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魔弾の双銃士 ~過去に戻った勇者はジョブチェンジで最強の力を手にする~  作者: 結城 からく


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第78話 勇者は同輩を守る

 ガルナディアスと睨み合う中、そこに駆け付ける人影があった。

 兵士達ではない。

 現れたのは三人の勇者だ。


 先頭に立つのは、槍の勇者ナズナである。

 彼女の後ろに二人の勇者がいた。

 それぞれ大剣と弓矢を装備している。


 やはり逆行前とは異なる武器を選定したらしい。

 もっとも、そんなことは今はどうでもいい。


(なぜここにいるんだ)


 駆け付けた三人の勇者はガルナディアスと対峙した。

 異形と化した宰相を前に怯えている。


 仕方のない反応だ。

 彼らはまだ新米の勇者である。

 潜在能力は俺と同格だが、まだまだ経験が足りない。

 戦士としての総合力は一兵卒にも劣るだろう。


 時期的に基礎訓練を終えたばかりのはずだ。

 実戦と言っても精々が森で野生動物やゴブリンを狩ったくらいだと思われる。

 そこからいきなり上級魔族と敵対しているのだから、あまりにも無謀だった。


 城内の人間が避難を始めているのは気配で分かっている。

 その中で勇者達だけが流れに逆らって登場したのだ。


 ガルナディアスが片腕を掲げる。

 そこに魔力を集束されて、勇者達に向けて振り下ろそうとしていた。

 理性が飛んでいるので、条件反射で攻撃を仕掛けているようだ。

 今のガルナディアスは、上級魔族としての規格からも外れた化け物である。

 技術を伴わない一撃でさえ破滅的な威力になる。


(あれは不味い)


 俺はすぐさま落下した。

 空気を蹴ってスピードアップして、ガルナディアスの攻撃が始まるギリギリで両者の間に割り込む。

 放たれた大質量の瘴気をトゥワイスの双剣で切断した。


 分断された瘴気は、俺と背後の勇者を避けて城を破壊する。

 接触箇所が黒い塵となって消滅した。


 俺はガルナディアスに魔弾の連射を見舞う。

 ガルナディアスは叫びながら無防備に受けた。

 衝撃のままに吹き飛び、城の壁を砕きながら消えてしまう。


(理性が飛んで身体能力は上がったが、代わりに魔術が使えなくなったようだ)


 単純なパワーは脅威であるものの、多種多様な術で攻められる方が面倒だった。

 こちらとしては戦いやすくなったと思う。


 城の奥に消えたガルナディアスの気配を捉えつつ、俺は背後の勇者達に話しかける。


「どうしてここへ来た。兵士達が避難勧告を出していただろう」


「私達は勇者達です! ここで逃げるわけには、いきません……!」


 ナズナがそう主張する。

 後ろの二人も同感だとばかりに頷いていた。


(足手まといになることは考えていなかったのか……)


 俺は胸中で嘆くが、それを口に出すほど野暮ではない。


 三人は勇気を振り絞ってこの場に来たのだ。

 英雄としての気質に富んでいる証拠であった。

 ある意味では真の勇者になるための第一関門を乗り越えたとも言える。


(命を捨てるような行為だったが、常人にできることではない)


 俺が冷静なのは、逆行前の記憶と経験があるからだ。

 ズルをしている状態と評してもいい。


 ナズナ達は未熟なりに考えて、自らの役割に従って動いた。

 不意の緊急事態を前に、決して最適な行動ではない。

 しかし、見方によっては最善なのかもしれなかった。


 刹那、俺は三人が立派な勇者に成長した姿を幻視した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >刹那、俺は三人が立派な勇者に成長した姿を幻視した。 幻視ではなく、近い未来の確かな現実として、 先輩勇者たる主人公がその光景を見る事を祈ります。 [一言] 続きも楽しみにしています!
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