第百十四話 卒業
卒業式は無事終わった。
ユータに戦いを挑みたい連中は、あの日で終わってるので卒業式にどーとかはなかった。あれを行った委員長の先見の明だろう。(第七十九話)
ただ早く戦いたかっただけかも、、
朝、学校に行ったらすぐに職員室に行き、ユータとドーラは感謝を述べた。
ドーラが先生達に向かって言う。
「先生方皆さんのおかげで、僕は高校に行けて楽しかったです。一生の思い出です。
で、僕らは卒業後ムータンに行きますが、事前準備のため先日二週間ほど行ってきたのでそのおみやげを買ってきました、貰ってください。」
と、ムータン王宮謹製キーホルダー。・・・・
あれ?とユータ。今日、今始めて見ます。
そいえば、、これを持った者がムータンに入国するとき、その者の安全は確保される。とか王様言っていたけど、、
ムータンの神様のお守りとかだと思ってたけど、、
「違ったようだな、物理的に安全確保されそうだな」ドーラ
「渡す相手を選ばないとムータンに迷惑かかるね、、」ユータ
「ああ、、、まったく、、、やりすぎだっつーの、、」
で、職員室で先生たちを集めて説明。
他の人に譲ったり貸したりしないでください。
ムータンに入ると、王宮から安全を保証されます。一種の王族の客ですね。
普通、こんなの手に入らないんだけど、、なぜか、、、
絶対に気をつけてね!じゃないと王様に迷惑かかるから!!
とユータの説明で、わかったような先生たち。
一応一人の先生が、ユータにユータのビザの種類を訊いた。
で見せた。で、びっくらこいていた。入国理由に、王の招聘による入国許可、と手書き英文で書いてあるでっかいビザ印。王家の紋章。
その説明で初めて知ったユータ。のんきんだね!!
その先生が他の先生たちに説明し、そのキーホルダーの貴重さが知らされた。
王家の紋章型のキーホルダー。中央にGUESTと入っている。
「お前たち、、ふつーじゃないなぁ、、とは思っていたが、、普通なんか遥かに超えているな、、」と担任。
「いやぁ、、先生たちのおかげですよお、、」ユータ
最後のボケだろうか?
クラスのやつ、よく話しててひととなりがそれなりにわかったやつには渡した。この貴重さの詳細は先生に聞いといて、と。
運送屋には「お父さんにも渡しといてね」と2つ。
工場のには、「お父さんとおじいさんにも」と3つ。
卒業式も終わり、皆が門を抜けていくのを、職員室から感慨深げに見ている数人の教師たち。
「・・地味も地味だった、今も地味だが、、でも、この学校の長い歴史でも、最も国際的にアレな、、」
「・・ですねぇ、、あれほど地味なのに、、、」
「ええ、一体どこでそういう行動してたんでしょうねぇ、、他にも武勇伝も多く聞いたし、、」
「「「地味なのに、、、」」」
いや、地味だから自由に動けたんじゃね?
タカと合流し、3人で帰っていったユータとドーラ。
その晩は、家では豪華な食事だった。
ムータンのことをあれこれ聞かれた。
宿は平気だったか?虫とか出ると聞くが?
王宮だからだいじょぶ(ユータ)
・・・・・・(父母)
「そうなの?」とドーラに訊く父
「ああ、すげー豪華だぜ!飯もうまいし!王様やさしいし!」
「・・・なぜ?」
「ああ、少しいろいろ指導してやってるんだ。国民にも習わせるんだって」ドーラ
ああ、ドーラが知り合いなのかな?と思った父母。
たまには帰ってきてね。(母)
いずれ母さんと行くから。父さんたちも現地を見てみたい。(父)
とも。
なので、2人にもキーホルダーを上げた。説明はドーラがした。
ユータはなんとなくしか覚えていないので。
翌日から2−3日のんびりして、夜には一度ドラゴニアに帰り、干物をたくさん貰ってきて、翌日母さんに渡した。
そして、ユータとドーラはまたムータンに旅立った。
ーーーー
ほんの一週間ほど開けただけだったのに、そのムータンの小さな首都の空気はマソがわかるほどになっていた。
「こりゃいいや、、向こうの少なめの土地並にはあるな!」ドーラ
「うん、こりゃいいねぇ、、でもなぜこんなに急に湧いたんだろう?」ユータ
湧くって、、温泉か?
王宮に入るとダンマスがいた。
「やあ!やっと帰ってきたね!ダンジョン、できたよ!!」
「「ああ!!」」
ユータとドーラは納得だ!だからマソがこんなに!
「では、これから本格的になるの?」ユータ
「ええ、こっからが始まりです!どんどんいきますよおっ!!」ダンマス大張り切り!!
で、茶にしよう、と食堂の表側のティールームでお茶とお菓子を貰って、話をする。
マソが増えたのでモモンガたちも増殖でき、今は交代制にできているという。
「交代?」
「ええ、休みのモモンガたちは王宮にいます。遊んでますよ」ダンマス
その時、しゅーん!と、部屋の上の方を人間の子供くらいの大きさのモモンガが飛んでいった。
まぁ、モモンガ、家の中でも飛ぶし、、と納得したユータ。
違うだろっ!とドーラ。
家の中で飛ぶには、たしかにデカすぎ。
「もう10人くらいは消したようですよ。よくやってきれてますモモンガたち」
「おお!すげーな?でもよくそんなに?」
「まぁ、スパイだけとは限らないですからね」
まぁそーか。
ダンジョンができてからここで生まれた子が数人いるという。
「魔法世代です。第一世代。たのしみですねー!!」ダンマス
実験大好きなおじさんだ。悪質な実験は悪人にしかしないのでだいじょぶ!
街灯は人気だという。ユータたちが帰って、ダンジョンができてからはダンマスが周って街灯や魔力井戸を設置しているという。山の中腹の村とかは岩盤のせいで井戸が掘れず、僅かな水道に頼っているところも少なくないらしい。なので気温に関係なく常に大量にも出せる魔石を使った井戸を作ったら、ダンマスは拝まれたとか。
「そのうち、汚水処理も魔導処理にしたいですねぇ」ダンマス
いろいろ観察しているのだろう。
「あ、そうそう、、スパイも幾人か消したみたいで、なんか衛星と航空機が多く飛来するようになったんで、故障させときました」ダンマス
いや、、やばいっしょ、、逆効果、、
「もう大丈夫ですよ。一人たりとも被害を出しません!!敵を殲滅しましょう!!」
張り切るダンマス!!
いや、まじ、ダンマスによって開戦???
「今、大魔法使いは何やってると思います?」ダンマス
「「????」」ドーラ、ユータ、さっぱり?
「あのユータが作った異次元間扉、ここの皆を送れるかどうか、を研究中です」
「「ほーう!!」」
「できそうなの?」
「はて?」
だめじゃん!!!
で、とりあえず、と、ドーラが金貨を1万枚ほどダンマスに渡して「王様に渡しといて、とりあえずの戦費」。
それから3人で話し合い、向こうからなるべく多くの食料を持ってこようと。できれば魔獣肉。魔力多いし!うまいし!
前にドーラが持って来た向こうの植物の種を撒いたところにダンマスが促成魔法をかけ、もうすぐ収穫できそうだという。
「んじゃ、向こうの養殖の魚とかも行けるかな?」
「ああ、やってみましょう!向こうのにわとりも!」ダンマス
ほんと好きだなこのひと、そーゆーのが。
とりあえず食生活にマソを!で行くことに決まった。




