創作自分史のススメ
みなさん、こんにちは。未来屋環と申します。
日々リーマンとしてせっせと働きながら、週末はゆったり文章を書いて暮らしております。
こういう語り口でエッセイを書くのは初めてなのですが、固い文体で途中まで書いたところで「これは伝わりづらい……」と気付き、ラフに書くことにしました。
よろしければ最後までお付き合い頂けますと幸いです。
さて、ことの始まりは、部屋の掃除中クローゼットの奥から白いバスケットが出てきたことでした。
中には大量のノートの束。きちんと使い切られたものから、冒頭の数ページしか埋まっていないものまで。共通点は、漫画・イラスト・詩・その他諸々、作品にはなりきれていない何もかもが書き散らされていることです。
およそ十数年前――人生で一番ものを書くことに時間を費やしていた頃に、衝動のまま描かれた自分の残滓を発見いたしました。
いわゆる『黒歴史』に近いそれを見ることは、いわば青く若い自分と対峙するようなものです。最初は恥ずかしさを覚えつつ眺めていたのですが、次第にその中でも或る程度読めるものや、今の自分にはとても書けないであろうものが存在することに気付きました。
思えば、確かにあの時はとにかく時間がありました。学業や部活動はそこそこあったものの、心動かされるものに触れては、それを作品やそこまでには至らない切れ端として吐き出していたのです。
大人になってまたものを書き始めたのはここ数年のことですが、なかなか感覚が取り戻せず、どうやったらあの時のようなものが書けるのか悩んだこともありました。
――そして、ふと思いました。
自分の創作活動の歴史を辿ることは、もしかしたら今後の作品づくりに活きるのかも知れない、と。
世間では自分史なるものを作ることが密かなブームのようです。就職活動の際の自己分析に活用したり、定年退職等人生の節目で自分を振り返ったり。
翻って自分はどうであるかといえば、会社の研修で「自分のキャリアを振り返ってみましょう」と促されたり、転職サイトに履歴書を書いたり、学生さんや新入社員に会社生活についてご高説を垂れたり(お恥ずかしい)と、あくまで仕事人生の振り返りしかしていませんでした。
今回自分の創作人生を振り返ることが、次の作品づくりに繋がっていけば良いなぁと思います。
また、個人的な興味として、他のなろう作家さん達がどんな変遷を経て今も創作活動を続けていらっしゃるのかを知りたいということもあるのです。
何故なら、今私の周囲に創作活動をしている友人・知人がほとんどいないから。
このエッセイを読んで下さった方々が、自分はどうだろうと振り返る切っ掛けになったり、更には創作自分史を作ったりして下さったら嬉しいな、と一人妄想しながら書いております。
(全然関係ないですが、『私の履歴書』とか結構好きなんです)
ということで、ざっくりと振り返ってみました。
1.小学生時代
作文以外で初めて文章らしきものを書いたのは、低学年~中学年くらいの頃だったと思います。確か金〇一少年に憧れて、そこからインスピレーションを得た警察モノ(?)を父のワープロで書き、印刷して部屋に貼っていました。
それ以外は漫画を描いて過ごしていた思い出。
2.中学生時代
漫画を描いて仲の良い友人達に回して読んでもらっていましたが、画力のなさに挫折。小説を書き始めたところ、自分の表現したい内容を表す媒体として小説の方がマッチするということに気付き、オリジナル・二次創作含め色々と書き始めます。
長編連載作品を書いている際に、優しい友人達にイラストをもらったりキャラ人気投票に協力してもらったりしつつも、外伝やら何やらに手を出しまくった結果収拾がつかなくなり、完結の日の目を見ないまま中断してしまいました……(ちなみにローファンタジーでした)。
今思えば、この時期にインプットした漫画作品や、どっぷりはまり始めた音楽作品が自分の創作のルーツになっているようです。
3.高校生時代
部活動で音楽どっぷり期。掛け持ちしていた部活では慣れない脚本も書いていました。
大学受験勉強等もあり、小説は趣味で人に見せない(というか見せられない……)自己満足作品を書くくらい。とはいえ何か書かないと書けなくなってしまいそう……ということで、合間を縫って詩をちょこちょこ書いていました。
余談ですが、なろうに掲載している作品『CIRCLE OF LYRICS』はこの時に友人達とやっていた四行詩リレー企画がベースとなっています。
4.大学生時代
文学に全てを捧げようと思っていたはずが、紆余曲折あり、最終的に「人生経験を膨らませよう!」という方向に振り切ります。いわゆる陽キャのみなさんと過ごすリア充生活を送った結果、創作活動から大幅に距離を置くことに。
一方でこの時の経験は、自分の人生およびその後の作品にとても大きな影響を与えたので、結果的には良かったかなぁと思っています。
創作の観点からいえば、「一度くらい賞に応募してみよう」と初めて長編作品を何とか書き上げ、某ラノベ大賞に投稿、無事即落ちした記憶。これもローファンタジーでした。たまに読み返すと、ツッコミどころ満載です。いつか書き直して成仏させたいものです。
5.社会人時代(社畜期)
何とか内定をもらって入社したは良いのですが、諸々の事情により大社畜時代を迎えます。早朝から深夜まで仕事。会社の近くの健康ランドが私の第二の家。もうものを書くどころの騒ぎじゃない。
思い返せば、作品『シュレッダー』の原型はこの時にプリントの裏側に書いたものでした。当時の自分の妄想が多分に含まれていたことでしょう……。
その後も転勤等ありつつ社畜精神は変わらず、もはや人生は仕事一色。「いつか作家になりたい」というのは遠い妄想として心の奥底にしまい込んでいました。
6.社会人時代(執筆再開期)
或る日赴任した新職場は、残業する人がそんなにいない、いわゆるホワイト職場でした。時間ができたことで、ふと「作家になりたいって口先だけで何もしてない自分、ダサいな……」と思うようになりました。
そこで、十年以上ぶりに短編作品を書き、賞に投稿します。その時に書いたのが『一週間の恋人』です。結果が出ないのはまぁ想定内ですが、それよりも昔のように言葉が出てこないことにびっくり。これは書き続けないとまずい……と、その後も『Fooled for Your Loving -エリート会社員は友と音楽に思いを馳せる-』『ハイヒールを脱いだ朝』を書き、リハビリを続けます。
その後海外駐在中に世界中でコロナが大発生。外出禁止となってしまったことで時間ができ、思い立って『小説家になろう』に登録しました。ただ投稿するもなかなか読んでもらえず、あまり更新はしませんでした。
7.社会人時代(最近)
たまたま社内で知り合った方と馬が合い、色々お話している時にその方がなろうの読み専であることがわかりました。仲良くなった後でこっそり「実は自分も書いているんです」と伝えたところ、「えっ読みたい」と言って頂き、執筆を再開。誰かに読んでもらえると思うと、モチベーション上がりますね。
そして、自分でも他の方の作品を読んで感想やレビューを書くようになり、少しずつなろうの書き手さん達ともやり取りをさせて頂く機会が増えてきました。そのお蔭でモチベーションを維持できているというところも多分にあります。
先日十年以上構想しつつもずっと書けていなかった長編『夏よ季節の音を聴け -トラウマ持ちのボーカリストはもう一度立ち上がる-』を書き上げてほっと一息。何となく一番自分がものを書いていた中学~高校くらいの感覚が取り戻せたかなぁと思いつつ、現在に至ります。
……思ったより長くなってしまいました。
こうやって振り返ってみると、書くことから距離を置いていた大学生時代~社畜期が勿体ないような気もしますが、この時の色々な経験が今の作品に活きていると思えば、まぁ結果オーライかなとも思います。
過去の経験から、継続的に書くよう習慣化しないと続けられないという自分の習性に気付いたので、今は週一ペースの更新と決めて書いています。
個人的見解ですが、私はものを書くことは言葉を喋ることにも似ているなぁと考えておりまして……英語学習の際に、一日勉強をしないとその感覚を取り戻すのに一週間かかるという言葉を聞いたことがあるのですが、それに近いものを感じていました。
幸いにも「書く」ということについては、日々の仕事の中でメールやら企画書やらを書いていたので、完全に離れた生活を送ってはいなかったのですが、それでも創作活動として「ものを書く」勘所を取り戻すのは、私は結構時間がかかったなぁと思います。
勿論それは人それぞれなので、全くブランクを感じない方もいるとは思いますが(羨ましい!)、私にとっては少しずつでもものを書いていくということは大事なんだろうなぁと。
取り留めもなくここまで書いてしまいましたが、もしよろしければ、あなたも『創作自分史』書いてみませんか? もしかしたら新たな発見があるかも知れません。
その暁には、読みに伺いますので、是非教えてくださいね。
(了)
思い立って書き始めたら、意外に長くなってしまいました。
他の方の創作自分史にすごくすごく興味がありますが、結構書いている方いらっしゃるかも知れませんね。
もしよろしければ、感想欄にでも是非書き残していってください。