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LOST EARTH  作者: 古屋 零
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ⅩⅩⅥー決着ー

突如目の前に現れた少年は自分の体を盾に3人を庇い血の雨を全身に受けた。

「どんな攻撃だろうと意味ないよ……この、神皮の鎧ならね!!」

その言葉を聞いてすぐにこの少年が榛 荊榛だと認識できた。

「無茶なことを……」

呆れるが、頼れる仲間が来てくれたのだ。

沸々と笑みが零れる。


すぐさま後を追って一人の少女がこの地に舞い降りた。

「築き上げろ五大思想――層塔・五重ノ塔――」

彼女の足元から突如木材が飛び出したかと思うと3人と少年少女を包み五つに重ねられた塔が建造された。

「よくやった憐憫、ナイスタイミングじゃないか!」

千は憐憫の頭を荒々しく撫でて視線を少年へと移した。

「助けようとしてくれてありがとうな、荊榛――」

荊榛は照れくさそうながらも千に対して笑顔を向けた。

「それにしても全身に敵の攻撃を受けて大丈夫なのか?」

バクが心配そうに少年の体を見回す。

「ほぉら、だいじょじょじょじょ!!!?」

カタカタと小刻みに揺れだす荊榛。

身体全身を抑え込み、揺れを封じこめた。

「今度こそ、大丈夫」

バクはポケットから取り出したチュッパチャップスを荊榛に差し出す。

「ほら、まだ戦いは終わってないんだから立ちな」

五重ノ塔の覗き窓から邂逅 炉南の姿を伺う。


「それにしてもだ、あの子……炉南の能力は厄介だ」

零を見下ろし、骨の拘束具ごと持ち上げる。

頬をぺちぺちと叩き起こしにかかる。

突然、零の左目が開き、その威圧感から千を壁まで吹き飛ばした。

そのまま力を使っているのか、宙に浮いている零。

拘束している骨の肋骨を一本ずつ引きはがし粉々にした。

「生きがいいじゃないか……!」

千、バク、憐憫、荊榛ともに戦闘態勢に入っていた。

「寝てる間に縛りプレイしてんじゃねぇーよ」

地に足をつけ、頭が痛むのかその場にうずくまる零。

3人はそのセリフを聞き動きを止めた。

だが一人大口を開けて飛びかかった。

「――バク!!」

目を丸くさせた零を一口に口の中に封じ込めた。

抜け出そうと口内で暴れるが、衝撃が吸収されているのか口を開く気配がない。


「あの暴れている人は敵なんですか?」

荊榛は千と憐憫の顔を交互に見て尋ねた。

「さぁ、どうなんだろうな」

千はバクに目で合図を送る。

「洗濯もその辺でいいんじゃないか?」

千に言われ、バクは口から零を吐き飛ばした。

「一体何のつもりなんだよ!!」

唾液まみれの零がバクに迫りかかる。

バクは関係なしに、口をもごもごさせた後、口から赤黒いタンを吐いた。

「まぁまぁそう焦んなさんなって、これで完全に身体が自由になったはずだ」

言われてみれば先ほどよりも身体が軽い気がする。

それに体力も心なしか回復しているような。

「バクにお前の中に入り込んだ炉南の血液を吸い取ってもらったんだ」

バクは紳士の如くお辞儀をした。

「こちとら男をイレる趣味はして無いんだが……今回はやむ無しってところさ」

千が手を叩き皆の注目を集める。

「余談はそこまでだ。敵さんもそう長々と待ってくれやしない。今だって着々と炉南の攻撃の進行は進んでる――」

千の言う通り、炉南は出てこないイルミナティのメンバーに痺れを切らし、五重ノ塔の上に陣取っていた。

さらにそこから下に体液を流し込むことにより、彼らに体液に触れる可能性を高くしていた。

もちろん時間はかかる、普通の液体であれば。

だが炉南の体液は神の力を宿している。

それゆえか、木造の五重ノ塔へ侵透していくのにそう時間はかからない。

「どうするの……? どうしたいの……? どうにもならないの……? どうにかして欲しいの……? どれだけ考えても無意味……だって……あなたたちはここで始末される……」


荊榛は外に出る準備をしていた。

「何をしている?」

バクは少年に問う。

「何って彼女の攻撃に相性がいいのは僕です。だから僕が出なきゃと」

バクはやれやれと少年の頭を優しく撫でる。

「ありがとうな、今まで色んな辛いことがあったと思う。だが、それはこれからも変わんねぇ」

千は憐憫と打ち合わせを終えバクに再び目で合図を送る。

「だけどなぁ、俺たちだって強いんだぞ? 少しは大人やお兄さん達を信用しな。君がアメを舐め終わる頃にはいつもの日常だ」

そういうとバクは勢いよく窓側のふすまを開け外に向かって音の塊を吐き出した。

その衝撃によって外に垂れ流されていた血のカーテンに隙間ができた。

「すぐに済む」

千は窓から飛び降りた。

後を追うように零も外に飛び出ようとする。

だがバクが制止する。

「今回お前はお休みだ」

そういって零の口の中にチュッパチャップスを突っ込んだ。

「けどアシスタントくらいはしてやれ、外に出ずな」

零は意味を自分なりに解釈し、行動に移す。

左目の魔方陣を回して。

千は飛び出たはいいが、地上に着地すると目視で炉南を確認する。

しかしながら敵は上空にいる。

「どうやって鳥をここまで引きずり落としますか……」

炉南は千を見下ろす。

「……そのまま濡れて……」

再び血の雨を降らそうとさらに高みに上がろうとする。

「逆に上がっちゃうか、さてさて、本格的にどうしますか……」

だが、そんなこと微塵も考えていなかった。

炉南の動きが突然止まる。

「な……に……?」

そのまま何かに掴まれているのか地面に向かって急降下する。


「人間の管理者権限は流石に時間がかかるが、物なら別だ……そう、誰もが来てる洋服とかな」

零は笑みをこぼした。

「悪役顔」

憐憫はポツリと言い、それを聞いたバクは高笑いした。

「憐憫、お前もそろそろ準備しろよ?」

憐憫も外へ飛び下りる。


通常であれば確実に死ぬであろう高さから引きずり落とされた炉南。

落とされた時の衝撃で土煙が舞い上がる。

「……もっと?……まだ?……私を濡らして……皆の、私の血で……」

零が服を力で強く引っ張りすぎていたせいか、衣服はびりびりに破れていた。

だがそんなことは関係ない。

戦闘において、生きるか死ぬかの世界なのだから。

千は迷うことなく攻撃を繰り出す。

骨案山子ホネカカシ

炉南の後方に名前の通り骨でできたカカシが出現する。

カカシはゆっくりと炉南の皮膚に骨を突き立て侵入していく。

カカシの腕は完全に炉南の腕と同化し余った長さはそのまま突き出している。

またカカシの足は背骨から両足を巻き込み突き出していた。

顔はそのまま炉南の頭の上で不敵な笑みを浮かべている。

「叫ぶより先に喘ぐのかよ、ほんとどういう教育受けてんだか……」

炉南にとっては痛みは快楽。

彼女自身不死の為、まったく死の恐れなどない。

「まぁ、死なないなら死なないなりの対処を――なぁ?」

炉南の後ろに人影が現れる。

「――憐憫」

憐憫は炉南の背中を骨案山子ごと蹴り押す。

「永遠の死で包み込め――アイアン・メイデン」

鉄の大きな人形が現れる。

腹部の南京錠と鎖が外れ、各部ストッパーが外され扉が開かれる。

「次は何?……楽しいこと?」

炉南は喜々としていた。

「どうだろうね……」

アイアンメイデンは過去拷問器具として扱われていた。

中には棘が複数あり中に入れられたものが動くたびに痛みが走り、死ぬまで中に幽閉されることになる。

だが、これは通常の物と違いさらに劣悪な環境である。

全自動で永遠に突き刺してくる棘、不定期に変わる高温と低温、各四肢を圧迫させる万力の数々、他様々なギミックが搭載されており全容は全て体感した者がいないため不確かである。

つまり、これに捕まったものは死ぬまで逃げることができない。

それでは不死なる者はどうなるのか、それは神のみぞ知る。

「正義は勝つってな」

千は青空を仰いだ。

アンセスタ―の邂逅 炉南との戦いは誰一人犠牲に出さず勝利に終わった。

26-Conclusion- 終

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