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魔弾の双銃士 ~過去に戻った勇者はジョブチェンジで最強の力を手にする~  作者: 結城 からく


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第29話 勇者は拳銃を強化する

 リリーと別れた俺は、単独で街を散策する。

 何か発見がないかと探ってみるも、特に収穫は得られなかった。

 精々、領主の支配がどれだけ及んでいるか分かった程度である。

 どこに行っても許可証を求められて、場合によっては利用や通行を断られるのだ。


 ハッキリ言って、かなり不自由な街だった。

 来訪者の行動を制限し、グレードの高い許可証を買うように仕向けている。

 ちょっとした散歩も楽しめないので、どうにも窮屈な印象を受けてしまう。


 俺は仕方なく鍛冶師の店へ戻った。

 扉を開けると、店主であるドワーフの男が羊皮紙に何かを書き込んでいる最中だった。


「ちょうどよかった。見積もりが終わったぞ」


「どんな具合になった?」


「改良案がいくつかある。それによって必要な素材や金額が大きく変わる。紙にまとめたから見てくれ」


 そう言って男は羊皮紙を見せてくる。

 彼の説明を聞きながら、俺は中身を読み進めていくことにした。


 トゥワイスの強化には、三つの改良案があった。

 男が色々と検討してまとめたのだという。


 一つ目は威力重視。

 各部品の調整がメインだ。

 パーツによっては魔力の込められた特殊金属に換装するらしい。

 耐久性を上げることで、強力な弾を放てるようにするのだ。


 さらに内部の術式を弄ってエネルギー弾を集束させる。

 貫通力をカバーしつつ、破壊力の向上に繋げるのが目的だった。


 トゥワイスの保持する全魔力を一気に撃つバースト弾の機能も付けてくれるそうだ。

 これは必殺技である。

 かなりの魔力を消費するが、現在よりも最大火力を上げられる。

 全体的に良い改造ばかりだった。


 二つ目は、連射速度に重点を置いたらしい。

 内部構造を大幅に改変し、弾丸をグリップの内部にもストックできるようにするとのことだ。

 構造的にはオートマチック型の拳銃に近い。

 元からある回転弾倉を含めると装弾数が二倍になり、二丁拳銃になれば二十四発となる。


 これは大きな進化だった。

 リロードの頻度が半減すれば、継続的な射撃が可能となる。

 さらにエネルギー弾のモード切り替えを搭載し、威力を低下させる代わりに大量の弾を放てるそうだ。

 説明を聞くに、マシンガンのような扱いができるのだろう。


 三つ目の案は、それらの中間だった。

 極端な改造はせず、前の二つを両立させることを目指したらしい。

 尖った特徴はないものの、最も俺のオーダーに近いとも言える。

 実に妥当な改造であった。


 ちなみに費用についてだが、二つ目の連射特化が最もかかるそうだ。

 次に威力特化で、最も安価なのが両立型となる。

 特に両立型以外は材料が不足しており、何らかの手段で調達しなければいけないという。


「どの案がいい? 依頼主のお前さんに任せるが」


 説明を終えた男が改めて問いかけてくる。

 これらが彼の提示する改造案だった。

 いずれも適切で、こちらのオーダーに応じようという気概が窺える。


 だからこそ俺は羊皮紙を突き返すと、男に向かって堂々と答えた。


「全部だ」


「……何?」


「三つの案を合体させた改造をしてほしい。威力と連射とバランス……すべての要素が必要なんだ」


 俺は何の躊躇いもなく要求を告げた。

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