ。君も少しは戦力になれるかもね」


恐怖と期待が入り混じる胸の奥で、陽菜の心臓は早鐘のように打った。

「…え、私…戦うの?」


「戦うも何も、見逃すわけにはいかないだろ?」狐太はいたずらっぽく笑う。


路地に広がる影の中で、街の夜は少しずつ、妖怪たちの息吹を感じさせはじめた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ