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ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
7月 ~ファルディアと日常~
69/444

2-68 海霧

ちょっと中途半端な長さで申し訳ないです

 ログインしたら夜だった。



 ・・・・あれ?



 あー・・・そうか、午前中にログインしなきゃいけなかったんだ。


 そうするとファルディア的には、自分がお寝坊さん過ぎて、1日中ぶっ続けて寝ちゃったダメな子?


 あちゃあ。


 まずは謝りに行くことにする。


 時間にして午前4時位。

 さすがにまだ活動している冒険者さんたちはいない。

 いたとしても、きっとプレイヤーだろう。


 宿のご飯どころの準備もまだ始まっていない様な時間帯だ。

 ただ、夜番の人だろう、若い男性は本を読んだりして受付で過ごしている。


「すみません・・・。」

「・・・うわっ、こんな時間にどうされましたお客さん!?」


「どうやら時間を勘違いしていて、寝過ごしちゃったみたいなんです。ご迷惑をおかけして申し訳ないのですが、宿代はどうしたらいいでしょうか?」

 ああ、と笑うお兄さん。


「そういう事でしたか。いえ、大丈夫ですよ。確かに未納になってらっしゃる様ですが、今までちゃんと納めて頂いてますし、お部屋も綺麗に御使用いただいております。特に騒いだりの苦情もお客さんの場合はないですし。・・・”霧向こうの方々”は向こうと行き来される関係上、時間がずれやすい、と伺ってますので後に予約でも入ってない限りは柔軟に対応させていただいております。」

 好感度はこんな所でも仕事をしてくれるようである。


「申し訳ありませんでした、次は気をつけます。」

 と言って6000Fを渡す。

「はい、ご丁寧にありがとうございます。」

 と、お兄さんが言ってくださる。


「このまま準備して、すぐ部屋を開けますね。」

「まだ時間も早いですし、暫く大丈夫ですよ?」

「いえ、居心地がいいところなので、また寝過ごしてしまうといけないので。」

 そういうと、お兄さんはありがとうございます、と軽く笑ってくださった。


 部屋に戻って簡単に荷物をまとめる。

 やはり兎君は戻ってきていない模様。

 昨日?おとといは扉を閉めて寝てしまったけれども。


 まぁ兎君の事だし、きっとまた会えるだろうと思う。


「お世話になりました。女将さんにもよろしくお伝えください。」

「はい。行ってらっしゃい。またのおこしをお待ちしております。」


 そう言って見送ってくださった。




 外に出ると、何も見えなかった。


「・・・!!???」


 においをかぐと微かな潮の香り。

 肌に纏わりつく水分。

 重たい、じっとりとした空気。それでいて自分には不快じゃない。

 ひやっとした感じが清涼感を感じるのだろうか。


 気配察知と魔力感知は入れている。だけど闇視を使っても何も見えない。


 時間は夜明け前。

 もう少ししたら夜が白んでくると思うのだけれども、これはアレだ。


海霧(じり)。」


 確か、アポリア王国は海に近かったはずだ。

 そして、緯度が多分日本より高い。冷たい海流と温かい空気が海でぶつかり発生した霧が岸に押し流されたって奴だろう。


 うちの方でもたまにあるけれど、もうこちらは暑すぎるせいか、そんな霧は出てこない。

 来るのはもう少し前の時期である。


 そして、ここまで濃い霧もなかなか自分には珍しい。

 アポリアは良く海霧が出るのだろうか?

 いつもとは違った風景に戸惑いながらも、宿の階段を踏み外さない様に注意しながら、一歩一歩慎重に歩く。


 水分で石畳がつるつるしているので、気が抜けない。


 ・・・こんなところに兎君がいたら、ふくふくとした毛が水分を吸いまくって大変なことになってたんじゃないか、って思うとちょっと面白い。

 いないけれども。


【軽業が2レベルに上がりました。】


 おおぉ・・・大した事をしていないのにレベルが上がった。

 体幹が鍛えられているのだろうか。

 まぁ鍛えられるよね。なんか脚の裏の筋肉が変に力は入っている気がする。

 ・・・・・影族に筋肉ってあるんですかね?血もないのに。

 影族の身体構成も謎だなぁ。魔力生物みたいなのに、物理特化なんだよなぁ。

 どうなってるんだろ。



 転ばない様に一生懸命南門の方に進んでいたら、昨日、あの酔っ払いがいた辺りにいる事に気づいた。


 あの人はどうなったんだろう?



『どんなに努力しても報われない、この世界など滅びてしまえばいい!』



 あの人の、あの言葉が思い出される。

 あの叫びは、自分にも覚えがある弱さだと思うけれども。



 視線を上げ、世界を見る。


 あの日と違って、世界は霧に覆われ何も見えず、空気も雰囲気も何もかも違う。

 これから空も白んできて夜が明ける。

 きっと風が出てきて、今何も見えなくても、この霧はすぐ押し流される。


 どんなに世界を恨んでも、自分が世界を拒絶したって。


 ―――世界はただそこに在るだけと、知っているのだけれども。


 それは残酷な事なのか。それとも優しい事なのか。


 そして、世界は常にどんどん変化しているのだ。

 常に形を変えながら、いつもいつもそこに在り続ける。


 幸せも、不幸も、全て終わりが来るのだ。そして常に変わり続ける。

 たとえ、どんなに幸せだって――――・・・



「終わりが来ない事なんてないのにね?」


 ならば努力し続けるしかないだろう。

 幸せを少しでも長く、不幸を少しでも小さくするために。

 自分の大切な人を守れる様に。


 あの人は何が一番辛かったのかな?

 親しい人に裏切られた事?それとも仕事で騙されてお金を失った事?


 なんにしても、次にああいう人と会ってどうしようもなかったら、きっと自分は斬るだろうなと思う。

 やだなぁ。自分そんな迷いのないタイプだったのかと思うけれども。

 思わず苦笑が漏れる。



 気持ちを切り替え、南門に向かう。


 南門の門番さん達とも随分と顔なじみになってきた。まぁ顔ないんですが。

 顔がないのに目がないのに目で見ている。口で話している。謎生物影族だな。


 軽く挨拶を交わしながら、門を出る。

 出るとトロッとした空気は同じなんだけれど、サッと空気が流れているのがよく分かる。

 これは海の方からかな?潮の匂いが濃くなる。



 これから太陽も登る。

 月も登る。


 PNT的には無茶しなければ余裕だろう。


 今日は何もなければ、とことんスキル上げしようと心に決める。

 とりあえず目的地もないので、海の方、南の方を目指して白い闇の中をゆっくりと歩きだした。



7月の話はここで終わりになります。

ここまで拙作をお読み頂いた方々、評価をしてくださった方、ブックマークに付けてくださった方々、誤字報告をしてくださった方々、いつもありがとうございます。


かねてより活動報告の方で告知はしておりましたが、今後のより良い創作活動のために、情報整理や校正、番外編や地図の作成のために2週間ほどファルディア本編はお休みになりますので、ご了承ください。

決してビルダー2の発売日と被っているからではございません。ええ、決して。



それでは、少し早いですが皆様によいお年が来ることを願いつつ、ここに年末の挨拶と変えさせていただきます。


平成30年12月18日


【ファルディア8月の話に向けてのアップデート内容】

・リアル12月中に幕間(番外編SS)、ファルディア七月末時点での主要キャラデータ、人物紹介などが挿入されます

・本編の再開は1月になります

・リアル12月20日はメンテナンスの為にアップデートはありません

・年末の主な更新先は、こちらではなく『ファルディア設定資料集』になります

・正月はなろう様が落ちてなければなんらかのアップデートを行いますが、混んでいたらばいつもの時間とズレるかもしれません(とりあえず予約投稿済です)



※設定資料集について

特に読む必要のないものになりますが、「こいつ誰だっけ?」「この単語なんだっけ?」など分からなくなった場合には便利なものかと思います。やたら固有名詞が多いファルディアの設定を現段階で出てきている物を中心にまとめてあります。必要な方は、ご活用ください。ただし、やや先の設定もサラッと交じっていたりしますので、ネタバレが嫌いな方にはお勧めしません。2-61で出てきた属性表などもこちらになります。

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