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魔弾の双銃士 ~過去に戻った勇者はジョブチェンジで最強の力を手にする~  作者: 結城 からく


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第76話 勇者は連携する

「ギアアアアアアアァァァッ!」


 片目を潰されたガルナディアスが悶え苦しむ。

 滅茶苦茶に魔術を発射しながら落下した。

 あまりの密度の弾幕を前に、俺は防御しながら退避する。


 ガルナディアスは城の屋根に激突した。

 大きくバウンドして転がって落下しそうになるも、寸前で耐える。

 彼はよろめいて立ち上がった。


 俺からは見下ろすような位置関係だった。


「ぐ、この……勇者がァ!」


 怒るガルナディアスは荒い呼吸を繰り返す。

 隠せない疲労が滲み出ている。

 苦痛に任せて消耗を考えずに魔術を乱射したからだ。

 彼は時間経過と共に冷静さを失いつつあった。


(よし、狙い通りだ)


 魔術師タイプはガス欠に陥ると途端に弱くなる。

 戦い方が術に依存しており、消耗次第で本来の力を発揮できなくなるのだ。


 戦士タイプなら、素の身体能力でも十分に脅威である。

 ガルナディアスも人間と比べれば強靭な体躯を持っているが、魔族基準だと脆い部類に入っていた。

 したがって魔術を特に警戒していればいい。


(精神の乱れは魔術をも乱す)


 潰したガルナディアスの片目の再生速度が遅い。

 体内の魔力が底を尽きようとしている。

 肉体回復に回せるだけの余裕がないのだろう。


 トゥワイスは高火力だ。

 双剣も銃撃も致命傷に至らしめる。


 使い手である俺も、治りが遅くなるように意識して攻撃していた。

 今までの高速再生は無駄にエネルギーを消耗させていたのだ。

 その影響が出てきたようだ。


 俺の斬った羽もまだ万全ではない。

 自由に飛ぶのは困難だろう。


「グオオオオオオォォォアァァァッ!」


 ガルナディアスが咆哮を轟かせる。

 俺に特大の魔術を放とうとするが、その動きが唐突に鈍る。

 彼は前のめりに傾いて膝をついた。


 見れば背中が凍結している。

 氷が侵蝕して、ガルナディアスを拘束し始めていた。


 城の屋根の端にはリリーがいる。

 彼女の氷魔術が炸裂したのだ。

 城内を探索していた彼女は、異常を察して援護に回ってくれたのだろう。

 一応、宰相には近付くなと警告していたが、状況的に加勢すべきだと自己判断したらしい。


「おのれェ、小癪な人間がァッ」


 激怒するガルナディアスが氷を砕き割り、リリーを攻撃しようとする。

 そこに接近する人影があった。


「あたしもいるよっ」


 元気な声と共に、ガルナディアスの死角からモアナが突進する。

 身体強化による加速を伴って拳を振りかぶると、反応される前に肉迫した。


 そこから豪快なアッパーを放つ。

 モアナの拳は、ガルナディアスの腹部に直撃した。

 衝撃波が背中まで突き抜ける。


 ガルナディアスは高々と宙を舞った。

 体内に響いたダメージは相当なものだろう。

 まともに動けなくなるはずだ。


(チャンスだ)


 俺はそこに跳びかかって銃弾を浴びせる。

 そこから双剣に切り替えて攻撃を仕掛ける。

 左右の双剣が繰り出す二連撃は、ガルナディアスの命を大きく削るのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! 同時連載中の『【シナリオチャート認識】+【データ改竄】』を読んだ後にこちらを読むと、 正しく勇者であろうとする主人公とその仲間達のふるまいに清々しさを感じま…
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