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魔弾の双銃士 ~過去に戻った勇者はジョブチェンジで最強の力を手にする~  作者: 結城 からく


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第31話 勇者は再会を果たす

 知人の鍛冶師――モアナの行動に俺は戸惑う。

 突然の挨拶に驚きつつも、その手を握り返した。


「あ、よろしく……」


 モアナはこちらの反応も気にせずトゥワイスを指差した。

 彼女は目を輝かせて言う。


「変わった武器だね!」


「あいつは生きているんだ」


「どこで手に入れたの?」


「選定した後、進化させた」


 俺が正直に答えると、モアナは首を傾げる。

 彼女は眉を寄せて父であるドワーフを見やった。


「選定って何?」


「己の存在を武器と結び付ける能力だ。異界の勇者だけが使える魂の契約術だな」


「ってことは、君は勇者なの!?」


「一応な」


 詰め寄ってきたモアナにたじろぎつつも、俺は素直に頷く。

 別に隠すことではない。

 その気になって調べれば誰でも分かることだ。


 二丁拳銃で戦うのは、広い世界でも俺だけである。

 魔王を殺すと宣言しているのだから、その時点で素性を明かしたようなものだった。


 モアナはなぜか興奮した様子で父に走り寄って行く。


「勇者の武器を鍛えるなんて、お父さんすごいね!」


「こいつが勝手に持ってきただけだ。俺の功績ではない」


 男はぶっきらぼうに応じるが、娘に褒められて嬉しそうだ。

 ぴくぴくと痙攣する口端が隠し切れていない。

 頑固な堅物と言った見た目だが、父親らしい面を持っているらしい。


 男は誤魔化すように咳払いすると、はしゃぐモアナを押さえて俺に話題を振ってきた。


「そんなことより改造の相談だ」


「あたしも見てていい?」


「……勝手にしろ」


 やはり娘には甘い。

 トゥワイスはあまり見せびらかしたくない代物だが、別にモアナなら構わないだろう。

 元々、彼女に改造してもらうために訪ねたのだ。

 むしろ新たなアイデアを提供してほしいくらいであった。


 その後、俺達はトゥワイスの改造案について話し合いをする。

 俺が無理な要求をしたので色々と練り直していく。

 ただ、最初の三つの提案で大雑把な構造は出来上がっていたので、あとは上手くかけ合わせるだけだ。


 相談を聞く中で、俺はふとモアナの容姿に注目する。

 頬杖をつく彼女は真剣にトゥワイスを観察していた。


(最後に会ったのがかなり昔のせいか、余計に若く見える)


 本来なら数年後に会う人物だが、面影はあるので分かる。

 ただ、脳裏のイメージより幼い感じがした。


 一般的なドワーフは小柄で筋肉質であり、モアナの父もその例に漏れない体型である。

 しかし、彼女は長身だった。

 女性にしては逞しい体格と褐色肌はドワーフの特徴だが、目の前の親子はあまり似ていないように思える。


 モアナはいわゆる普通の人間――プレーンと呼ばれる種族とドワーフの混血なのだ。

 母は彼女が幼い頃に病で死んだらしい。

 たぶん全体的な風貌は母親似なのだろう。


「おい。聞いているのか」


 かつて聞いた話を思い出していると、男に注意された。

 思考が脱線して、相談内容を聞き逃していたらしい。


 それに気付いた俺は素直に頭を下げる。


「すまない。もう一度話してくれ」


「自分の武器に関することだ。娘に見惚れるのは分かるが、集中してくれ」


「は……?」


 男の言葉に思考停止していると、今度はモアナが俺の肩に手を置いた。

 彼女はどこか同情するように告げる。


「仕方ないよ! あたし可愛いから」


「…………」


 俺は反論しようとして口を噤む。

 話を聞いていなかったという立場から、言い返すこともできない。


(そういえばこんな奴だったな……)


 モアナはいつでも妙にポジティブだった。

 その飾らない雰囲気で場を明るくしてくれるムードメーカーなのだ。


 かつての思い出を振り返った俺は懐かしい気分に浸る。

 しかし、今度は話し合いにも参加するのであった。

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[良い点] >(そういえばこんな奴だったな……) >モアナはいつでも妙にポジティブだった。 >その飾らない雰囲気で場を明るくしてくれるムードメーカーなのだ。 うん……良い……。 [気になる点] >モ…
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