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LOST EARTH  作者: 古屋 零
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Ⅷ-A library of the wisdom-

四肢を鎖で繋がれた零の右目に浮かび上がる赤い魔方陣。

「コードナンバー……壱・零・零」

零の言葉と共にラボが闇に染まりだす。

「光があれば闇は生まれる、それは単純なことで切り離せない”絶対”」

箸蔵は闇に包まれながらも零を見失わないために動いた。

「今からでも遅くない! お前のデータを――!」

ゴットヘッドの力を使い、闇に消え入りそうな零を再度サーチする。

サーチすることにより、相手の身体情報、能力値、力、弱点等ありとあらゆることを網羅することが出来る。

零は箸蔵のその必死そうな姿を見て高笑いした。

「今の内に笑ってろ! お前はまだ動けないんだからな……」

「動けない? そうか、お前にはそういう風に見えていたんだな――」

箸蔵がサーチをし終わる前に零が闇に消えた。


「――ック、これっぽっちのデータじゃ……!!?」

断片的にサーチ出来たデータを元に、前回採取したデータと比べ相違点を見つけ出した箸蔵。

「何だこれは!? 前に見たデータに似ているが違う――」


<ジャララララララ――……>


金属が地面を擦る音が遠くから聞こえた。

「――動き出したか!!」

「――吹き荒らせ――風伯フウハク――噛み鳴らせ――鳴神ナルガミ――」


『ビョオオオオョオオオォォオオオ!!!』

『ヴァオオオアァアアアリィイイイ!!!』


2つの何かが発する雄叫び。

それは肌をびくつかせ、まるで圧迫された空気の塊かのように押し潰されそうになる。


全身に鳥肌が立つと同時に闇の世界にまばゆい閃光と疾風が走った。

箸蔵は油断していた為、この強烈な閃光により視力を失ってしてしまった。

永遠に。

「何なんだぁああ!? お前は、お前は本当に遠山 零な――!?」

全ての言葉を発する前に、2つの怪物に左右から押し潰された。

1つは圧倒的に凝縮された風、1つは濃密度に圧縮された雷。


風の神、風伯。


雷の神、鳴神。


役目を終えた2つの神は、雄叫びを残しつつ、再び深い闇へと消えた。

「伊達じゃないな……ゴットヘッド」

箸蔵は風と雷という自然にも屈せず、その原形をとどめていた。

「今度は塵一つ残さないぞ?」

「させ……るか!!!!」

失明した箸蔵に今、勝機は無い。

箸蔵は青白い魔方陣を地上から3メートル程の所にランダムに出現させた。

「これが俺の切り札……”英知の書庫”……」

零は気にすることなく、四肢に繋がっている鎖をもぎ取り、闇に包まれている箸蔵目掛け的確に投げた。

数トンの重さを持つ鎖が箸蔵にぶつかろうとした時、浮かんでいた魔法陣の幾つからか何かが発射され、鎖はその場で動きを強制的に止められた。

「視覚を奪われても尚、俺に歯向かうのか……本当に塵も残さないで死にたいらしい……」

零は飽きた玩具を壊しに、箸蔵の元に歩み寄る。

すると次は零目掛け魔方陣から何かが発射された。

前に進むにつれ攻撃が激しくなる為、一度後ろに後退する。


「これが英知の書庫、か……」

「理解したようだな? 今俺の周りには人間が抱えきれないような膨大な量の情報が渦巻いている」

零は中腰になり、全体を観察した。

「人類が踏み込めない領域に踏み込んだ時、この膨大な情報を処理出来ずに情報に殺される」

「つまり、魔方陣から発射されるのは英知――」

「正解だ……あくまで物理的攻撃じゃないんでね、絶対的に防御不可能」

しかしこの技にも弱点があった。

相手が近づかないことにはこの技は発動しない。

箸蔵自身もこの弱点については理解しており、勝機が無いことに気づいていた。

だからこそ、今は生きるために守りに転じた。

相手が折れて帰ることを待つために。


「そうか、もう喋らなくていい――」

しかし箸蔵は気づいていなかった。

原因は2つある。

一つは失明していたため、外部の情報が視覚的に得られなくなった事。

そしてもう一つ、自身の必殺技とも言うべき英知の書庫に絶対的自信を持っていたためだ。

だから気づかなかった。

すでに決着が付いているなどと。


零は箸蔵の胸にナイフを突き刺したまま、数歩下がる。

「お前に最後のプレゼントだ、絶望を楽しめ……」

突然箸蔵の視力が戻った。

箸蔵は奇跡的に視力を取り戻すことが出来たのだ。

不意に胸部に違和感を持ち目をやる。

そこには小型ナイフが突き刺さっているではないか。

「どういう……事だ――?」

刺されているということを自覚したと同時に、指された箇所から腐食が始まり、塵と化していく。

「うっ、うわぁあぁぁああぁああ!!!!」

悲鳴の余韻が消えぬまま、箸蔵は世界から存在を消された。


「この世界も戻さないとな……”時の魔術師”……」

箸蔵と零以外の時間が逆再生されていく。

「これでお前は塵一つ残らず、存在しない世界で死んだって訳だ」

そして元通りになると、彼はこういった。

「零……If it is when, I get possible to please me?(いつになったら俺を楽しませれるようになるんだ?)」

彼は零ではなかった。

では一体誰なのか?

容姿は間違いなく遠山 零。

相違点などあるようでないようなもの。


「早く強くなって、俺を神にしてくれ――」


世界は2つ存在する。

リアルと仮想。

目に見えるものが真実……では仮想世界で見えるものも真実なのか?

それは人がどう捉えるかによって変化するものなのだ。

8-英知の書庫- 終





キャラ紹介[第8話]


???(不明)-不明-

ニックネーム:不明


右目に赤い魔方陣を宿す零の偽者(?)

零のことを知っておりその実力は確かなもの。

主に現在判明しているもので、風の神・風伯、雷の神・鳴神を操ることが可能。

また時の魔術師と言う技を用い時を操ることが可能なようだ。

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