表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

114/189

114弾 調査の進め方考えよう

 メムと俺が現状で推理できることについて話をしたところで、一休みを入れる。

 メムが、


「そういえば、パーティ名が、七つ星 (シエテ・エステレイア)から四つ星 (クアトロ・エステレイア)になったのは、何か意味があるのかしら。」


 と疑問を口にする。


「うーん、俺が思うに、……人数を意味しているのでは。四つ星 (クアトロ・エステレイア)といった時には、俺を除いて人数4人でしたから。」


「じゃあ、七つ星 (シエテ・エステレイア)の時は、7人のパーティメンバーだった?。」


「おそらくそうでしょう。」


 俺がそう短く答えると、メムは首を傾げながら、


「うーんと、ダンが臨時メンバーでいた時の4人と、あの3姉妹のご両親2人、あと1人はどうなっているのかしら。」


「そこをこれから調べましょう。」


「まずは、借りた冒険日誌とかを読んでいくのね。」


 部屋に積まれた資料の山をメムが見上げる。


「全部みっちりと読む必要はないでしょうけど。」


 俺はそう言って、まずは読み流しにかかる。

 メムも意外にも俺と一緒に読み流してくれた。



 昼食も朝食と同様にパオニスをかじりながら、資料を読み流しつづける。


「何か、警察映画の刑事のようね。安楽椅子探偵のような。」


 とメムが読み流しながら呟く。


「少し休憩しますか。昼食後もほぼ読み流しているだけですから。」


 俺も気分転換することを考えて、そう提案する。


「そうね、まあ、読み流すのも意外と大変だったわね。」


「肝心のところを書いた物が無いわけですから。地球に転移した前後のところから探らなければならないですが、それが無いのはきついですね。」


 自部屋にこもっているので、水差しの水をコップに入れ、メムには平皿に入れて水を飲む。


「ふぅ、つかぬことを聞くけど、ダンは酒は飲まないのかしら。」


「中身は50歳、外見は17歳。外見に引っ張られているのと、前世じゃお酒は20歳からでしたので、飲まないようにしていますし、財布に余裕がないものですから。それに、二日酔いはキツイですから。」


 まあ死んだ時二日酔いだったし………。


「ところでメム様はどうなんですか。お酒は飲まないんですか。神の酒ってあるのですか。」


「……あれは、私飲めないし。」


 じゃあ神の酒はあるのか……。


「飲めないっていうのは、弱いということですか。」


「ええ、神酒 (みわ)というのがあるけど、そんなに量があるわけじゃないし、どうも私酒弱いのよね。」


「じゃあこのトゥーアール世界のお酒も。」


「飲みたいとは思わないわ。酒より飯よ。美味なるものが必要なのよ。」


 ああ、これ以上の話は、また食事2〜30人分を平らげることになりかねないから、話の方向を変えよう。


「囮調査についても考える用意はしておきますか。」


「ダンがやるのはいいけど、まだ方法とかは考えていないでしょ。私が前に勢いで言ってしまったけど。」


「そうですか。……まあ、読み流しても、ある程度は情報もまとまってきましたからね。ここから考えていきますか。」


「まず、メンバーよね。」


「この資料から見るに………。」


 休憩を終えて、さらに読み流し続けて、七つ星 (シエテ・エステレイア)に関係する人名をメモに書き写していく。


『イハートヨ・ダノーツ

 ニザール・ノーンツ

 タータル・ズースキティ

 ベランツ・ダイアーナム』


「この4人は前にダンが臨時メンバーで一緒に依頼を完了させた4人ね。」


「ええ、まあ、魔法を発動させて誤爆させてしまいましたが。」


 まあ、パーティを組む際の、それと再活動に際してのいい教訓にはなったのだけど。


『チャティーア・バードスタ

 チャティーア・アネミク』


「これが私たちが調べている3姉妹のご両親ね。」


「まあ、この冒険日誌は結婚してからの記録が一番古いようですから。結婚前の話が全く冒険日誌にも無い。」


『リュキード・マーフォー』


「読み込んで、ようやく姓名が分かったメンバーですね。」


「この方が再活動には加わっていないのよね。」


 7人の姓名を書き写す。


「もしかしたら、この中に今までの件の黒幕がいる、と言うことね。」


「うん、1人とは限らないですよ。複数、5人全員ということもあり得ますし。」


「でも、まずはこのリュキードさんについて調べるのね。」


 メムが少し疲れた声で言う。一緒にずっと読み流していたからなあ。


「そうですね、ただそれは、明日からにしますか。これから外で夕食にしましょう。」



 近所の食堂で夕食にする。

 久しぶりの外食だったのか、メムは20人前の食事を平らげた。


(いやー、ちょっと3姉妹に遠慮していたから、久しぶりにガッツリ平らげたわ。)


 メムはまあ、満足げであった。酒について会話した時に、俺が話をそらしたはずだったが、全く効果はなかったようだ。



 夕食を終えて、自部屋に戻るとすぐにドアがノックされた。

 ドアを開けると、ミアンとヘルバティアの姿が。


「ああ、メムとの入浴ですね。」


 俺はそう言って、メムを呼び2人に引き渡す。ヘルバティアがさっさとメムと一緒に浴室に向かう。


「あ、あの………。ニシキさん。………えっと。」


 立ちすくんだままのミアンが、何か言いたそうにしていたので


「あ、お借りしていた資料、冒険日誌については明日お返ししたいのですが、よろしいでしょうか。」


 とミアンに尋ねると、


「……あ、はい。………構いません。」


 そう答えて、そのままヘルバティアらがいるところへ踵を返して戻っていった。

 俺も灌水浴室でシャワーを浴び体を洗い、自部屋に戻った。



 調査の方法を考える。

 まず、盗られた2枚の絵について相似なものを作成する。それを持って不明の1人を除く4名に聞いてみて反応を見る。同時に不明の1人、リュキードを探すか。

 いや、俺が変装して、残った3枚の絵を売るという手にするか。それは盗られた2枚の絵について聞いた時の反応を見てから、そうするか。うーん、どうするか。そのためには、3姉妹に聞いてみるか。

 待てよ、3枚の絵の贋作を作って、それをこの家から盗んだことにして、………誰にその話をするかだな。

 計5枚というのを計7枚にして、ガセ情報を流して喰いつきをみるか。

 ………だめだ。今の段階では、まだ確固とした調査手段が浮かばない。

 変装についても考えるか。うーん、あえて組合本部長に弟子入りして変装術を学ぶか。

 そうこう考えている間に、ドアをノックして、ミヤンがメムを連れてきた。


「本日もありがとうございました。ティア姉さんもあまりメムちゃん、メムちゃんとべったりしなくなってきました。」


「へえ、そうですか。……まさか一時的にそうしている、ということは。」


「多分ないです……よ、ね。」


 結構自信を持っては言えないようだ。


「あと、ミアン姉さんから聞いたのですが、明日、資料と、冒険日誌を返却するのですね。」


「ええ、そうです。」


「助力の方はじゃあ。」


「調査方法を考えてから、こっちで調べてみます。その結果次第で、俺がどう助力するかになるでしょう。」


「わかりました。」


「この家の侵入、襲撃への警戒の方はされているのですか。前に何か魔道具みたいなものを使っていたようでしたが。」


「ええ、今も警戒用の魔道具を使っていますから。」


 あまり聞くのもどうかな、ここらにしておこう。

 ミヤンが一礼して俺たちの部屋から退がって行った。


「じゃあ、今の会話からすると、調査方法については。」


「まだ考え中です。調査の順番と方法を考えるのは手間がかかるでしょうから。」


「ふーん、そうなのね。」


 メムが小首をかしげながら、寝床へ向かう。と、ふと振り返り、机に飛び乗り、俺の顔をじっと見つめる。


「どうしたのですか、メム様?。」


「いや、あなたって……ね、なんと言ったらいいか。」


 そう言ってこれ見よがしな感じで、ため息をつく。


「本当にどうしたのですか。最近メム様、何かおかしいような気はするのですが。あ、風呂上がりに何か変なものを食べたのじゃないでしょうね。」


「ふー、………これは重症ね。」


 そう言ってさっさと寝床に潜り込む。

 うーん、一体何が言いたいのだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ