第四十八話 太陽の灯りを貰う月
「お前、もっと他の奴らを構えよ! 俺はもうどうでもいい! 人間なんて知らない!」
「馬鹿、立ち直りかけてるときに騙されたからって、全員疑おうとすんじゃないよ!」
「もう誰も知らない、誰も、誰の言葉も聞くものか! だからお前は、他の引きこもりかけてる奴の側に……」
「一人じゃない人間って絶対居るんだよ」
柘榴は見えない壁を再びどんっと叩いて、怒りに満ちた眼で陽炎を睨む。
どうして判ってくれないんだ、と眼が強く訴えている。
その眼は太陽を思わせて。強く燃えさかってる太陽が自分を夏の日差しのように焼いてるようで。ちりちりと肌ではなく、心臓や胸が焼かれてる気がした。
「おいら、気づいたんだ。るおーがあんたには居たように、絶対側に誰か居るんだよ、寂しがり屋には。気づいてたり、本気で気づかなかったりするけど、絶対側に居るんだよ。居ない間もあるけど、いつしか出来るんだよ、そういう奴が! だから、おいらが余計な手出しなんてする必要はないんだよ。あんただってそうだったけど、おいらから構いたかった! だから、おいらはおいらが側にいたいから勝手に、あんたの側であんたの周辺見守りたいんだよ!」
他の奴なんてもうどうとでもなれ! そう叫ぶ柘榴に、……陽炎は泣きながら、頭を抱えた。
人を、人をまた信じて良いのだろうか。
この人をまた信じて良いのだろうか。この人は裏切らない、この人は騙す人じゃない。
そうは判ってはいるけれど、いつ自分がまた一人にされるか判らない。
人間はそう、いつ死ぬか判らないから。
その不安を見透かしたように、別の誰かが言葉にする。
「柘榴なら、出来るだけ健康面にも周りにも気をつけさせますし、魚座どの達をボディーガードにつければいいでしょう、どうしても心配ならば」
淡々としているけれど、何処か焦りの交じった声。その声主は強気の視線で自分を見ているのだろうけれど、糸目だから判りづらい。
「鷲座……」
「道具に頼りすぎてはいけません。だけど、道具を利用するなとは言ってない」
「……わし、ざ…」
「――それに、そこまで怖いのならば、また他の人と交流すればいいでしょう。そこを恐れてしまうところが、君のいけなくも弱い所だ。人はゴキブリのようにいるんだから、また気の合う仲間は見つかる。裏切られ裏切る、またそれがあるだろうけれど、そうなったときは、小生らが慰める」
「そうよ、慰めるのなら任せてよ! 人が良いって言うなら、人に乗り移ってあーんなことや、そーんなことをして慰めてあげるから!」
「ちょ、ちょっと言うことが下品すぎる、大犬座どの」
大犬座が続けて卑猥なことを言おうとするのを鷲座が慌てて止めて、彼女の口を両手で塞ぐ。
その様子に呆れながらも、思わず苦笑してしまうと、自分を抱きしめる力がこもり、鴉座がいることに気づく。




