雨上がり 帰り道
雨上がり、学校から帰る途中、駅近くの花壇に、カタツムリを見つけた。
「あっ、カタツムリー」
私は、アメジスト色の紫陽花の葉の上を、ぬらりくらりと気ままに前進しているソレを、姿勢を低くして観察する。
ゆっくーり、ぬるーりと動く様子を見ていると、なんだか時間がゆっくり流れているように感じられた。
「ちょっと、何その動き。カタツムリ?」
一緒に帰っていた友達が、ケラケラと笑いながら私に話しかけてくる。
どうやら、カタツムリの動きに合わせるように、自分もゆっくりと動いていたようだ。
なんだか気恥ずかしくなって、跳ね上がるようにして身体を起こす。
「あ、まじカタツムリだ、うわっ、きもっ!」
別の友だちは、どうやらこういった類の生き物が苦手なようで、大げさなほどに引いていた。
「あははっ、わかる、きもいよねー」
友だち二人が、カタツムリのここがキモいで盛り上がり始める。
そうかー、盛り上がれちゃうかー。
私はなんとなく、花壇から目線をそらして、空を見上げた。
「あっ、虹が出てる!」
「えっ、ほんと? どこ?」
「あ、マジだー、すごい大きくない?」
「そういえば虹ってさー」
・・・
私はその日の夜、カタツムリの夢を見た。