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LOST EARTH  作者: 古屋 零
12/28

ⅩⅡ-光と闇の交わる時-

放たれた銃弾にまず最初に気づいた零は後ろに跳び、次に気づいた真は足の筋肉をフルに使い、上に跳んだ。

しかし銃弾が軌道を変え、2人を追尾する。

それに対して真は宙を飛び回り、追跡してくる銃弾から逃れる。

そして零は壁から壁へとまるで自らの重力を操っているかのごとく地に着くことは無い。

「位置は……」

零の目には放たれた銃弾の軌道の痕跡が見えていた。

それを辿ることにより、どこから撃たれたものかを判断することが出来る。

「上か!!」

目標が上だと判るとすぐさま天井へと向かい、真もすかさず後を追う。

畠山は2人がこちらに向かってきているのに気づき、煙と化し逃げた。

「この状況でこちらにこられても困るのだが」

畠山は校舎A棟にある、2階中央女子トイレの一室に突如現れた。


「逃がさねぇーんだよ!!」

左目の魔方陣が反時計に回りだし、空間を歪めた。

「歪曲直結!!」

真も力の範囲内に居たのか同時に移動する。

もちろんその移動先は畠山と同じ。


畠山の上空に零、続いて真が姿を見せる。

「何故この場所が判った!?」

「あんただったのか……何の恨みがあってこんな事するかわかんねぇーが、教師ごときが生徒に手を出すのかよ! あぁ!?」

「誰一人、逃がサなゐぞ」

三人が一堂に会した時、女子トイレに居合わせていた女子生徒が悲鳴を上げた。

甲高い悲鳴に顔を歪ませた零は見開いた眼で2人を捉える。

「場所が悪いな、悪いがお前等2人は楽しいツアーにご招待決定だ」

畠山が不気味に笑い出す。

「お前等に私が殺せると思っているのか? とんだ勘違いだ!!」

その言葉と同時に畠山は手を真の方へと押し出し、黒い何かを放った。

「計画が大きくずれたが、更なる進化の形を見せてやろう!!」

真に黒い何かが溶け込んでいくと、様子が激変する。

「あっ……? あぁあぁあぁっぁあっぁあぁあああああ!!!!」

真の心拍数が急激に上昇しだした。


***


時を遡り、まだ恐竜が世界を統べていた時代、ソレは空から降ってきた。

禍々しき闇、光をかき消す絶望、運命を変えし石。

遠い宇宙から旅をしてきた隕石は地球に落ち、一瞬でありとあらゆる生物を死に追いやった。


それから年月は経ち、新たな生命が息吹、人が生まれ、時代と文化を創っていた。


そして後にある日本人が海岸にて金印を見つけた。

その下に埋もれていた不思議な力を持った岩石と一緒に……


歴史上では金印の方は知れ渡ることとなるが、岩石の方は頑なに隠されていった。


さらに時は過ぎ江戸と呼ばれる時代、日本は力ある岩石を軍事利用しようとあらゆる手段を用い、力を我が物にしようとしていた。

しかし、まだ技術がない日本人ではその力を利用する技術が無いことがすぐに判明した為、海外から名のある科学者を秘密裏に呼び出した。

だが、名のある科学者の力をもってしても力を利用することには成功しなかった。

日本としてはこの岩石について国外に情報を漏らしたくなかった為、呼び込んだ科学者を暗殺する計画が秘密裏に企てていた。

相反して海外から呼ばれた科学者は岩石に魅せられ、国に帰ってもこの岩石について研究が続けられるよう一部の欠片を頂こうとしていた。


暗殺予定の朝、科学者は最後に一目あの岩石が見たいと口実を作り、岩石が隠されている施設へと踏み入った。

政府としては好都合な状況。

暗殺するのには人目が無いのがもちろん良い。

だからあまり人が寄り付かせないよう厳重管理している岩石を保管してある隔離部屋は格好のポイントであった。

そうとも知らず思い通りに事が進んでいると科学者は思っていた。

施設内の岩石が置いてある隔離部屋にたどり着くと、付き添いの男2人を部屋の外に出し、懐に隠していた工具を取り出した。

普段なら付き添いの男を意図も簡単に部屋から出すのは困難であるはずなのに、それに気づく余裕が無いぐらい科学者は興奮していた。

同じく付き添いの2人はドアの外から銃を手に、小さな覗き穴から科学者の心の蔵を狙っていた。


科学者はたがねとハンマーを使い岩石を崩そうと、また付き添い2人は引き金に手を掛けようとしていた。

速かったのは付き添いの2人。

だが狙いは反れ弾は科学者の腕をかすめて岩石へ。

それに驚いてか、科学者はたがねに当てるはずのハンマーを岩石へと打ち込んだ。

付き添いの2人は慌てて2発目を放とうとする。

しかしその2発目は放たれることは無かった。


岩石が突如波を発した。

空気を揺るがす目に見えぬ波。

付き添いの2人が持っていた銃が暴発し、2人はその場に倒れ込んだ。

そして科学者は目と鼻と耳から血を流してやはりその場に倒れ込んだ。

ただ最後の言葉を血で床に書き残して、原因不明の死を遂げた。


DC……通称デーモンコア――。

それが科学者が死に際に書いた文字であり、岩石につけられた名前。


その日から江戸の町にコロリが流行った。

幾万の人が死んでいった。

そしてコロリとデーモンコアに何らかの因果関係があると睨んだ政府は、デーモンコアは手に負えないと考え、誰も手にすることがないよう海中深くに沈めた……

それ以降、デーモンコアの存在を知る者は誰一人居なくなった。


***



「ねぇ、天倪って知ってる?」

真が苦しがっているのを尻目に畠山は零に問いかけた。

「天倪とは災厄を移し負わせる人形……かつてはペストと呼ばれていたこともあった……」

「だからどうだっていうんだ」

零は魔方陣の力を使い何かをしようとしていた。

しかしそれを悟られないように話を聞く振りをしていた。

「だが何故今は天倪と呼ばれるのか……わかる?」

畠山は懐から何かを取り出した。

「それは進化したから」

取り出したそれは黒い小さな岩。

「デーモンコア……全ての災厄の始まり……これこそが進化の鍵」

デーモンコアと呼ぶ石を真の胸に無理やり押し込んだ。

「新たな世代の誕生だ!!」


真の中に侵入していた天倪が暴れだした。

この時を待っていたかのように。

12-When light and the darkness cross- 終


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