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魔弾の双銃士 ~過去に戻った勇者はジョブチェンジで最強の力を手にする~  作者: 結城 からく


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第59話 勇者は密かに行動する

 俺は険しい顔でその人間を睨み付ける。

 ゴーグルをずらして裸眼で確認すると、それは一人の商人だった。

 頬がこけた中年の男で、どこか胡散臭い感じのする顔で露店を営んでいる。


 俺は再びゴーグルを装着する。

 商人の体内に歪みができていた。

 他の人物には見られない特徴である。


 ゴーグルのダイヤルは、種を探知するモードに調節している。

 商人は間違いなく種を服用した人間だった。


 黙って観察していると、俺の様子に気付いたモアナが首を傾げた。


「どうしたの?」


「見つけた」


「始末しますか?」


「いや、少し待ってくれ。怪物化の兆しが出る前なら、安全に種を除去できる」


 俺はナイフを構えようとするリリーを制する。

 正直、宿主を暗殺するのが手っ取り早い。


 しかし、あの商人はまだ手遅れではなかった。

 彼を死なせずに種を壊すことは可能だ。

 実際、逆行前にはその経験があった。


 手順はシンプルだ。

 ゴーグルで種の詳細な位置を確認した状態で、外部からピンポイントで攻撃する。

 当然、宿主である商人は負傷するが、魔術やポーションを使えば治癒も容易い。


 気絶させてから破壊するのが確実であるものの、ちょっとした弾みで発芽しかねない。

 気を失わせる段階で怪物化が始まってしまうかもしれなかった。

 だから初撃で終わらせるのが最適だった。

 かなりの荒療治になるが、本人にとっても暴走して死ぬよりマシだろう。


(死角から一撃で種を破壊する。トゥワイスなら可能だ)


 威力を調整して貫通力だけを上げることで、肉体の損傷を最小限にできる。

 一点を破壊するという点では、双剣より向いていた。


 考えをまとめた俺は二人に指示を囁く。


「あの男を観察しよう。隙を見て種を除去する」


「あたし達はどうするの?」


「基本的には見守ってくれるだけでいい。もし俺の作戦が失敗したら、周囲の人々の避難を任せたい」


「分かった!」


 モアナは元気に返事をする。

 その一方で、俺は小声でリリーに伝達した。


「最悪、暗殺も視野に入れてほしい。変異が始まる前なら、安全に始末することができる」


「了解です。状況に応じて動きます」


 できるだけ穏便に済ませたいが、失敗する場合だって十分にありえる。

 その時は非情に徹して商人を暗殺するしかない。

 もし怪物化しても、俺なら迅速に始末できる。

 化け物退治は慣れていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >(死角から一撃で種を破壊する。トゥワイスなら可能だ) >威力を調整して貫通力だけを上げることで、肉体の損傷を最小限にできる。 >一点を破壊するという点では、双剣より向いていた。 まさし…
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