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ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
8月 ~なつやすみ~
99/444

2-94 神秘の森ダンジョン 3

短めです

 青や緑に水が光る地底湖の側でファルディアで30分程休憩を挟み、攻略に戻る事にする。

 やはり緊張はしていたのだろう。休憩を挟んだ方がみんないい顔をしていると思う。

 レティナさんも、良いSSが撮れたのだろう。顔がホクホクとして満足そうだ。


 休憩を挟んで気づいたんだけれど、魔物の再配置はいつ来るかなって思ってたんだけど、特に今の所、雑魚が再び出る様子が無い。

 しかし、前回ダンジョンの外に出て中に入ったら再配置されていたので、一回ダンジョンの外に出ることが条件なのだろうか?それとも物凄く再配置までの時間のインターバルが開いているのだろうか?少なくともフィールドは5分ほどで湧いている気がするので、ダンジョンのシステムは別なのかもしれない。

 いや、もしかしたら各ダンジョンによって、再配置時間が違うなんて事だってあるかも。


「やはりリポップはしない様だな。」

 再びY字路のあたりまで戻ってきたあたりで、あたりを見渡しながらガンツさんもそう言う。


「仕様が分からない所も怖いですよね。ダンジョンごとにインターバルが違う可能性もありますし。」

 その可能性があると事故率が跳ね上がる事を考えたのだろう。フィーデルさんが嫌そうな顔をしている。最悪のケースだと通り過ぎた瞬間に丁度湧いて、油断していた所に後衛から潰されるという可能性もあるのだ。


 しかし、こんな絶景をかかえたところが捨てダンジョンとか使い切りなのか?他の誰にも見られることなく消えるのだろうか?開発費を考えるとかなりの贅沢だと思う。


 それとも、あれだろうか。

 ダンジョンのグラフィックをパーツごとに用意してあって、まずランダムで迷宮を作成した後に、それに合わせたパーツを組み合わせる系のダンジョン。

 そっちの方がありそうだなぁ。

 難しいダンジョンほど組み合されるパーツが多い感じになるので、難易度が上がるほど長く広くなりそう。攻略的難易度やギミックが上がるというよりは物理的に距離が延びるパターン。

 いや、ダンジョンにランクがあって、ランクごとに攻略難易度が高いパーツを当ててる可能性もあるな。


「とりあえず、先行する。」

 と、ティラ君が言い、ティラ君が先行してくれる。

 最近ティラ君は釣り職人や薬士職人だけじゃなく、索敵職人や、もしかして罠察知職人になってる気がする。無言で罠察知も既に取ってくれてそうだ。有難い事です。


 ゆっくり左の道を進んでいるとすぐに戻ってきて、

「近くにいる奴を釣ってくる。」

 と言ってまた元来た道を戻り、蝙蝠を釣ってきてくれる。

 これもまた全員で無難に倒してY字路にたどり着く。


 確かにここはティラ君の言う様に暑い。

 凄く暑くて我慢できない!って程じゃないけれど、湿度が高くムシムシしてて不快だ。


「じゃあもう一回偵察に行きましょうか。皆さんここで少々待っててください。」


 と言い、自分が右、ティラ君が左に進む。

 すると、通路を進むにつれ、どんどんと気温が高くなっていく。こちらが温度的に当たりか。

 それでも先に進んでいくと、右に少しカーブしたと思ったら唐突に道が終わっている。

 いや、足元に続いているが水没している。水温はお風呂よりもあつい位なので、ざっと50~60度くらいだろうか?

 水中には先ほどの大広間ほどではないにしろ立派な結晶が見えるので、先ほどガンツさんが言っていた「熱水で50万年かけて結晶が成長した」っていう話を思い出す。

 こんな感じで、中では結晶がまだ成長しているのだろうか。

 なんにしても、これ以上この道は行けないし暑いので行き止まりって事だろう。

 念のために隠し通路の可能性も考えて岩肌をペタペタと触ってきたが、特に気になる所やおかしい所もなかったので、そのまま戻る事にする。


 Y字路まで戻ると既にティラ君は戻ってきていた。


「左はボス。」

 先にネタバラしをされる。


「うえぇ。右は多分行きどまりですね。道はありますが水没してますし、水は熱いから進むのは無理でしょう。」


「これで終わりか。」

「ここまで蝙蝠しか出なかったな。」

「となると、ボスも蝙蝠っぽいわね~。」

「あー・・・しまったなぁ。」

 思わず零すと、皆に注目される。


「いえ、ここまで雑魚の蝙蝠の技をつい癖で止めてしまいましたが、あの技何が来るか分からないのでボスから何を食らうかが分からないなぁと。」

 同じ蝙蝠類ならきっと同じ技が来そうですよね。


「確かに、分かっていた方がリカバリーが効きやすいな。」

 と、同意してくれるフィーデルさん。

「同じ技か、もしくは強化版がくるわね。」

「あと、蝙蝠、湖に3匹しかいない。」

「リポップがなければな。」

「再配置が無いなんて珍しいわよね~。」

「時間もあるし、湖まで遠くないから食らいに行こうか。」

 ということで、そういう事になった。

 元来た道を引き換えし、やはり未だに雑魚の再配置がなかったので湖まで行く。


「これで、戻るときに再配置があったりして。」

 と、真顔で言うティラ君。

「やめれ。」

 なんで、萎えることを言いますかね?

「ボスだけ種類が違う可能性も微レ存。」

「やめれ。」

「その可能性も十分にあるから困るわ~」

 と笑ってるセイさん。一方フィーデルさんの眉間のしわがより深くなってる。


 などとじゃれ合いながらも、ティラ君は遠くの蝙蝠を釣ってきてくれる。


 ガコンガコンとガンツさんの盾やら斧やらにどつかれ、蝙蝠がMPを全員から吸い上げ、ついに貯めからの見た事がなかった技がさく裂する。


 音が聞こえないが衝撃波が来る。

 全体攻撃か。

 雑魚のダメージとしては多くないけれど、ボスはどうかなぁ?

 止めないと一瞬で死ぬ事もあるかな?微妙な所だ。

 あとは、蝙蝠をみんなでボコボコにしてあっさりと終了する。


 結局、先ほど休憩した場所でみんな考えだしてしまったので、そのまま作戦会議が始まった。


「技を止めるのは簡単だな。」

「何回来るかにもよるわねぇ。耐性つくと別の技が来た時止められないし、一番嫌なのは本命の技を止めさせない釣り技の場合ね。」

「HPのパーセンテージでくるなら、まず壊滅技。」

「いやらしい。」

 しみじみと言うフィーデルさん。過去に何があったのか。


「序盤に来たら一回食らうか。」

「それを見て判断する方がトータルでは無難かしら?」

「ヒールヘイトがきつそうだな。俺もしばらく回復にまわるか。」

「距離減衰は?」

「多分無かったんじゃないですかね?」

「ダメージ自体が微妙だから何とも言えないけれど、10M離れていてもMIDを考えても後衛ダメージは前衛と誤差程度ね。」

「じゃあ多分ねぇな。」

「ダメ元で、目一杯距離を取ってみるわ。」

「雑魚のレベル的に行けそうな気がするし、ランダムダンジョンなら初見殺しは無いと思うが・・・。」

「ボスだけ各ダンジョン共通抽選POPとかじゃなければですね・・・。」

「嫌な事を言う。」

「まーでも初めてのダンジョンだし。」

「クリアさせる目的だろうから、その可能性は低いとは思うな。」

「あの・・・ボスって、1匹だけなんですか?」

 素朴なレティナさんの問いかけに注目が集まる。


「天才がいた。」

「ありうるところが怖いな。」

「3匹で1体とか蝙蝠ならありそうよね。」

「そこまで考えだすと、突然の雑魚が湧くケースも考えられるぞ。」

「もし雑魚が湧いたら自分とティラ君が取りますね。」

「マラソン。」

「蝙蝠早いからなぁ。」

 マラソンできるかなぁ。

「ひたすら延々と雑魚が湧き続ける場合はそれしかない。」

「嫌なこと言うなぁ。」

 でもそういうボスもいないわけじゃないんだよな。

 ていうか、ガンツさん。思ったよりも喋るな。

 ちゃんと必要な事があると喋る人なんだろう。うちのじいちゃんは必要な事も話さない人だったから、そのイメージだった。


「ああ~重力魔法がほしいわ~」

 と、セイさん。あれですね。敵を動けなくしたり移動速度を下げる魔法ですね。マラソンのお供のやつ。


「フレンドリーファイアが無ければもっと削れるのに。」

 とため息をつくフィーデルさん。


「その辺も何かそのうちギミックで出てきそうですよね。」

 フレンドリーファイアがないとか、完全耐性がついて巻き込んでくるボスとか。

 魔法耐性がこのゲームでは必須なのか?とか言ってたら今度はティラ君に巻き込まれそうではあるが。


「まぁ今回はそれは関係ねぇだろ。」

「後は見ないとわからないわね~。」

「行くか。」


 突然始まった会議は、唐突に終わる。

 そして、誰も異論はなかった。

 結局の所机上の空論なので、見ないと分からないのだ。


「えっと・・・。」

 現場の雰囲気についていけないで戸惑うレティナさん。

「その場のノリで判断?って事になった。初めにさっきの技がきたら、あえて食らうから回復を3人でガンバ?」

「あ、ハイ。」

「ティラ君がフォローしてくれるから大丈夫ですよ。」

 きっと多分ね。

「マラソンしてたら無理。」

 確かに。


「大丈夫、私もフォローするわ~」

 ウフフフと笑ってレティナさんの頭を撫でているセイさん。ついでにティラ君も撫でられてる。

 ティラ君がアワアワしている様が面白い。


 結局ボス部屋に行く途中も、再配置はなかった。

 洞窟なので部屋ではないのだが、段々と登り道になっていて、狭い通路を急に折れると大きな空間に出る。そこに見える、ひときわでかい蝙蝠が一匹いる。レベルは45といったところ。やや格上だ。

 部屋に入ると戦闘になりそうなので、みんなで顔だけ出して除いている。



「いくか。」


 ガンツさんがそう小声で言うと、ガンツさん以外の全員が頷き、気合を入れる。


 スルリと部屋に入り、まるで自然体で蝙蝠に近づいていくガンツさん。

 ある程度近づくと蝙蝠の感知範囲に入ったのだろう。

 蝙蝠がシャー!と威嚇をし、下の方まで降りてくる。

 ガンツさんが蝙蝠に捕捉された時点で全員急いで部屋に体を滑り込ませる。

 モタモタしていたら入れなくなるパターンも十分ありうるのだ。


「こい!」

 蝙蝠を傷つけ、挑発に行くガンツさん。

 それが入ったのを見て羽根を傷つけ行動阻害を狙いにいくティラ君。

 自分も気配希釈をかけて敏捷と夜見で様子を見ながら敵視を取らない様にダメージを入れていく。

 ・・・このボス、他のボスとは違って比較的柔らかい気がする。

 紅甲冑とかディラシスとかよりもずっと柔らかい。

 という事は、削りやすくて良い事でもあるんだが、反面敵視の調整が難しくなる。

 うっかり火力を出しすぎるとすぐに敵視が飛んでしまう。

 より慎重に削っていく。


 あっという間に10%程削れ、ここでボスにMP吸収される。そして続けざまの溜めモーション。


「とりあえず、1回受ける!」

 そう、吼えるガンツさん。

 この早さだと微妙な所だ。HPのパーセンテージでフェーズが変わったのか、それともただのランダムや時間で来ているんだろうか判別がつかない。10%でフェーズ移行だと早いと思ったから、ガンツさんは受けることにしたのだろう。



 そしてボスからさく裂する衝撃波。

 少しクラっとしたけれど、ボスの技にしてはダメージがそこまで多くない。・・・HPの10%くらいか?雑魚と比べて少し強化されている程度かな?これは何とかなりそうと思って、あたりを見て絶句する。


 全員気絶している。

 いや・・・、セイさんは何とか起きている。


「・・・クソっ!」

 気絶の弱体(デバフ)付きなのか!


 とりあえず敵視を取らなければと、スキルを切り替え影纏+影硬質化+影変化で蝙蝠を強打でぶん殴る。


 だが、そのダメージが引き金になったのだろう。

 突如ブワッとボスから黒い煙が湧き出る。警戒して少しだけ距離を取る。


 その煙は一瞬おいてまとまり、10匹前後の蝙蝠の形を取る。

 このタイミングで、雑魚が湧いた。



 ―――湧いてしまった。



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