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魔弾の双銃士 ~過去に戻った勇者はジョブチェンジで最強の力を手にする~  作者: 結城 からく


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第43話 勇者は新たな仲間を見守る

 モアナは上機嫌で隣を進む。

 背中には弾けそうなほど荷物を詰め込んだ背嚢があるが、一向に疲れた様子を見せない。


 鍛冶師として修行する中でスタミナも付いたのだろう。

 或いは彼女の父が、将来を見据えて鍛えていたのかもしれない。


 逆行前に出会った頃から腕っ節は強かった。

 この時期でもそれは健在らしい。

 笑顔ではしゃぐモアナの足取りはどこまでも軽かった。


「あたし、旅なんて初めて! 昨日は興奮してあまり寝れなかったよ!」


「親父さんと離れるのは寂しくないのか」


「それはもちろん寂しいけど、今は期待の方が大きいかな」


「期待?」


 俺が首を傾げて復唱すると、モアナは拳を握り締めて頷く。

 その目は希望の色に輝いている。


「この旅の経験が、半人前のあたしを鍛冶師として成長させてくれる。そんな予感がするんだ!」


「前向きだな」


「うん! それが取り柄だからね」


 モアナは絶好調だった。

 別に強がっているわけではなく、純粋にそう考えているようだ。

 話を聞くリリーも楽しそうだった。


(良い傾向だ。ホームシックになられても困るからな)


 逆行前より明るいのは、父の死を経験していないからだろう。

 俺の知るモアナは、ふとした拍子に陰りを見せる。

 明るい性格の裏に何かあると思っていたが、今はそれが微塵も感じられない。


 俺は未然に悲劇を防ぐことができた。

 ただの自己満足に過ぎず、他人に自慢することはない。

 正しい歴史を歪めながら世界を救おうとしている。


 それでも良かったと思っていた。

 俺は俺の信じる正義を貫くだけだ。

 これくらいの気概でなければ、魔王との再戦など望めないだろう。


 モアナの横顔を見て決意を固めていると、彼女が俺にお願いをする。


「ねぇ、トゥワイスちゃんを見せてよ」


「急にどうしたんだ」


「移動中に改造案を出しておきたいと思って! 今のうちに構造を把握したいんだ」


 モアナの考えに感心する。

 彼女はしっかりと自分の役割を理解していた。

 俺達の役に立とうと考えている。

 自分のためだけではなく、こちらの利益も視野に入れているのだ。


「鍛冶の腕はお父さんに劣るけど、いつか絶対に超えてみせるから! ちゃんとトゥワイスちゃんを強くするから楽しみにしててね」


「ああ、期待している」


 俺はそう応じながらトゥワイスを渡した。

 モアナはさっそく喜んで調べ始める。


 ふとリリーを見ると、彼女は優しそうに頷いた。

 俺も頷いてそれに応える。


(仲間が増えて、トゥワイスは二度進化した。上々だな)


 逆行前は孤独が多かった俺だが、こうして仲間を得た。

 これで慢心するわけではない。

 きっと上手くいっている。

 ハッピーエンドを目指して、さらに精進しなくてはいけない。

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