5話:次なるターゲットは女騎士。それとステータス
「擬態能力……そうか。それを使って、城に忍び込んだのか」
魔王が勇者を殺す為に作った暗殺用スライムとはいえ、世界でも屈指のエクリプス王国の城に忍び込むのは容易ではないだろう。
こうしてあっさりと、地下牢までたどり着けたのは、この擬態能力を利用したに違いない。
「これは……今後、とても役立つ力だな」
他者に化けられるアイの能力を使えば、俺の寝取りの力による戦術も広がる。
これはもしかして、とんでもない幸運の波が俺に舞い込んでいるのかも。
「えへへ、凄いでしょ? ねぇねぇ、チューは? チューはしてくれないの?」
「ストップ! その姿のままじゃ、ダメだ!」
両目を閉じてキス待ち体勢に入るアイだが、今の姿は見張り番の男である。
元が美少女だと分かっていても、この顔とキスはご勘弁願いたい。
「あっ、そっか。じゃあ戻るね」
「うん。やっぱりアイの顔が一番だよ」
「んふふふっ……もっと褒めて! ちゅーっ!」
本来の姿に戻ったアイが鉄格子をにゅるんとすり抜けてから、俺にしがみついてキスをしてくる。
こんなにも可愛らしい風貌と仕草ではあるが、ついさっき大の男をミンチにして殺してから食った魔物だというのだから……恐ろしい。
「アイ、その擬態能力は制限なく誰にでも変身できるのか?」
「ううん。私の体と同じくらいのサイズじゃないとダメ。それと、擬態していられるのは……ほんの短い間だけ」
「時間制限アリか。じゃあ、使い所は慎重に考えないとな」
「私は何をすればいい? 私、いっぱいネトレの役に立ちたい!」
「そうだな。それなら――少し、頼まれて欲しい事がある」
俺はアイの耳元に顔を近付ける。
この場には俺達以外はいないから、わざわざこうする必要も無いのだが。
「あんっ……くすぐったい……」
こうした方が喜んでくれるので、しっかり有効活用するとしよう。
「――という感じだ。じゃあ、よろしく頼むぞ」
「うん。でも、見張りのフリは……いいの?」
「そっちはどうせ、いつもサボってばかりだからな。一日くらいなら誤魔化せる」
「分かった。念の為に、時々あの姿になって目撃されておくね」
「賢い子だ。そういうところも好きだよ」
「んふふふふふっ! 成功したら、ご褒美にいっぱいえっちしてね!」
アイはそう告げると、再びドロドロのスライムの姿へと戻り……這いずるようにして地下牢の階段を上がっていった。
「……さて、後は待つだけか」
上手く行く保証は無いが……その時はその時だ。
元々、終わってしまった人生なんだから。
どうせなら、博打のような勝負をしようじゃないか。
「ガティ……出来る事なら、アナタを巻き込みたくなかった」
でも、俺は世界の全てをぶち壊すと決めた。
そうなれば、この国もいずれは滅びる事になる。
アナタが俺の味方になってくれなければ、戦わなければならない。
「俺のモノにしてあげますよ。そして必ず――幸せにしてみせますから」
だから、今は堕ちてもらう。
俺と同じ立場まで。そして――共に這い上がりましょう。
この地獄のような世界の全てを、ひっくり返す為に。
『ステータスが更新されました』
<<ネトレ・チャラオ>>
【年齢】18歳
【職業】ニセ勇者
【性技レベル】D
【股間サイズ】16~22cm
【経験人数】1人(スライム1体)
【経験回数】12回
【戦闘レベル】20
【能力】寝取り(抱いた相手を自分の虜にする事が出来る)※未確定
<<アイ>>
【年齢】0歳
【職業】暗殺用スライム(ネトレのお嫁さん)
【性技レベル】B
【スリーサイズ(人間時)】B88 W57 H85
【経験人数】1人
【経験回数】12回
【戦闘レベル】65
【能力】擬態(自身の体を自由自在に変形させる)
<<ガティ・アグリッタ>>
【年齢】22歳
【職業】エクリプス騎士団2番隊副隊長
【性技レベル】F
【スリーサイズ】B76 W60 H89
【経験人数】0人
【経験回数】0人
【戦闘レベル】59