第百四十四話 食い放題ローラ ミカロユス今ココ
新しくなった、ユータ達が以前居た国リターニャ、現、北西王国。そしてユータ達が住んでいたのは新南東領になっている。
新南東領の場所の元の領主一族はユータ達が滅亡させた。今は冒険者ギルドと国軍が一体化したギルドが、全体を見ているという。
「全体と言っても、治安が主でしてね、、物資が不足しているから価格を釣り上げたりする輩も処分しています。貧困が発生しそうな場合、まずはギルドに相談しろと呼びかけています。困っている者の周囲の者たちも、それをギルドに伝えてくれと言っています。もちろん孤児や浮浪児を見つけたら連れてきてくれとも。」ミカロユス
「成果はどうだ?」ドーラ
「ぼちぼちですね。やっと信用されてき始めたところでしょうか。収入に困ってる者たちには軍の仕事を斡旋したり、家がないとか流れ着いた者たちはとりあえず現場の飯場に入ってもらい、農場か工房か、何かできる技術を持っている場合は、やらせてみます。それで食って行けそうな場合は場所を与えます。今は街道工事があるので、人手はいくらでも使えますからね。ここの冒険者達の大半もそっちに行ってます。危険ではないし、決まった賃金が得られますからね。
で、
大通りに店が多いでしょう?大半はもともとそういった他から流れて来た者たちです。最初は領都工事、そして街道工事、で景気がいいという話しが広まっていて、仕事が無い者とか集まってくるんですよ。」
「・・やるなぁ、、、」ドーラ、ユータ
「必死なだけですよ。でも、おかげさまで、碌でもない者はあまり居ません。ほぼ駆逐されたようで、、。だから、今の者たちは、、、感謝してるんじゃないですかね?王家やここの前の領主らを滅亡させてくれたことを。」ミカロユス
もとより、
ユータもドーラも敵を殲滅し、そこの残った者たちから恨まれることを気にしていない。
ユータとドーラは”ドラゴニアに敵対する者、ドラゴニアに危険な者たち”を排除しただけ。
ドーラとユータが気にするのは、基本的に現在と未来のドラゴニアの者たち、だけなのだ。そして、ドラゴニアの仲間である同盟も、困っているなら助ける。危機になりそうなら助ける。できるだけ危機になる前に危機を潰す。
それだけなのだ。
だが、ドラゴニアの敵は、その敵が住む地域のまともな者たちにとっては敵であることが大半、いや、完全に敵である。ドラゴニアに敵対するような支配者は、国王であれ領主であれギルドマスターであれ、一概にその支配している者たちに全く責任を保たないうえに、彼らを食い物にして不幸にしているだけだから。
簡単な指針として、
一般の者たちが黙って30%より多い税(名目は手数料だろうがなんだろうが)を取られる場合、
それはどんな理由をつけようが、言い訳は無用。一般の者たちは不幸になる。
30%から多くなるに連れ、その不幸になる速度が早くなる。
領主や国王が質素倹約しても30%以上の税などを必要とする場合、何か大きな間違った問題が存在する。どこかに悪が隠れている。それは必ず存在する。それを見つけ潰すのが支配層の重要な仕事なのだが、それをできない支配層は、支配層の資質はない。潰すか、ゼロに戻すことは最初になすべきことだ。そいつらに二度と支配に関係させてはならない。(ラットビアにおいて聖光国がガンだったような事。あの場合はあの王はとりあえずの最善を行っていたと見るべきだとドーラは思った。よって一度は見逃す。)
そういう「皆を不幸にする奴等」を、ことごとく潰し燃やして来たのだ、ドーラとユータは。
そして、ドーラとユータが守る皆は、情があり話が通じる者たち、つまり自分の人生に自分で責任を持って生きていて、自分の言動すべてに責任を持って動き言葉を発している。
だから、間違ったことを聞いた場合には話合うし議論もする。自分が間違っているのかどうなのか?をより客観的に見るようになっていく。何が正しいのか?その場合場合で考えるようになる。自分が絶対に正しいとは思わない。
そして、それにはより多くの情報が必要だと知っている。その情報の多くが、多くの会話から得られる。
皆が皆立派に一人でも生きていけるし、そういう皆が助け合えば更に相乗効果で良くなっている。だから、小さい子どもたちも「早くオトナになりたい。自分で仕事が出来るようになりたい」と願って、まだ小さいのに頑張ろうとする。ドラゴニアの学校の勉強は人生に必要なことだけなので、それを必要なことだと理解でき、頑張るのだ。
ドラゴニアでは肩書は便宜的にあるだけだ。肩書が無くとも実力が有れば、周囲はその者を頼りにし、言うことを聞く。
「ミカロユスさんには、うちを見てもらいたいね」ユータ
「おう、俺もそう思った。・・どうだミカロユス、、まずお前がウチを見てみないか?数日できれば半月くらい空けられるか?」ドーラ
うーーーーーんんんん、、と悩むミカロユス。
「わかりました、良い機会です、この際すべて部下達にまかせて彼らの成長を期待しましょう。」
「それが一番だ。明日はどうだ?」
「では、明日夜出発でいいですか?」
「転移魔法使うからな、明日の晩メシはウチの王宮でな。その時皆に紹介する。それからウチの宰相と行動してくれ。宰相はほぼ全権あるし。」
「承知しました。では、明日の・・」
「ここに迎えに来ればいいか?」
「はい、お願いします。」
ユータ、ドーラ、ローラはギルドを出て、通りの喫茶店(ケーキ屋)に入った。
話が長くなっていたので、ローラがまた腹を空かせたようだったのだ。
ローラほどではないが、ドーラとユータも2−3個と紅茶を頼んだ。
「いやー、、あいつ、あんなすごいヤツだったんだなぁ、、、」ドーラ
「今思えば、占領地で兵士たちに略奪とかさせてなかったよね?」ユータ
「そうだよな、あの国の国軍じゃあ碌でもない野盗上がりみたいな兵も多かったはずだけど、、うまく押さえてたよなぁ」
「しかも、帰国したとき帰り道の領主達を降すかセイバイしちゃったし」
「頭すげー良さそうだな、しかも行動力ある。なぜあんなのがあんな国に居たんだ?」
「だって他はゲスゲスな国だし、どこでも同じとか思ったんじゃないの?」
「ああ、ゴンザールを知らなかった、んだろうなー。もしくは家族を押さえられていたとか」
「元の国王とかだったらやりそーだったねー」
「何にしても、、よいめっけもんだなっつ!」ドーラ
(ドーラ・・・・)ユータ
「・・まぁ、言っちゃ何だけど、ドーラの言うとおりだよねー。でも、そんなミカロユスさんが王にしたかった人って、、」
「そうだな、期待できるな。でもまずミカロユスだ。ドラゴニアをよく知ってもらい、その後王を連れてきて、ドラゴニアをよく見てもらおう」
「だね!」
オマケ程度で、どう支援していくかな?とか思っていたのが、逆に同盟を引っ張っていってくれそうな人材だった、という、番狂わせだ。
ユータ達ドラゴニアやその同盟にとっては、嬉しいことだろう。
「あ、ローラ、ほどほどにしておけよ、これから中央市場に行くから。そこにも美味い食い物多いからな!」
「そうなの?んじゃ追加しない。これ食べ終わったら行こう!」
と、数個あるケーキを快速で頬張り始めた。本気になったらこの数倍の速さで食うんだろうな、、とドーラとユータは思った。
ーー
中央市場入り口入ったトコ。
「ほえー!すごいね!これみんな食べ物?」ローラ
「全部じゃない。モノも多い。けど半分は食い物だろうな。大半は料理の材料だ。そのまま食うなよ?」
「食べないよー、美味しく料理してもらってから食べるに決まってんじゃない!もうダンジョンじゃないんだからー」
「「あっはっはっはっは!!」」ドーラとローラ
ダンジョンだと素のまま食べてたんだ、、(ユータ)
そりゃ、地上の食事が美味いと思うもんだなぁ、、と、2人が今更ながらにかわいそうだったんだなーと思うユータ。
よだれを流しながら、特に肉や魚を売っている店などを見ているローラに少し危機を感じながら、3人は足早に奥の方に行った。
奥の出入り口の近くに、串焼きなどの食べ物屋や屋台が多い場所を見つけ、ローラに好きなものを食べさせた。
ローラは喋る暇も惜しんで、これうまい、これも美味い、これはなんてうまいんだろう、と結局美味いだけなんだけど、食いながら言いながら次々に食べていた。
合間に、ドーラがスープを買ってきて飲ませていた。
そんなローラを眺めているだけでもおもしろい。
「俺も、こんなだったんかなぁ?ダンジョンから出てきた時、、」ドーラ
「うん、ボクも今丁度思い出していたトコ。そっくりだね!!」ユータ
・・・・まじこんなだったんだ、、、
「うん、仕方ないよ、、それまで生肉かじってたんだから、、甘いモノなんか木に成る果物くらいだったんだから」慰めるユータ
「あ、、んじゃ、、はじめてユータの世界に行ったときも?」ドーラ
「うん、似た感じだったよねー、だから母さんかわいそうだって、ドーラの好きそうなものばかり作ってた」
そーだったのか、、、はじめて知るこの事実!!・・・んじゃねーよ、、、俺は二度か、、、
いや違う!!
「うん、もしローラをあっちの世界に連れて行ったら、、同じだよね?」
「だよなー!今度連れて行こうぜ!」ネジクリ曲がった歪んだリベンジをしようと目論むドーラ
「なんか違うと思うけど、、ローラは喜ぶだろうね!」
ローラ、ユータの世界に行ったら、自分がダンジョンボスドラゴンだったことをそれまでの生涯で最も感謝することになるだろうよ、とほくそ笑むドーラ。
(ふっふっふっふっふ!更に驚くが良い!ひれ伏すが良い!!こんな程度じゃーないんだ!この世の”美味しい様”はっつ!!!!あーっはっはっはっはっは!)ドーラ




