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【賢者編】 講義準備〜緊張緩和の呼吸法2つ〜エリーゼ回想〜印象形成〜自信が持てない #4-2

こちらは有料記事となっております。

全文購読を希望の方はこちらからどうぞ。

https://note.com/otea_stalk/n/n4f6ea36c5ae6

◆はじめに──シルより


 これはサイドストーリー、お母様目線のお話よッ。基本的にメインストーリーだけで完結するようになっているから、興味があれば読みなさいッ。

 大きな進展はしないけれど、科学的な用語や解説、面白い発見のようなものがメインよッ。だから、少しだけ科学リテラシーが必要になるわッ。

 あとは、アナタたちの世界に重きが置かれているものだから、ちょっとだけリッカ目線よりも理解しやすいかもしれないわねッ。

 でもまぁ、作品をコンプリートしたい人と、心理学などを学びたい人以外はやめておきなさいッ。お金と時間のムダよッ!



◆本編


 大学講師を強要されてしばらくすると、ノートPCのスケジュール管理アプリに予定が共有されていた。ざっくりいうと──『通信魔法を使い、ワシを紹介したのち、午前中いっぱい講義』とのことじゃった。さらに、『一言ないし、5分以内のスピーチ』を行うよいに、という旨であった。嫌じゃのぅ……。

 見ての通り、ワシはか弱き乙女じゃからなぁ。──ん? 誰がロリババアじゃて? とかゆう、イマジナリーフレンドのボケにツッコミをいれるような歳でもないの[1]。


(シルがいないと、少し寂しいのぅ……)


 ──そう思いながら、重い腰を……軽々と腰を上げる。先日の一件から、この日のために、フォーマルな装いを仕立てに行ってきた(ネット越しに)。正直、ドレスとも迷ったが、カラーレスのジャケットが気に入ったためパンツスタイルに、オーダートレンチコートを合わせた。届いた《ジージルー》に袖を通すと、なんともいえない(ひん)があった。《ジージルーチェック》最高じゃ。

 当然、ここだけ時間の流れが違うために出来た芸当だが、それはトップシークレットなのじゃ。このチーティングを知る者は、ワシの他にシルのみ。絶対にバレることはない! ギャハハハハハ──。


(さて、そろそろ準備をしようかの)


 近ごろのトレンドは『クワイエットラグジュアリー』だと聞く、そのためバケットハットはブラックにしたが、オーセンティック感が増していい感じじゃわ。これならナメられる心配はないな。


◇ ◇ ◇


「なるほど。もう何人かに訊こうかの。

 じゃあ、そのぬかるんだ態度の、ぬし──」


 やべー! ぬかんるだ態度ってなんじゃー! ついうっかり口を衝いてしまった……。

 ──あれ? でも、意外と誰もなんとも思ってないんじゃね? ラッキー! よしよし、権威を示さねば……。


「えぇっと……、いろいろできる便利なものです……かね」


「うむ。それも良いじゃろう。

 では、もうひとりくらい……ああ、そこのイラストの……ぬし──」


 やべー! なんか精霊王さまの圧に負けて選んでしもうたー!

 あっ──操作ミスったー! お、お、お、落ち着け、ワシ……。ヒーヒーフー、それラマーズ法じゃぁぁあああ‼︎

 そうじゃ! あの呼吸法『ボックスブリージング』を試そう[2]。やり方は確か──4秒かけて息を吸って、4秒とめて、4秒かけて息を吐いて、4秒とめるのを3回繰り返して[3]──と、落ち着いてきたぁぁあああ!


「ぁ……h、はい。あの……魔法は、sすべての根源であり、sすべてを構築している可能性がある……といわれる事象を説明するための総称です……と思いまつ」


 ワシは失敗を繰り返さないため、ここからは人生の聖書(バイブル)こと《Dr.(ドクター) Volition(ボリション)》を思い返しながら、次に続く言葉を考えることにした。こんなことなら、スピーチ原稿をしっかり作り込んでくるんだったのぅ……。


◇ ◇ ◇


 なんとなくいい感じに喋れたんじゃないじゃろか。ただ、さっきから左上に固定してあったウィンドウに映る、立花の姿が……どれだけポジティブに考えても、飽きている。


(あからさまに、上の空じゃな……)


 でもま、仕方ないじゃろ。まだ立花には少しだけ早い話じゃ。追い追いは、科学知識を身につけてもらわにゃいかんがの。


──88888888(パチパチパチパチ)──


「賢者さま、感動しました」

「てぇてぇ……」

「エモすぎなんですけどぉ」

「賢者ちゃぁぁぁん」


 おいおい、英里(エリーゼ)のやつ、自分の立場を忘れてるんじゃなかろうな。というかあれは、感極まっておるな……。

 それはさておき、いつもなら誰もより先に褒めてくれる相棒(シル)が、今はそばにいない。洋服を試着した時もそうじゃが、リアクションがないのは少し寂しくて、心に小さな空虚を感じるものじゃな。

 こうゆう時は、『片鼻呼吸法』じゃ[4]。えーと、まずは──


①右手の手のひらを自分の方へ向ける

②人差し指と中指を曲げる

③親指で右の鼻を押さえる

④左の鼻からゆっくり息を吸う

⑤薬指で左鼻を押さえて、1秒とめる

⑥右鼻から親指を離す

⑦右鼻から息をゆっくり吐く

⑧右鼻から息をゆっくり吸う

⑨親指で右鼻を押さえて、1秒とめる

⑩左鼻から薬指を離す

⑪繰り返す


 ──という感じで、フゥ。なんとか落ち着いたのう。


「──そうじゃな、せっかくじゃから、最後に話してくれたイラストっ子、よい着眼点じゃったから、なにかフィードバックがあれば教えてくれんかの?

 仮名も教えてくれると嬉しいぞ」


◇ ◇ ◇


「それでは講義──といっても、厳密にディテールを語ってしまうと、まったく興味が持てないじゃろうから、フランクなものを、ぬしらと一緒に考えていこうと思う。今しがたの話も途中でダレてしまった者も多かったようじゃしの」


 ぁっ……目にまつ毛が……痛いのぅ。ゴロゴロするのじゃぁ……。──よし、どっかいったぞ!


「──生徒らの多くは20歳前後じゃろうから、丁度バイタリティに溢れる時期じゃと思う。ゆえに、ワシが選んだテーマはこれじゃ!」


 よしよし、掴みはバッチリじゃな!

 このテーマに辿り着くまで、それはそれは遠い道のりじゃった──。まずもって夜は寝れず、朝になってから床に就き、平均してたったの10時間しか眠れておらん。美肌の敵じゃ。


(まぁ、たまたま一気見してた《やおや様は告られたい》で思いついただけじゃが。本当は、一晩も悩んでないんじゃが)


◇ ◇ ◇


 はぁぁぁああああ、疲れたぁ。……これから、こんなことが続くんじゃよね。メランコリック……。

 さてと、英里(エリーゼ)とミーティングせにゃならんし、とりあえず着替えるかの──。んー、まぁこの《無職(はたらかず)の誓い》ロンTでよいか。あと下は見えないし、ワンマイルウェアの《crepe(クレッ) waffle(フル)》でよし、と。


──ピーピピピピッ、ピーピピピッ、ピピピッ──


(時間のようじゃの)


 液晶魔法を使うと、余分に疲れるからPCに接続してあるわけじゃが、そこまで移動するのが難儀じゃの。まぁ、軽快な足取りで向かえるからよいのじゃが──。よっこいせと。


「お疲れちゃーん、賢者ちゃん」

「ぬしもお疲れさん。よっ‼︎」


 グフフ──。早速、英里に対抗魔法を使ってやった……ぞ?


「ぬし、そんなだったか?」

「……え? ん? あ、あああぁぁ‼︎」


(あれ? 英里ってこんな顔してたっけ?)


「──って、うわぁ。最悪……。対抗魔法使ったでしょ?」

「うむ。使った!」

「はぁ……ずっと隠してきたのに……」


※ ※ ※


〈エリーゼ回想〉


 これは僕がまだ学生だった頃、通魔大が通信魔法を主流としない時代、今の賢者ちゃんと同学年だった時──。


_________________________________


 続きはこちらから

https://note.com/otea_stalk/n/n4f6ea36c5ae6

◆参考文献


[1]Davis, P. E., Meins, E., & Fernyhough, C. (2014). Children with imaginary companions focus on mental characteristics when describing their real‐life friends. Infant and Child Development, 23(6), 622-633.


[2]Balban, M. Y., Neri, E., Kogon, M. M., Weed, L., Nouriani, B., Jo, B., ... & Huberman, A. D. (2023). Brief structured respiration practices enhance mood and reduce physiological arousal. Cell Reports Medicine, 4(1).


[3]Myerholtz, L. (2023). Take a Deep Breath. Family Medicine, 55(4), 284.


[4]Pal, G. K., Agarwal, A., Karthik, S., Pal, P., & Nanda, N. (2014). Slow yogic breathing through right and left nostril influences sympathovagal balance, heart rate variability, and cardiovascular risks in young adults. North American journal of medical sciences, 6(3), 145.


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