第73話 勇者は宣告する
ガルナディアスは余裕の態度を崩さない。
自らの能力に絶対的な自信があるのだろう。
それも当然だ。
こいつは魔王軍の幹部である。
魔将軍の名は伊達ではない。
頂点に君臨する魔王が不在の今、最上級の魔族と言えよう。
同格の個体に比べると直接的な戦闘能力は劣るが、それでも十分に怪物の領域だ。
ガルナディアスは全身から瘴気を発しながら俺を嘲笑う。
「それが貴様の武器か。凄まじい力を感じるな」
「お前を殺す二丁拳銃だ。よく憶えておけよ」
答えながら発砲する。
不意を突く二連射だったが、撃ち抜いたのはガルナディアスの残像だった。
奴は素早く俺の背後に回ると、発光する杖を大きく掲げた。
「フハハハハハ! 遅い! その程度の実力で我に挑むかァッ!」
杖の光が圧縮されて、レーザー状になって降りかかってくる。
俺は身体強化による高速移動で回避すると、さらにガルナディアスの背後を取った。
「――遅い。もう少し気合を入れろよ」
「ッ!?」
反撃が来る前に発砲する。
放った魔弾はガルナディアスの腹部を貫通した。
咄嗟に魔術を張ったようだが、その程度は簡単に貫ける。
「勇者ァッ!」
ガルナディアスは振り向きに合わせて魔術を行使する。
放射された雷撃が壁や天井を粉砕するも、俺に当たることはない。
命中しそうな分だけ銃撃で破壊した。
崩れた壁から廊下に転がり出ると、あちこちから騒然とする声がした。
城内の人間が戦闘音に気付いて驚いているようだ。
「…………」
俺はトゥワイスの口に弾丸を落とす。
トゥワイスは美味そうに飲み込んでいく。
弾丸は大量に用意してある。
場合によっては俺の魔力や瘴気を装填して撃ち出すことも可能だ。
足りなくなることはないだろう。
ガルナディアスは壁を壊して部屋の外に出てきた。
腹の弾痕は肉が膨らんで塞がっていく。
自動再生の魔術だ。
魔力が尽きない限りは無限に回復できる。
正攻法では殺せない厄介な魔族である。
(まあ、やれないことはないな)
俺は魔視のゴーグルを装着して、順にダイヤルを回す。
いくつかの視点でガルナディアスを観察して、弱点を洗い出していく。
一方、ガルナディアスは腹の痛みに呻きながら怒り狂っていた。
「ぐ、く……貴様。初撃はわざと遅く動いたな!?」
「戦いなんて騙し合うものだろ。甘ったれたことを言うなよ」
俺は平然と返しながら、トゥワイスを双剣モードに切り替えた。
射撃と斬撃を併用できる状態にすると、両手で回転させながら構えてみせる。
「俺は勇者だ。どんな手段を使ってでも魔族を殺す」




