夜明けに咲く幻想 — 第10章
夜の街がざわめく。いつも静かな路地も、風に乗って異様な音が響き渡る。陽菜は胸に手を当て、仲間と共にその異変を見据えた。
「街全体に、妖怪の気配が広がってる…」水丸の声はいつもより低く、緊張を帯びていた。
「え…こんなに…?」陽菜の視線は路地の先、建物の影にちらつく暗い気配に釘付けになる。
狐太が鋭い目で街を見渡す。「やつら、一気に来る気だな…僕たちだけじゃ足りないかも」
小夜は静かに立ち、淡い光を指先に集める。「でも…逃げられない。私たちが立ち向かわなきゃ」
街全体の空気が震え、遠くでガラスが割れる音が響く。影がうねるように広がり、夜の静寂を破壊する。
「陽菜、君は光で前を抑えて!」狐太の声が響く。
「わかった…!」陽菜は手に力を込め、街灯の下で光を放つ。
水丸は水路から水を引き寄せ、波紋で敵の動きを封じる。小夜は浄化の光で後方を守る。狐太は影に幻術をかけ、敵の進行をかく乱する。
それでも、敵の数は圧倒的で、街のあちこちで瓦や影が揺れ動く。陽菜の手に汗が滲む。
「怖い…でも、守る!」
光と水、幻術、浄化の力が交錯し、街の危機は徐々に押し返される。だが、まだ完全には終わらない。
「みんな、最後まで諦めない!」陽菜が叫ぶ。
「もちろんだ!」狐太が応え、四人の視線が固く交わる。
崩れゆく夜の静寂の中で、仲間と力を合わせる決意が、街を守る最後の希望となる。
夜はまだ長い。だが、希望の光は確かに揺れていた。




