サービス
「お前は・・・・・・」
「あれほど反省しろと言ったのに、結局暴力を振るいましたね」
「というか何でお前がここに⁈」
「周りをよく見て下さい、ここは貴方と出会ったあの空間です」
言われて初めて気付いた。自称、いや正真正銘の『神』"ヒコ”。
何故突然現れたんだ?
「いやというより、これは違う。あいつらが俺を通さなかったから」
「ですがしっかり話し合っていれば、暴力沙汰にはならなかった筈ですが?」
「くっ・・・・・・」
「結局貴方はこの世界でも、やってる事は同じ」
ヒコの大きなため息に、今までの俺の努力が否定された気がした。
「いいや違う!俺はこれまで皆んなの為にやって来た、ただ今回だけちょっと横暴なやり方になってしまっただけで、反省しているだから!」
「まぁそんな事は分かっていますが」
「えっ?」
「私はいつも貴方の動向を見ています。貴方の頑張り、意識の変化、まだまだですが多少は成長しているという事。しっかり見ていますよ」
穏やかな笑顔、初めて見た。その笑顔を見ると自然に脱力感が襲いかかり、崩れ落ちた。
「だから今回は特別に、サービスとして貴方を助けようと思いまして!」
「助ける?」
「はい、今から貴方にこの現状を打破する能力をプレゼントします!」
「なんだって⁈本当にいいのか?」
「はい!今回は特別です!」
「おぉー!ありがとうな!で、能力って何なんだ?」
「それは内緒です、そこに関しては自分で見つけ使いこなして下さい。それでは」
「えっ、おい、ちょ!」
ヒコは一瞬にして居なくなった。
「俺が貰った能力って一体・・・・・・」
恐らく考えるにヒコから貰った能力は、この学校への侵入の為の能力。そう考えると、戦闘系よりは隠密系の能力と仮定出来る。
隠密系の能力で最強の能力は『忍者』、何故かこの世界に忍者が存在する為こう言った能力があった。
元日本人の俺にとっても、相性の良さそうな能力。
俺はひとまずその能力の確認の為に、さっきザードと会った丘に向かった。
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「はぁはぁ、ダメだ全然分からない」
小一時間程色々試したが、全然見つけられなかった。
「一体なんの能力なんだ?」
隠密系でないなら戦闘系と思ってやってみたが、やはり違った。
それから日が沈むまで色々試したものの、結局これといった能力が見つけられなかった。
ぐぅぅぅ、と腹の虫も鳴き始めた。
「そろそろ飯にするか」
俺は街の中の、宿付きの店に入った。
「いらっしゃい」
「あ、一番安い食いもん下さい」
「はいよ!」
威勢のいいおばちゃんに、細身の水色の長い髪の毛が特徴の女性。親子だろうか?
「お待たせしました」
細身の女性が持って来てくれたのは、フランスパンに似たパンとシチュー、生姜焼きの様な肉だった。
一番安い割には豪華で量も多い。
「いっただっきまーす!」
シチューのコクのある味、歯応えのある肉。絶品だ。
俺は夢中になって食べ進めた。
「ねぇ、それ美味しい?」
「あぁ!うめぇぞ!」
「そっか、じゃあ少し私にも頂戴!」
「あっ、ぼ、僕にも」
「おっ、いいぜ・・・・・・、って・・・・・・⁈」
誰なのか確認しようと顔をあげると、思いもしない奴がいた。
「ひ、ひとし、それに・・・・・・」
目の前には俺の元彼女とひとしがいた。




