表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
籠を蹴破るお姫様  作者: ApSans
1/3

向いてません私には。

私はお姫様になれない。

性根が腐りきってやがるのだ。

どう頑張ったってなれっこない。


「レイ!!貴様また城を抜け出してからに!!」


―――といつも言っているのに、いつになったらこの頑固親父は理解してくれるのだろうか。


「抜け出してなんかしてないわよ。ちゃんとメイドたちに許可とったもの。ねぇメイド長?」


「いいえ。書置きだけ残して扉を蹴破る行為は『許可を取った外出』ではございません。」


そう答えるメイドの後ろで、執事たちがせっせと何かを運び出しているのが見えた。

無機質で真っ黒の、取っ手のついた分厚い板。

よく見れば、鋼鉄の扉のように見えなくもない。


「.....ねぇ」


「なんでございましょうか。」


「あれってまさか、私の部屋の?」


「Exactly.(その通りでございます。)」


「ふざけんじゃないわよ!! もうすでに窓に鉄格子はめられてんのよ!? その上で鉄の扉って何!? 牢屋!? 私の部屋は牢獄かしら!?」


「貴女の前科の賜物でございます。」


「にしても! 幾ら何でも酷すぎるわ!! こんなの異常よ!!」


「私も通常なら異常と思いますが、中で暮らす貴女が異常なので妥当な措置かと」


「今なんつったアンタぐえっ」


掴みかかろうと踏み込んだ瞬間、背後から首根っこを掴まれた。


「これ、そこまでだ」


威厳と威圧のこもった声と、それ以上の物理的な圧力に声が出なくなる。

言うまでもなく頑固な王様の仕業である。


「メイド長の言う通りだ。私とて好きでお前を閉じ込めようなどと思っているわけではない。だが閉じ込めざるを得んのだ」


「.......ッが.........!!」


気絶させようとしているらしく、死なない程度の絶妙な力加減で首を締め上げられる。

ゆっくり遠のく意識の中、失望した。

信じられない。

実の娘にこんなことをするのか、あなたは。


『しかしメイド長、些かレイを煽り過ぎではないか? こいつのじゃじゃ馬っぷりはお前もよく知っているだろうに。』


『申し訳ありません。』


『全く、本当誰に似たんだかな.....』


二人の会話が遠く聞こえる。

何を話しているのか分からなかったが―――そんなことはどうでもよかった。

覚悟が決まった。

今夜、決行しよう。

薄れいく意識の中、それだけを決心し、あとは睡魔に身をゆだねることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ