転生
小説ほとんど読んだことないですが、上手に書けたら楽しいだろうなと思い、書く練習をしてます!
「始まり」4/1(月)
――ここは一体
真っ暗で殆ど何も見えないが、太陽光が少し差し込んでおり視界がほんのりと明るい。視覚、聴覚、触覚、嗅覚はあるそうだが、味覚が全くない。
「あるかなぁ……てか、お金集めてなに買うんだ?」
「んー、お菓子買って一緒に食べようぜ!」
小学生だろうか。元気で甲高い声が近いづいてくる。
そうだ、俺はドクターストップがかかっていたのに、自家発電のしすぎで死んだんだ――
情けない二十四年間の人生だったなと自分を自嘲していると、いきなり視界が開け少年の顔が覗き込んでいた。
「あったぞケンタ!でも十円玉一つか」
「まあなにも無いよりましだよ。これで三百七十円か。そろそろコンビニ行くか」
どうやらこの白米が好きそうなぽっちゃりとした顔の少年が健太という名前らしい。
「え、おい今なんて?俺が?……ジュウエンダマァァァァァ!?」
訳のわからない少年の発言に素っ頓狂な声が出た。と思ったが発声は出来ないらしい。そして、少年健太のガムシートでとまる折りたたみ式の財布の小銭入れに入れられた。
少年たちは楽しそうに話ながらコンビニに向かって歩き出した。
「なんでだよ。なんで俺が十円玉に転生してんだよ。そもそも人以外に転生するものなのか?普通は中世のヨーロッパ風なところに最強スキルを持って転生するもんだろ!てか十円って現世での俺の価値を暗示してね?」
そうこう戸惑っているうちにどうやらコンビニに着いたらしい。
「なぁみっくん、集めた三百七十円をニで割って一人百七十五円ずつな!」
「てか三百七十をニで割ったら百八十五だし」
二人は熱心な顔をして食べたいお菓子を選んでいる。
そういえば俺もガキの頃は母ちゃんに貰った三百円を握りしめてコンビニの駄菓子コーナーに行ったものだ。そして予算内で最大の幸福感が得られるように真剣な顔で購入する駄菓子を選んだものだ。
俺はいつも買うものが大体同じモンばっかだったけな。きなこ棒、チョコ棒、当たり付きで十円の焼きそばの元のようなお菓子とアイスなどだ。
などと考えていると、いかにもわんぱくな服装のケンタがトイレから帰ってこようとしていた。しかしケンタはトイレを出てすぐ横にある成人コーナーに目が留まった。
ケンタは『誘惑の昼下り ~獣と化す人妻と近所の大学生』という成人誌に手を伸びしかけたその時、ガラス越しに後ろに他の客がいることに気が付き手を延ばすのをやめたが、他のところが伸びてしまった。
「おいケンタ、早くレジ行こうぜ!」
少し慌てた声で返事をし、会計を済ませてコンビニのすぐ近くの公園に向かったのだった。
俺はレジ機の小銭入れのところに入れられて数週間人の手に渡ることはなかった。