第二十九話 心を補充ううう!
その晩、
「少し向こうに帰ろう?」
とドーラに言うと、
「・・おう、、いいぞ、行こうか」
と聞き分けが良かった。
ストレージのチーズとハムは、乾燥さえしていなかった。入れたときのままに見えた。
なので、
「ごめん、明日にしよ。バイト終わってからスーパー行って、買えるだけ安いアイス買って、それ持って帰ろう?」
「おお!いいな!皆喜ぶな!!」ドーラ
で、ハムとチーズの皿に、更に氷を一つ載っけてストレージにしまった。
翌日のバイトは5時ぎりぎりまで作業した。更に少し遠くの現場。おまけに、帰りの道が混んでいた。
事務所まで下手すれば2時間かかりそうだと諦めモード。いつも事務所に帰ってから解散なのだ。
窓の外を眺めていると、駅が見えた。
「あ、おz・・社長!ここで下ろしてもらえませんか?」とボク
「なんだ?電車か?」
「はい、友達と会う約束してるんで、、」
「ああ、ギリギリだったんか、、わるいな、」
と社長は路肩にワゴン車を寄せてくれた。
最低料金の切符を買い、駅のトイレに入る。大便の個室の方、汚いけど、、、ドアを締めるがカギをかけないで押さえる。で、「転移!」
シュン!
ボクの部屋に戻った。
コレは使える!とおもったが、社長はおじさんだ、母と話すとなんかばれそうなんで、あまり使ったらだめだな。
(ドーラ、どこにいるの?)
(うん?駅のそば。ユータ待ってる。)
(ボク転移で部屋に戻っちゃった。スーパーの近くに転移したいんで、誰もない処見つけてくれる?)
(よしきた!)
ほどなく、
(今俺はいるトコ、すぐ来い!)
「転移!」
シュン!
「おし、ここなら近いだろ?」ドーラ
「?、あ、スーパーの裏の公園のトイレ!」
「だ!!」
なかなかいいとこ見つけたなードーラ。
駅の便所よりは臭くないしー
スーパーに行くと、コンビニの3割以上安く売っていたし、パックになっているちゅーちゅーとかもあった。
思い出して、ストレージの氷をズボンのポケットからだす。溶けていない。
「ドーラ、魔力を使った冷蔵庫とかあるのかな?向こうに」
「あー、あるんじゃね?魔法で凍らしたりできるだろ?それを魔石にぶちこんで、なんかできるんじゃないかな?」
できるだけ向こうで作れそうで、売れそうなのを考える。
チューチュなんか簡単に作れそう。アイスキャンデーにすればいいんだ。
アイスクリームは難しそうだな、やらかくするのに、ずっとかき混ぜ続けるんだよね。
アイスキャンディーも、もしかき混ぜる方法みつかれば、シャーベットにできるし!
なのでアイスキャンディー系を選んでいく。
で、それらを買って、スーパーを出たらすぐに路地に入って、人が見ていないときを見計らって新しい方のストレージにしまう。前ストレージ=腰袋(改)はストレージ新に仕舞ってある。
「ふう、、どうにか、、」ボク
「んじゃ、風呂入って晩メシ食べて、夜になったら行こうぜ!」ドーラ
「うん!」
ーー
夜、うちのみなは寝静まっている。
「んじゃ、いくよ?いい?」ボク
「ああ、、あ、そうだ!ユータ、いらない漫画とか持ってかない?」ドーラ
ドーラは結構漫画を読む。アニメも好きだ。
漫画のセリフでたまに難しいものはボクに訊く。
最初、漫画を読み聞かせていたらいつの間にか自分で読んでいた。
下層のフロアボスって、結構賢いのかな?
ボクは、本棚からいくつかの漫画を取り出し、ストレージに入れる。
「今度、古本屋で料理の本とか買っておこうね。」
「ああ、そうだな、そういうのあったら便利だもんな!」ドーラ
僕たちはあの穴に転移し、少し眠り、コテンして壁を超え、転移し、本館の僕たちの部屋に戻った。
ーー
コンコン!!
え?もう?
僕達はたった今部屋に戻ったばかり。
ぎぃー、、
「おかえり。」
テイナとニヤだ。
「ただいま!」
「おう!帰ったぞ!」
テイナもニヤも、ボクらが帰ってきたのが気配でわかってすぐ来たそうな。
それから買ってきたもの、持ってきたものを出して、テイナとニヤと相談した。
新ストレージに付いては、一瞬驚いたが、「「ユータだからね(にゃ)」」と速攻納得していた?
テイナとドーラで、冷蔵庫の魔法陣の式を考えてみるとのこと。
その間にボクが本体を作る。内側を土魔法でつるつるの石みたいに作り、外側に木を使ったカバーというか外ボディ。熱を通しにくいように?というのがいいかな。
翌日のおやつのじかんに、テイナがチューチューを、本館と別館で皆に配ってくれた。
ぼくだととりこぼしあるかもしれないから頼んだ。誰か貰えなかったら悲しいからね。
なので全員に必ず渡せるテイナにお願いした。
勿論、外のプラスチックは食べられないので、集めて返してね、とも。
そこらに捨てて動物が食べたら危ないからね。
夕飯時、子どもたちに訊いたら、かなり評判よかった。
子供向けのアイスだしね!
真ん中で2つに割れるやつだったので、皆で交換していたらしい。
仲良くって何より!
あれだ、、
かき氷のシロップ、あれ持ってくればいいだけだね。冷蔵庫できたら。
あ、でもこっちの本物の果物使うほうがいいか、、安全だし、何よりオイシイだろうし、、
・・・
いきなり思いついた、、こっちには芋もあるんだし、、薄く切って、油で揚げてチップスか、フレンチフライとか、、
すぐさまテイナのところに行き、伝える。
野菜を薄く切るのは、乾燥野菜作る時にやっているので、ほかの野菜も試してみる、とテイナが提案。
「あ、野菜ちっぷすだ!」ボク
「むこうにあるんだ?」テイナ
「うん、かぼちゃとかほんのり甘くておいしいし、、ほかのは塩でいいし、、」
おかしも充実しそうだね!と喜んだ。
「それも、油を自由に使えるからなんだけどね。普通じゃこうはいかないよね」
なたね、とかだったっけ?ひまわりからもとれるんだよね、、
あ、種買ってくるの忘れてた。
菜種とひまわりも一緒に買ってこよう。
ほぼ皆夕食を食べ終え、話をしたり、ふざけあったりしている子どもたちを見ていると、
「やっぱ、こっちは、いいなー」
とつぶやきが出た。
「ユータ、あっちはモノが多くていいけど、、多すぎなんじゃね?」ドーラ
なんかいきなり話が飛んでるのでよくわからないけど、、
何千年になるのか誰もわからないが、それだけ生きているドラゴンの言うことだ、そーなのかもしれない。
向こうで、顔が思い出せるのは、家族とおじさんちの人たちと、タカとタカの家族だけ。
でも、こっちだと、満月、銀月のメンバー、子供達さかな班、畑班、本館班、本館食堂班(スラえもん含む)、本館雑貨屋班、別館班、別館食堂班、皆の顔はすぐ出てくる。
いつか、タカと、家族を、こっちに連れてきて、皆を紹介したいな。
「ああ、俺もおまえの親に紹介されたいよ、、、」
・・・
「ごめんね、いつも消えたままじゃ、やだよね」
「?ん?いや、、ほぼ食事の都合上、かな?」
「・・・・・・・・(ムッ!)」ボク
台無しドーラ




