第百七十九話 後の小物などをニヤに引き継ぐ。その後の運営責任者には
その日は皆で人魚王国に作った宿に泊まってみた。
寝るとき少しでも水の流れがあると流されちゃうので、腰紐付けて流されないようにするほうがいいと言うと、
誰かが「ハンモックが寝心地いんじゃないか?」と言った。
セレーネに言って、強めの海藻の長い茎で案で作ってみてもらう。
体重の多くを水が支えるので、海藻でもそう簡単に壊れなさそう、、
人数分追加して作ってもらう。
「あら、いいわね、、」自分も寝ているセレーネ
人魚にも寝心地いいのかな?
呼吸の魔法などに不都合あったりしたら怖いので、皆一緒に広間にハンモックを吊るし?て寝る。
なかなか心地よい、、池なので水温は程よい。なんか、温めのお風呂でそのまま寝ちゃう感じ?
いっぺんやってみたいけど命に関わるから誰もができなかったことを、多分人類史上初めて安全性確保してやっているのだろう。
寝る前にセレーネが皆に配った海藻の実を食べた。口の中でプチッと潰れたなかからほんのり良い香りの、、お酒っぽい香りが少しするそれは、やっぱ酒と同じ効果があるのか、じきに眠くなり・・・・
明るくなってきて目が覚めた。
広間は天井がない。あっても余り意味ないし、、無い方が出入りが楽だし、、
池だから敵はまずいないので安全なのだ。日中は日差しが届いて明るいし。
「よく寝たー!」
と、皆も口々に言っている。
「あの実がよかったなー」
とも。
人魚の特産品が何げにあるんだなぁ、、
「マッハ、この、ハンモック?私に作らせないさいよ。うちの国の製品にしていい?」
「ああ、いいぜ?ハンモックは地上のどの国でも多分あるし、、自由に作ってるからさ」
「ありがと、水中ハンモックはもっと改良してうちの国の特産にしてみせるわ!」
「あ、それより、あの昨晩寝る前に貰った実、あれ評判良いぞ。あれは特産としていけるぞ。栽培できるのか?」
「え?わからないわ、、皆に言ってみる」
「うん、それがいい。あれは売れると思うから」
何事もいろいろやってみないとわからないものだ。何が出てくるかもお互いわからないことだからけだ。やってみれば、知らない者だからこそ分かることも多い。
人魚たちから朝食をごちそうになった。
魚の刺し身、ウニ、昨晩のとは別の海藻の実など。
一風変わった感じで美味かった。
皆で人魚達に礼をいい、人魚たちからも礼を言われて、地上の宿のほうに戻る。
戻ったらニヤ達が来てて、もう転位門の設置が終了していた。
ニヤ、厨房班の子3人。ドーラ、ユータ、ガンダまでも来ていた。
なので、宿の側の水路の終点のところで、セレーネを入れて皆で会議をする。
昨日言ってた陸地の宿、水中の宿の調度品、食事など細かいとこは全てニヤに丸投げの了承を貰った。
ニヤは「面白そうニャ!」と乗り気だ。だから人気あるんだよなニヤ。結果はどうであれw
ただ
転位門を作ったドーラが
「食うなよ?」
ユータも
「仲間だからね?」
としっかりニヤに釘を刺していた。最初に人魚を見た時に食べたそうにしていたのだ。
やっぱ皆そこだけが心配だよね!!
ガンダは王様に挨拶に行くという。その前に、
「マッハ、ここの宿の責任者やる気あるか?、浜の宿と王国の宿の両方の責任者、、というか、この人魚島におけるドラゴニア保養所関係の責任者だ。保養所に関する裁量権は全て与える。今のお前なら、周囲の全て責任を持った行動を取れると思うのだが、どうだ?」
とマッハに訊く。
「是非ともやりたいです!!」
チャンスをチャンスと認識できるのが、ドラゴニアの子たち。自分の言動の全てが与える影響をも理解している、それが責任を持つ生き方だということも。
なぜか、セレーネが
「おめでとうマッハ!!!」
と叫んで、オッポでびょん!と大きく跳ねてマッハに抱きついた。
「お、おう、、ありがとう、、えへへ、、」
離すとセレーネがビタンと落ちちゃうのので落ちないようにぎゅっと抱きしめている。
ふーん、(ニヤ、ドーラ、ガンダ、厨房班の3人)
「んじゃ、俺は王様のところに挨拶に行ってくるわ、、あれだ、人魚国側の宿担当はセレーネでいいよな?」ガンダ
「え?、ええ、いいの?」
とマッハを見るセレーネ。
「え?俺はいいけど、、助かるし。」
よし決まりな、と言って水の中に入っていったガンダ。セレーネも当然一緒に行く。
「素直って、わかりやすくっていいよな!」ドーラ
???(ユータ)(ジーロ)
うんうん、と、ターロ、クマ。
「おまえら、どうするんだ?」
ドーラはターロ、ジーロ、クマに訊いた。
「え?俺らも残っていいいの?」ターロ
「ああ、いいぜ?そのまま継続できるほうがわかっているからいいだろ」
「あんちゃん、俺はやりたい」ジーロ
「俺もだなー、んじゃ残ろうぜ!」ターロ
「吾輩も、新たに起こす方が興味深いので、こっちを望む」クマ
「んじゃ、皆で人魚島内ドラゴニア保養所の運営だな。あ、ついでに人魚島の安全管理も頼むぜ!」ドーラ
「食事と風呂は厨房班の子達がやるニャ。手助けが必要なときは助けてやってほしいニャ。」
「どっちも当然やるさ!」マッハ
それから、
新たに厨房班の3人を含めたメンバーで、新しい保養所の細かいところをつめていく。
あと、人数は当然不足するので、
水中宿の従業員は厨房班の子1人とマッハとセレーネで、人魚たちから従業員を募集して教えていく。
当然地上の宿には程遠いだろうが、「それが人魚の宿だから」、で押し通すつもり。それについてぐだぐだ言う奴はいないだろうし。
最近、ドラゴニア防衛軍に所属してる冒険者たちにも保養所の門戸を開いている。利用は国民と一緒でフリー。王都側の内部の仕組みと一緒だ。国民は全てフリー。
もともと外部の者であるその冒険者達、わざわざ無償でドラゴニア防衛軍に応募したのだ。今では対価を与えているけども。なので性根が良い者達ばかりだ。
ドーラの休暇命令以降、防衛軍の者達が多く海岸領に遊びに来るようになったが、良い者達ばかりだ。
基本ソロ資質だが、各人好奇心旺盛なので、水中宿など飛びつくだろう。
ドラゴニアの子どもたちも当然来るだろうし、毎日満員になるのではないだろうか。
なので、できるだけ客自身に動いてもらうやりかたに持っていくのがいいなーと思っているマッハ。
人魚はあまり他者に干渉しないで、サービスという概念もあまりないので、そういうのは無理かも、と言っているセレーネも、そのマッハの考えがちょうどよいと賛成している。
なんか、結構なセルフサービス宿とかになりそうな、、
人間社会でそれだと商売にならんだろうけど、人魚社会の宿だからね!
ニヤは班員達と、数日で細かい事をすべてやりきった。勿論水中宿の小物や、食事メニューなども、だ。
ニヤは最初の説明をした後、班員達に振ったのみ。あとは見ていた。それで数日で終わらせた。ドラゴニアの子たちは優秀なのだ。
地上の宿の人手も5人ほど増やした。厨房班の子2人、ターロ、ジーロの到底4人じゃ無理だろうから。マッハは地上の宿と水中の宿を行き来する。クマには主に水中宿を補助してもらう。
あとは、本土から夏用マットレスと薄い掛け物や夏用枕、客用寝間着、カゴ、手桶等、食器類、などが搬入されるのを待つばかり。
「旨く行けば、あと5日か10日もあれば開店できるな」
と、皆で夕食をとっているときにマッハ。
夕食は水路の終点の売店の所でとっている。売店も毎日開店する予定だ。
宿内はごたごたしているので、売店を先に従業員向けに開店させて、食事と休憩はここでとるようにしている。勿論人魚の従業員達もここに来て休む。
「多分、人類初じゃね?水中宿」マッハ
「ああ、前例など無理だったろう」クマ
「そもそも人魚と仲良くなった人間って、個人のみだったんでしょう?」ターロ
「宿をやろうなんて発想する者が今でもめったにいないんじゃない?」セレーネ
「言い出しっぺはセレーネだろ?」マッハ
「うーん、私はただ単に訊いただけだけどね。やろうか?とか本気でいい出したのはあなたよマッハ。」
「そうだっけ?」
「うん、マッハだったな」クマ
「「うんうん」」ターロ、ジーロ
あと、数日で開店予定。
本土の方では、もう水中宿の話は広まっている。いまかいまかと手ぐすね引いて待つ子どもたち。数少ない大人たちは「空いてから」と、弁えている。偉いね!!




