第40話 勇者は新たな武器を披露する
翌日、俺達はモアナ親子の鍛冶屋に赴いた。
さっそくトゥワイスを見せると、ドワーフの父は深いため息を吐く。
「また複雑な進化をしてくれたな……」
彼が嘆くのも納得だ。
昨日の時点から大幅にグレードアップしているのだから、これで驚くなと言う方が無理があるだろう。
男は新しくなったトゥワイスを調べてうなる。
「改造案を練り直さなければならない」
「すまない。進化は止められないんだ」
「気にするな。武器が強くなるのは良いことだろう。むしろ、こうして目の当たりにできたのは幸運だ」
男は本心からそう言っている。
これまでの進捗が台無しになったわけだが、どこか生き生きとしていた。
静かながらも確かな熱量を帯びている。
確かにこれは滅多に見られない現象だ。
日常的に武具を取り扱う家事師からすると、進化とは奇跡そのものなのだと思う。
男が感動する一方、娘のモアナはじっとトゥワイスを観察していた。
興味深そうに指でつついている。
「すごいねー。本当にトゥワイスちゃんなの?」
「Yeah」
トゥワイスは軽快に応じた。
昨日からずっとこの調子である。
進化できたことがよほど嬉しいのだろう。
「撃ち分けできる二段構造は分かった。他に機能は増えたのか」
「ああ、ここで見せよう」
問われた俺はトゥワイスを受け取り、両手の上で回転させてから構えた。
「トゥワイス、行くぞ」
「Come on,master!」
頼もしい声を聞きながら、俺は体内の瘴気を操作する。
ほんの僅かな量を摘出して、腕から手へと流し、さらにグリップへと伝播させた。
するとトゥワイスが漆黒のオーラに包まれる。
馴染んだ力は安定し、魔力と上手く混ざり合っていた。
俺はモアナ親子に説明する。
「瘴気を使うモードだ。魔族の力を吸収して、それを撃ち返すことができる」
怪物化した領主を倒す際、瘴気を利用したのが要因だろう。
漆黒のエネルギーを喰ったトゥワイスは、今回の進化で適応した。
大幅な威力アップである。
しかし、新機能はこれだけではない。
俺は親指で撃鉄を押し上げる。
すると、グリップの真上から魔力の刃が飛び出した。
銃身と垂直に伸びており、ちょうど双剣になっている。
俺は左右のトゥワイスを振る。
魔力の刃に重さがないので扱うにはコツがいるが、すぐに慣れるだろう。
「このように剣として使えるようにもなった」
トゥワイスは俺が使い捨ての双剣を所持していることを気にしていた。
その嫉妬心が進化に影響したらしい。
俺が他の武器を持たなくて済むようにという配慮であった。
これで近接戦闘もこなすことができる。
「とんでもない進化だな……まるで別物だ」
「毎回こんな感じさ。いつも驚かされる」
俺は逆行前の経験も踏まえて述べる。
それでもトゥワイスの成長速度は異常だ。
数段飛ばしでパワーアップする様はとても心強かった。




