第二百二話 ゲスザンスの北の街 どっばい
「あらら、ゲスザンス国内じゃん」ドーラ
「ほんとだー」さほど気にしないユータ
ターロ、ジーロがいた南側の反対、北側の街。
・・・・一度帰ろうか?
うん、まずそうだし
と、ドラゴニアの邸に転位。ゆっくり風呂に入って、皆と一緒に美味しい夕飯食べて、食後にくつろいでおかし食べ、少し一杯やって、みなに簡単な報告して、だべって、寝た。
ぐっすり眠れた。
翌日。昨日行ったゲスザンスの街。
「名も知らぬ街」ドーラ
「名を知りたくも無い街」ユータ
「どっばいってんだよ」通りすがりのあんちゃん。
ドーラとユータは街に下りて通りをぶらぶら歩いていたのだ。
「ゲスザンスらしくゲスゲスな少し危険な香りがするお人?」ユータ
「ちげーよ!」あんちゃん
「あんちゃんは何者なんだい?」ドーラ
「まぁ、案内人みたいなもんよ」
「ああ、騙す人!」ユータ
「それまだ言っちゃだめじゃん!」ドーラ
「ゲスザンスだからね!ゲスザンス名物!」ユータ
「だっはっは!いやまーそうだろうけどさ!」ドーラ
「おめぇら、かくご
ほいっと、バゴン! ドーラが小指を動かして、。
道の真ん中に大穴。直径2mくらい、深さ10m?くらい?
「・・・・何、した?」あんちゃん
「いや、凄もうとしたろ?だから見せといたほうが良いだろ?おまえがどうなるかってさ」ドーラ
すっと踵をかえし逃げようとするその若者を魔法で押さえるユータ
「だめだよ逃げちゃ、最後まで責任もちなさいね?」ユータ
「おう、金やるから。銀貨10枚やる」ドーラ
「まじ?」あんちゃん
ちょろいね?
ああ、ちょろすぎだな?
奴等側なら絶対そんなの払わないだろう。でも自分がもらう談となると得られると思う。騙すやつはそんなもんだ。
「あのな、俺らはそういうとこで騙すみみっちクズじゃないからあげるけど、お前だったら絶対払わずに逃げるだろ?もしくは脅すとかさ」ドーラ
一瞬で我に返るあんちゃん。このスラムのような街では銀貨10は相当でかい様子だな。
「ほれ、5枚さきにやる。街を案内しろ。最もマシな宿、つまり騙し最も少ないし飯が安全で美味い宿だ。それに最もマシな雑貨屋など。あと冒険者ギルド。最後に、この街を取り仕切っている奴のところ。」
「・・・最後のだけは勘弁してくれ」
「まぁいいけど、俺とそいつ、どっちが強いと思う?」
「そりゃあんただ。まるっきりに話にならねぇくらいあんたはすごい。だけどあんたは旅人だろう?すぐ出ていっちまう」
「まぁな、だから根絶やしにしてやろうと思ったんだが」
「・・・・・・・そこまで悪いやつじゃんねーよ、騙したり盗んだりするが、死ぬまで追い込むとかしねーよ奴は」
「ま、その程度ならいいのかな?でも、ゲスザンス出たらその程度でもまず3日と生きてられねーぞ?」ドーラ
うそです
「まじ?」
「当然だろ?俺みたいのがごろごろいるんだ、騙すやつなんかその場で消えるぜ?」
うそです
「げすざんす、って、良い国なんだな・・・・」あんちゃん、蒼白になりながら呟いた。
ちげーよ
このように騙している側は、ユータの世界でいじめの側のやつらと重なる感じがするユータ。
騙して抵抗されると脅す。騙された振りしておかないと痛い目を見る。周囲は誰も助けてくれない、どころか、逆にカモだとわかると・・
「ねぇ、僕達が帰る時、一緒に外に行こうよ。カモが多いよ?」ユータ
「ユータ、脅すのは後でいいよ、先に案内させよーぜ?金受け取ったんだからやることやらせないとね?」
そっと銀貨5枚をドーラに差し出してくる
「あ?今更何だと?おまえらの世界でもそんなちょろいこと通用しないだろ?おまえは他の者にそんな事許してこなかったろ?自分が許されると思ってるんか?消えたいってんなら、まず足からけしてやろうか?」ドーラ
銀貨5枚をポケットにしまうあんちゃん、もう目から涙がぼろぼろ出ている
一概に、いじめ側になっている奴は打たれ弱い。特に一人でいると。
そういう時がもしあったら、徹底的に追い込んでおけば=心に刻みこませておけば、二度と逆らわなくなる。
「・・・まだ判ってないみたい。」
ユータはそういいながら、その若者を空に浮かべた。どんどん高度を上げていく。なんかわめいているけど。
当然、人だかりがしてくる。
が、ユータとドーラの周囲数メートルあけて、それ以上近づいてこない。
ユータが見回すと、ゲス臭い顔の奴が何人かいた。
そいつらも同じ高さに転位させ浮かべる。
そいつらが自分がどの程度の高さにいるのかを認識させ、
術を解く。
当然自然落下。
うっぎゃーーー!!と大合唱♪
地面に到達する1m手前くらいでそいつら全員をまた先程の高さくらいに転移させる。
また術解除
を繰り替えず。
ドーラは野次馬に向かって言う
「お前ら、この遊びをしたい奴いるか?混ぜてやるぜ?」
野次馬は皆きえさ・・
子供が3人残っていた。
「おう、どーした?ハラ減ったか?」ドーラ
一番小さい子がこくこく頷く
大き子がポコン!とそのアタマを小突く
「ダイジョブだ、怖くないぞ。ガキが何しても俺らにゃ敵わないだろ?だから俺らは気にしないんだぞ?」
「そうか、それもそうだな。そんな強ぇんだからな」年長の子
その土地土地に応じた理屈や考え方がある。
ドラゴニアやゴンザールの考えで相手したら相手は舐めてくるだけで話にすらならないのだ。
子供相手でも、だ。
ユータは遊んでるので放置し、
ドーラはストレージから干し肉を幾つかだして一番上の子に渡す。
上の子が他の子に配る。
これも、こういうところでは必要なこと。上が下の面倒を見ているのだ。なので何でも上を通すこと。メンツを保つ?そうすりゃ下は上の子の言うことをきく。躾や教育のためでもある。親がいないからな(多分)。
「おまえら、あいつらにいろいろやられていたのか?」
「いまでもな」年長
「うん」中
「きらい」幼児
そっか
「おまえら、冒険者ギルドってどこに在るか知ってるか?」
「ああ、行くか?」
「案内頼む。」
年長は何も言わず踵を返し、歩き出す。子供達はついていく。ドーラも従う。
ほどなく新し目の建物の前で立ち止まる年長の子。
「ここだ」
「入ろうぜ?」ドーラ
「俺らは・・、」
「なぜだ?入ったのがバレるとなんかされるのか?」
コクリと頷く。
「・・あとで剣と魔法おしえてやる。いくぞ」
ギィ、かたん
あれ?ベルが無いな?
受付に一人だけいた。
「あれ?ドーラ、さん?」受付の元冒険者
「おう、久しぶり、こんなとこにいたのか?」
「ええ、手伝ってくれっていうから手伝ってたらいつの間にかココ?」
「気の毒に・・いや、悪かったな。ありがとうな。この街で人死にが出ないようにしていたのはお前のおかげか」
「聞いたんですか?」
「いや、チンピラ共相手にして、被害者の子供らの話聞いたし、お前が居たから今わかった」
「さすが王様っすね」
「誰でも分かるだろ?」
「で、こんな状態だと、送り込まれたのはおまえ一人か・・・」
「まだ人手は少ないし、このすぐ北はイスターニャですからねー」
・・・・
マーカーしたムータンの者達を探してみる。居た。森の外れを東に移動中。他に街に向かっているってとこか。
わるい。と、その5人をここに転移させた。
シュン!
「お?」
「なんだなんだ?」
「どこ?」
「・・・・」
「天狗様じゃ!」
ちげーよ
「悪いな急に引っ張って」ドーラ
「「「「「あ、ドーラ、さん?」」」」」
これこれこう、だから手伝ってくれないか?と、ドーラはその5人に頼み込んだ。
「頼まれたとあっちゃー断れねーなー」
「まーなー、我が国の恩人の一人ドーラさんだし。」
「いやいや、最大の恩人ダンマスのお子さんでもあるんだぜ?」
「うん、少しでも恩返ししておきたいな」
「いや、俺らにしかできないことは率先してやるがいいさ!」
と、
皆快く承諾してくれた。
「彼等の事、知っているか?ムータン人だ」
「ああ、聞いたこと在るくらいです。異世界から来た国だと」
「おう、でウチで鍛えた。なのでお前までは行かないけど、こっちの奴等が足元にも及ばないほどにはなっている。」
「頼もしいですね」
で、ユータがやってきた。
「あーおもしろかった!」
「あそびすぎー」どーら
あっはっはっはっは×2
「そうそう、外にあれを待たせているけど、使う?」
「どの程度になった?」
「完全に!w」
ほうほう、、
「んじゃ、開墾でもさせるか?」
「うん、10人ほど居るからちょうどいんじゃないかな?」
ムータン5人衆に訊くと、4人が元ベテラン百姓。ばっちりだ!と言ってくれた。
なので残り1人と、ここの冒険者ギルドを見ているゴラーンが、ギルドと街を見ることになった。
「あれ?この街の顔役って?」
「ああ、ムッシュマンゾクですか、あいつは凶悪じゃないんで生かしておいて・・あれ?ユータさん、10人って?」
ユータはドーラとゴラーンを表に連れて行く
「あれ?汚くないね?」ドーラ
「臭かったから浄化しといた。」ユータ
だよなー、糞尿まみれだったろうから
「アレがムッシュマンゾクです。あの小太りのちっさいの」
「え?ちっさいぜ?」
「そこそこ強いんですよ、この街程度じゃ」
へぇ?
「私でさえ小指一本ですけどね」
いかんせん、この街をドラゴニアとかゴンザール程度にしようと思ったら、全員粛清になりかねない。
なので凶悪なのだけ皆消しておいた。
でもチンピラどもをうまくまとめるなんてとてもできないので、その頃中心になってきていたムッシュマンゾクを顔役にした。
で「もし人死が一人でも出たら、おまえとお前の配下達全員粛清な?」と言いつけておき、最低限の治安をさせていた。という。
「一人でご苦労だったな。悪かった。ほんとありがとうな」ドーラ
「いえ、、でも来て貰って助かりました。まじこれからどーしよ?ってとこでしたからねー」
「これからは俺らもいるからな!」ムータン衆リーダー、バジール
で、孤児3人の面倒も頼んだ。
冒険者ギルド職員見習いとして。で、年長者には剣と魔法をおしえてくれと頼んだ。
3人に
「おまえら、ここで働けるんだ。給金もらえる。頑張って真面目にはたらけば、いつまでも働ける。どうする?」
と3人に訊く。
本人達に決めさせる。
3人は即座にコクリと頷いた。
後は任せ、ユータとドーラは高空に上がった。




