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231弾 この事故一体どうなるのだろう

「俺は賛成です。」


「私も賛成です。」


「私もよ。」


 ヘルバティアの提案にミヤン以外は賛意を示す。


「うーん、稽古したかったのだけど……、でもそう言う話し合いも大事よね。」


 ミヤンは自分自身を納得させるようにそう言うが、結局賛成したのだった。


「じゃあ、明日ね。明日の朝食後からしっかり話し合うわよ。」


 ヘルバティアがそう言って朝食を終える。

 みんな席を立ち片付けをしてから、一旦寝室に戻って本日の思わぬ予定をどうするのか考える模様だ。



「じゃあ、私はイメージトレーニングするわ。」


「わかりました。俺はこのロッジ内で魔術研究、主に運用について研究します。」


「じゃあ何かあったら、ダンに話をするからこの部屋か居間に行けばいいわよね。」


 メムはそう言って颯爽と部屋を出て裏庭に向かうので、俺も裏庭に行ってメムの様子を見守る。メムは、少し体を動かしてぶつぶつ呟きながら裏庭の隅にいると、


「なあおい、メムちゃんは何をしているのかな?。」


 俺の横に来たミヤンがそう言ってメムの行動を見つめている。


「ああ、必殺技のリファイン化をしてるみたいです。イメージトレーニングをすると言うことですよ。」


「へえ、ニシキさんはメムを放っておくのかい?。」


「今は自分の力でやってみるというところでしょうか。自分で考えて課題を見つけて解決できるようになれば必殺技も良くなるでしょう。」


「よーし、じゃあ、私も協力してやるか。」


 ニヤリとしたミヤンがメムのところに行こうとするのを誰かが押さえつける。


「グエッ、誰だよ……、ああ、ミアン姉さん。いきなりこっそり背後から首根っこ掴むことはないだろう。」


「ミヤン、メムちゃんの邪魔はしないほうがいいですよ。ニシキさんの言う通りでしょう。」


「ミアンさんはもしかして、こっそり話を聞いていたのですね。」


「そんなつもりはなかったのですが、聞こえてきたものですから。」


「まあ、私も協力をしてやるか。いてっ。」


「ミヤン、向こうが求めてからの方が協力の効果は大きいですよ。」


「何もはたいてから言わなくても……。」


 双子姉妹で漫才を始め出したようだが……。


「ちょっと、何騒々しくしてるの、あら、メムちゃんは何をしてるのかしら?。」


「必殺技のリファイン化とかさ。飼い主殿は自分で考えて課題を見つけて解決しろだって。」


 ミヤンがやって来たヘルバティアにそう説明する。


「えらいわっ、健気ね、メムちゃんは。」


「だからと言ってティア姉さんは、メムちゃんを構いに行こうとしないで下さい。」


 メムのところに向かおうとするヘルバティアの腕を掴みミアンが冷静に抑える。


「えー、私も協力するー。」


 ヘルバティアが子供のように駄々をこねる。駄々をこねるヘルバティアと抑えるミアン、絵面的には何か親子な感じが似合っているが。


「ティア姉さんがそう言うなら私も。」


「ミヤンさんも大概にして下さい。飼い主殿からのお願いですから。」


 ヘルバティアに合わせるようにメムのところに行こうとしたミヤンを両腕を羽交い締めにして抑えつける。


「ちょっと、みんな邪魔をしないでよ。」


 俺と3姉妹が揉めているのが気になったのか、メムがサッとやって来て一言そう言って戻りまたイメージトレーニングを再開する。


「まあそういうことですから。」


 俺が3姉妹にそう言っておくと、


「じゃあ私は見守ってあげる。」


 とヘルバティア。


「じゃあ私は手出し口出しする。イテッ。」


「ミヤン、大人しくしなさいね。」


 ミヤンはよっぽどメムと手合わせしたいのかそう言ってミアンにゲンコツを喰らう。


「メムちゃんが求めてきたら協力するようにはいたします。ですからニシキさんも研究の方を進めて下さい。」


 ミアンが長姉と末妹をにらみ付けながらそう言ってくれるので、俺はミアンに一礼をして、裏庭を一旦離れて寝室で研究を開始する。

 そして1日が静かに過ぎて………いかなかった。

 自主特訓のためか、この日は各自で昼食をとった。そして俺はそのまま研究に勤しみ、魔弾の新たな運用方法、一気に拳銃を抜いて早撃ちで魔弾をぶっ放し魔法を発動させて相手を倒すという先の先を取る運用方法だけでなく、相手の攻めを受けてながら魔弾をぶっ放し魔法を発動させて相手を倒すという後の先について考え研究して、今後どのように実戦に組み込むか目処がついて、ああ、もうすぐ夕食だなと思ったところで、


「きゃーーーーーっ。」


 というけたたましい悲鳴と共に、何かが吹っ飛んでドサリと落ちる音がする。


「ミヤン、さあ、回復ポーションよ。」


「ミヤン、とりあえずこれを羽織って。」


 ヘルバティアとミアンの声がしたのだった。

 しばらくして、ドアの前で


「ミアンです。ニシキさん、とりあえずお願いがあるのですが。」


「どうしました、何かアクシデントでも起きましたか。すぐに向かいます。」


「いえ、しばらくここにいて下さい。決して外に出ないで下さい。」


「えー、いやいや、悲鳴がしましたよね!。ドサリと音がしましたが、メムが何かやらかしたのですよね!。」


「いえ、とにかく、ここにいて下さい。部屋から出ないで下さい。お願いします。」


 ミアンが必死の声でドアを開けずにドア越しでお願いしてくる。何かあったのだろうが、俺が落ち着くか。

 一度大きく深呼吸をする。


「では、部屋から出られるようになった時は早速教えて下さい。いいですね。」


「ええ、わかりました。では、後ほど。」


 そう言ってミアンは去ったようである。

 しばらく3姉妹とメムの声がしていたが、何を会話しているのかはよくわからなかった。ただロッジに行ったり来たりをしていたが、


「ミアンです。ニシキさん、もういいですよ。すみません。部屋に押し留めてしまって。」


 ミアンがそう言って来たので、とりあえずドアを開ける。そうすると、ミアンがしょんぼりしてドアの前に立っていたのだった。



「まあ、夕食を食べながら話を聞きましょうか。一体何があったのですか?。」


 届けられた夕食を配膳した後、メムと3姉妹がしょんぼりしながら居間の椅子に座っている。


「あのー、ダン。怒らないで聞いてくれる?。」


「話の内容次第です。」


「ちょっと、そんな身も蓋もない言い方やめてよね。」


「当たり前でしょ、メム様。一体何があったのか何も俺は知らないのですから。ミアンさんに部屋にしばらく押し留められたこと以外は何も情報がないのですよ。」


「まあ、これは、………私たちの責任というかそっちの方が大きいと思うので……。」


 ヘルバティアがものすごく歯切れの悪い言い方をするが、


「ところで怪我人というか重傷者が出たとかではないですよね。」


「それは大丈夫でした。」


 俺の問いかけにミアンがすかさず答える。


「……ふう、次の実戦特訓のこともあるから大怪我してコンディションの良くない状態だとまずいですよね。リーダー。それはわかっていらっしゃると思ってましたが。」


「ええ、その通りです。」


「そうよ、そのことは理解はしているわよ。だからヘルバティアを許してあげて。」


「……じゃあメム様、一体何があったのか説明してくれますか。」


「…いいわよ。端的に言うと私の必殺技をミヤンが喰らっちゃって、……そのはだけてしまったのよ。……服が。」


「……もしかして、ミヤンの服や鎧がダメージを受けて半裸か全裸になってしまったということですか?。だから俺が部屋に留まることになったのですね。」


「……はい、その通りです。私が不用意にメムちゃんの必殺技の洗練、リファイン化に協力してやろうと。」


 ミヤンが恥ずかしげにそう言い出す。


「メム様、よくその程度で抑えられましたね。」


「……ちょっと力が入り過ぎそうだったのでなんとか威力をコントロールしてみました。」


「すみません、私もティア姉さんとミヤンを止めてメムちゃんから協力を求められるまで何もしないようにしているつもりだったのですが……。」


「なるほど、要はミヤンとヘルバティアが協力するとしゃしゃり出てしまったということですね。」


「はい、リーダーとして、……何も言えません。」


「でも、もしダンがいればラッキースケベイベントが発生していたのよ。」


 しょんぼりしていたメムが顔を上げてまたいらんことを言う。


「まあ、その後ミヤンに何をぶつけられていたか分かりませんね。もしかしたら記憶を消される羽目になっていたかもしれませんから、ええ、物理的に俺の命ごと消されていたかもしれません。」


「ぐ、そんな言わなくても。まあ、そう、本人たちも十分反省しているわけだし、私もおかげで必殺技の威力コントロールについて何かつかんだ気がするし、ね、大怪我したものもいないから、この話はこれで終わり、夕食にしましょう。」


「メムちゃんにここまで詫びさせたのはリーダーである私の責任。ここはあえて強制ラッキースケベイベントを発生させるために私たちが全裸になって。」


 そう言って3姉妹全員が服に手をかけだす。


「なんでそーなる!!。もういいです、分かりましたから、もういいです。」


 ヘルバティアの思わぬ発言と行動で俺も落ち着きがなくなり、もうこの件はなかったことにしようと決めた。というか、これ、もしかしてメムと3姉妹でシナリオを書いて、この方向に持っていったのではないだろうな……。

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