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222弾 実戦特訓の準備をしよう

 残り2日間はヘルバティアら3姉妹は型中心の稽古に切り替えたようである。俺はメムと会話しながら、魔術の研究に精を出す。


「こうなったら、実戦特訓の中でぶっ放してみますか。」


「ダンは結構リスクの大きいことをするのね。」


「やってみるしかないでしょうから、ちょうど特訓中だし。いい実験結果が出ればそれでよし、出なければまたフィードバックする。あ、あとメム様、不用意に俺の魔法のことは他人に話さないでくださいね。」


「わかっているわよ、でもなぜ今になってまた?。」


「理由は、『パーティごとの特訓』って前ヘルバティアが言っていたので用心のためですね。もしかすると他のパーティと一緒になって特訓したりすることもあり得るでしょうから。」


「なるほどね。じゃあ、会話は念話術にしなきゃね。」


 用心はしておくに越したことないからな。

 そう会話しながら、魔弾も作っておいて、そこに追加する形で新開発の試作品も作ってみる。


「これは、こっちの弾入れにしまって、この魔弾はあっちの弾入れにしまってと……。」


「こうやって仕分けするのも大変よね。」


「まあ、こうなることは予想はしていましたが、全部を持ち運びできないのが難点ですね。」


 魔弾を拳銃に装填するときに目的の魔弾が装填できるようにする方法として各魔法属性ごとに弾入れを作って片付けるようにはしているのだが、全属性を腰につけて運ぶのは難しいので一部の属性、特に光と闇属性の魔弾をカバンにしまっているが、そうするといざ必要になった時に出して装填するのに手間暇がかかる、ということもあり得るのが悩みの種だ。


「暇を見つけて作っていたのよね。その弾入れを何個も。」


「ええ、同じそうな形で作っているので慣れると結構早くできますね。ただそれでも持って行ける魔弾の弾数が限界を越えかねないので、魔弾作り、使用、使用分補填のサイクルに、新開発した魔弾を作り持っていくのが難しくなってきて……。」


「もうこうなったら先に試作弾をぶっ放してみればいいのじゃないの。ここだとそんな人に迷惑かからないでしょうし。」


 メムがいいアイデアを出してくる。


「そうですね、的はあのボロ布人形で、あとはボロ板と落ちた枝を拾って的にしますか。」


 俺もメムのアイデアに乗ってみることにする。

 外に出て、前にキャッチミーイフユーキャンの特訓でいろいろ漁った場所に行って、ボロ板、穴の空いたボロ桶を回収して、あとはボロ布人形を6体とってくる。


「ボロ布人形はもっと合ってもいいのじゃないかしら。」


 メムがそう言ってくるが、


「いや、あまり使いすぎると後で困ることになるかもしれませんので、本当にまた必要になった時に使えないのも。」


 俺がそう言いながら的の準備をしていると、


「ああ、後で使うかもしれない人がいるかもということね。」


 メムも納得する。



 的の準備をしてさあ試し撃ちだ。

 まずは火属性の新開発中の魔弾【火炎弾】【爆裂弾】【裂火弾】【爆焔弾】【爆裂火弾】を順に各一発ずつ試し撃ちする。


 ドシュッ  ドコーン

 ドシュッ  ドコーン

 ドシュッ  ドコーン

 ドシュッ  ドコーン

 ドシュッ  ドコーン


「何かこれって……どれも似たり寄ったりな発動と威力ね。威力はあると思うけど。」


 メムが正直に感想を述べてくれる。うん、やっぱりそうか……。

地表面めがけて撃ってみたが、各魔弾の発動した跡をよく見ると微妙な違いはある。


「うーん、微妙な違いだとなあ……。」


 これだと種類を増やすよりどれか一種類にした方がいいかもしれないな。



 次に水属性の開発中の魔弾を試し撃ちする。【氷結弾】【氷柱弾】【水弾】【水刃弾】を順に各一発ずつ試し撃ちする。


 ドシュッ  ビシュッ

 ドシュッ  ビシュッ

 ドシュッ  ビチャシュッ

 ドシュッ  ビチャシュッ


「氷の威力は最初の二発はあまり変わりはないし、水の威力は何とも言えないわね。この水が発動する魔弾は何をイメージして開発したのかしら。」


 とメムは辛辣に評価する。


「水弾、水刃弾は超高圧の水が打ち込まれるイメージだったのですが……ちょっと考え直しますか。」


 俺はそう言いながらボロ板の的を確認してみる。やっぱり思うようには行かない。



 次に風属性の開発中の魔弾を試し撃ちする。【風刃弾】【烈風弾】【暴風弾】を順に各一発ずつ試し撃ちする。


 ドシュッ  ドバビューッ

 ドシュッ  ドバビューッ

 ドシュッ  ドバビューッ


「わっぷっ、もう、急な大風を吹かせただけじゃない、あ、でも、最初のは威力あったのじゃないかしら。」


 メムが風にあおられて飛んできた砂埃に顔をしかめながらも的確な感想を述べる。


「ああ、確かにメム様の言うのはごもっともでしょう。これはもう明確ですね。」


 的になった人形の状態を見ながら俺もメムの感想に同意する。



 次に土属性の開発中の魔弾を試し撃ちする。【剛岩弾】【岩礫弾】【土流弾】を順に各一発ずつ試し撃ちする

 

 ドシュッ  ドギャッ

 ドシュッ  ドギャッ

 ドシュッ  ドギャッ


「これは評価しずらいけど、最初の魔弾は貫通力があるわね。次のは小さな石が拡散して当たるのだけど、威力不足ね。最後のは問題外ね。」


 メムが的に近づきながらそう評価する。

 俺も的に近づきメムの言うことに納得する。


「じゃあ本日はここで終わらせて、記録をとっておきますか。」


「え、ダンの体力がもう尽きたとかなの?。」


「いえ、記録とフィードバックが優先ですから。」


「残りの光属性と、闇属性はどうするの。」


「後で試しましょう。」


 そう言ってロッジに戻り、早速結果を記録にかかる。



「うーん、火属性に関しては【火炎弾】を中心にしばらく撃ってみますか。【爆裂火弾】は強敵用にとっておきます。」


「【爆裂弾】【裂火弾】【爆焔弾】はどうするの。」


「開発中止します。火炎弾と似たり寄ったりの結果なのでだったら種類を絞る方がいいかもしれません。」


 メムとそう会話しながら昼食をとりながら、記録していく。


「じゃあ、次は水属性に関しては【氷結弾】のみに絞りますか。火消し用に【水弾】を持っておきますが。」


「当たり前よ、【水弾】【水刃弾】もよく言っても水鉄砲じゃないの。」


「まあそこまで厳しく言わなくても。風属性の方も同様に【風刃弾】を中心にして【烈風弾】【暴風弾】は開発中止します。」


「それもそうよ。【烈風弾】【暴風弾】は埃っぽくなるだけの結果しか生まないわよ。」


「最後に土属性に関しては【剛岩弾】を中心に【岩礫弾】は持っておく。【土流弾】は開発中止ですね。」


 メムとそう会話しながら、記録を取り、紙に記載していく。そして残りの昼食を一気にかき込む。


「でもこうやって魔弾の試し撃ちをすると、結構思うようには行かないってことがよくわかるわ。私の必殺技の開発につき合わせて悪かったわね。」


「まあ、わかっていただければありがたいです。じゃあ今後の魔弾の運用は……。」


 俺はそう言いながら


『火炎弾、氷結弾、風刃弾、剛岩弾』


 と書き記しておく。


「でもこれなら使い方次第で狂獣クラスとも渡り合えるかしらね。」


 メムが少し楽観的に言うが、


「いや、まだこのクラスに遭遇していませんので、開発をしないというわけにも行かないでしょうし、今後次第ですよ。」


 俺は気を引き締める。

 このあとは魔術の研究を続けて今後の魔弾の開発についても考える。


「四文字と三文字の威力の違いはどうするの。」


「まだ研究続行でしょう。明確に証明されたものでもないので。火属性の【爆裂火弾】にはまだ可能性はあると思っていますので。」


「まあ、ここまでくると実戦で使ってみるのも考えないといけないのね、ダン。」


「ええ、研究してもこうやって試せばいろいろ出てきますから。実戦データはいいものが取れればありがたいのですが。」



 そうして翌日は光属性と闇属性の魔弾を試し撃ちした後、


『火炎弾、氷結弾、風刃弾、剛岩弾、閃光弾、闇黒弾』


 と記録に記して、この6種類を当座は主力魔弾として使うことにする。漢字四文字の魔弾については今後も開発を続けることにしよう。



 自主特訓最終日の夕食を終えた頃にガーワンバーさんとトレガーマさんがやって来て

「自主特訓、お疲れ様でした。明日からパーティ単位での行動になります。まずは最初にパーティ同士でのバトルロイヤルになります。最後の1パーティになるまでの戦いになります。」

 と、ガーワンバーさんが俺たちに告げて紙を渡す。

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