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ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
7月 ~ファルディアと日常~
62/444

2-61 逢魔が時 3

月光属性の説明回?

「月光属性ね・・・。あなた、属性表ってわかる?」

 そう幽霊さんが聞いてきます。


「属性表ですか?多分わからないです。あれですか?火属性とか地属性とかそういうものですか?」

 属性は技の体系にも関わってくるらしいんだけど、魔法に手を付けてないから基本の属性しか知らないんですよね。地水火風と闇と光だったか。月光属性何て勿論聞いたことないし。


「そうね、その属性をね、分かりやすく表にあらわす事ができるの。聞いたことがない?もしかしたら月都だけだったのかしら?・・・でも影族なんて魔法とかあまり使わないだろうし、技も影系のものしか使わないでしょうから、全体の属性なんてあまり知らないかもね。」


 そう言ってお姉さんはその辺の木の枝を拾おうとして、スカッと手がすり抜けた。



「・・・・。」


「・・・・。」


 多分、説明しながらその属性表を書いてくれようとしたんだろうけれども・・・幽霊だしねぇ?


「もう!ちょっとサク君!あなた十字線を書いてちょうだい!」

 ちょっと涙目になってる幽霊姉さん。

 はいはいと言いながら、言われた通りに十字を書いてあげる。


「これでいいですか?」

「そうよ、それでいいわ。まずね、上が光属性なの。で、下が闇属性。もしくは影属性と言われるものね。」

 お姉さんがそう指さしながら言ったので、上に光、下に闇と書いていく。勿論まだ大陸公用語14レベルなので書けないので日本語です。


「・・・ちょっとそれ何処の言語よ!まぁいいわ。光闇って書いてくれたと思うけれども、明るい暗いとかじゃないのよ。この場合”見える”、”見えない”なの。」

「”見える””見えない”?」


 ・・・明るかったら見えるってことなのかな?

 なかなか聞かない分類だな。


「えぇっとね、私も専門じゃないから、そんな詳しくは分からないのよ!もう!・・・確か有形か無形かだったかしら?」


「ああ、なるほど。」


「え?それだけで分かるの?」

 分かったかは分からないけれど、属性を形あるものと、無いもので分けたいって事だよね?


「さぁどうでしょうか?続きをお願いします。」

 この方法で行くと、分類が煩雑になってくるような気もするのですが、まず続きを聞いてみようと思う。


「そして横の棒、右が陽の属性よ。そして左が・・・」

「陰なのですね。」

 カリカリと先に書いていく。

 神様の属性っていうやつだろう。


「そう。で、太陽と月なんだけれども、そのまんま象徴ではあるのよ。でも別の側面もあって・・・」

「確か、月が静を司る不壊属性とか聞いた気がしますが。」

 学者さんによると、物の保管に使われてたとか何とか。


「そうそう!偉いわ!多少は調べたのね。そして陽光が動を表すの。だからね。」

 そう言って幽霊さんはグラフの左上を指さす。


「月属性の光属性―—すなわち活動を静止し形あるものを示すここに属するのは地属性ってわけ。じゃあ火は?」

「・・・陽属性の闇?」

「違うわ。確かに火は形がなさそうに見えるけれど、常に視認されるもの。光属性に入るのよ。」


 なかなかに難しい。


「もっとも、物凄い高熱などになると視認もできなくなる可能性があるけれども、見る前に死ぬし鍛冶屋の領分だから関係ないわね。」


 温度が上がると青い炎になっていくっていう奴だろうか。見える見えないっていうより可視領域を外れてきているんじゃないのか?物凄いエネルギーがありそう。

 そう考えると横の軸が神様の軸で、縦の軸が人間が考えた神様の分類の様な感じがするけれど。


「じゃあ風は?」

「えー・・・と今度こそ陽属性の闇?」

「正解。じゃあ水は?」

「陰属性の・・・ん???」

 水は温度の高さで気体にも個体にもなりますが・・・。

 となると、そのまま不定形で闇属性でいいのか?


「そうね、水は難しいわ。火の論理で言えば光属性のはずなのに、闇属性に分類されてるの。なぜなのかしらね?」

「水循環のせいでしょうね。」

「みずじゅんかん?」

 ―――おっと、いけない。水循環は20世紀になってから判明したシステムだったか?熱学は19世紀?この時代の人には無い認識かも。

 ファンタジー世界には属性があるけれど、そもそも地球でだって四元素とか五行説とかずっと信じられてたわけだし、だから錬金術師なんて流行ったんだよね。



「えっと・・・。水は沸騰させると湯気になり空気に混ざるんですよ。だから湯気になると見えなくなりますね?空気になったり、水になったり、寒い地域では氷になるので、温度によって定まってないので闇かなぁって。」


「・・・あなた学者か何かなの?すごいわ。確かに氷属性もあるの。氷属性の場合は光側に分類されているけれど、元々は同じものなのかもしれないわね。・・・変動属性なのかしら?」

 うーんと悩みだす。多分脳内では鍛冶利用について考えてるに違いないと思う。

 スーパーな剣を作る蒸気機関とか言い出したらどうしようかと、若干ビクつく。


 まぁ幽霊だから作れないか。


「話はそれてしまったけれど、この今書いてもらった図のね、左半分が月属性の範疇になるの。」

 上位属性も上位属性ですね。

 これは、ヤバいのではないでしょうか・・・?


「もちろんね、そんな都合よくここに入ってる属性全て操れるとかそういう事ではないの。ただ、親和性が高くなるわ。」

「親和性。」

「魔法使いならここにある属性を扱いやすくなるわ。あと、相手の術のレジストがしやすくなったり、逆に術によってはかかりやすくなってしまったりって感じね。技系統だと、その系統の技を取得しやすくなったり、相手からくる技を受け流しやすくなったりといった感じかしら。」

 なるほど、魔法耐性を限定で上げる様な・・・?感じ?


「物凄く月光属性を極めた月術士は、相手の月属性の術を阻害する者もいると聞くけれど、そんな人探したって世界に数人しかいないはずよ。私もセレネーツァ様しか知らないわ。」

 極めれば極めるほどヤバい属性って事ですかねぇ?月光属性。


「親和性は分かりました。で、結局の所、月光属性は親和性が上がるって事なんですか?」


「違うわ。親和性は上位属性としての特典みたいなものね。そうね、月光属性は司る一番大きなものはさっき言った様に『静』ね。だから不壊属性をつける技術が発達し、おかげでそれを請け負う工場(こうば)なども発展してきたわけね。」

 幽霊のお姉さんの家もそうやって発展したわけですね。


「まず、月光属性の魔術で言うと、戦闘的なもので言えば『静止』が多いわ。敵のスピードを遅くしたり、誰かの術の経過時間を長くしたりそういう感じね。高位術士になると空気を制止させて間接的に術を止める人もいるわね。」

 それは、・・・時を操ってないですか?


「あとは、次に『癒し』が上げられるわ。月光はね、陽光を反射して光が少なくなってる反面、魔力が多く含まれているの。」


 ああ、だから月光の方が回復するんですね。


「陽光はほら、成長とかそういったものを司ってるから植物を育てたりするにはそっちが向いているのだけれども、月光は物を治したり癒したりする方向ね。」

 なるほど、なるほど。

 死を司るとか言われたらどうしようかとも思いましたが、癒してくれるのは大変ありがたいです。


「水属性や光属性みたいに急激に回復はさせないけれど、ジワジワと回復させるのには向いてるわ。だから集団戦とかでは重宝されるわね。」

 範囲回復フィールドを展開できるって事ですかね?そりゃ重宝されますね。

 となると、陽光はバフとかそういった事に特化してるのかなぁ?

 活力を上げる的な。


「あとはあまり知られていないので『解除』ね。魔法を静止させて解除していくの。セレネーツァさまは詠唱中に発動を解除する事ができるけれど、既に発動している持続型の魔法を時間をかけて解除するなら、中位くらいの魔術師でもできるわ。魔術の構造を解析して徐々に解体していくという手法じゃなくて、魔法自体を徐々に消す感じね。」

 それは、どれくらいの速さで、どれくらいのものを消せるかによって有用性が変わるなぁ。


「戦闘面での解除は大変ね。でも、600年ほど前にこの”解除”が得意な武将が居て、相手のバフを全部解除して叩き斬ったって人がいたわ。あ!もう650年は前なのね。」

 エンチャントとか全部解除してしまったんでしょうね。それに依存している人からすると最悪の相性でしょう。


「正直、技系の方面は私には疎くて分からないわ。だってどの流派も”技”は大概門外不出ですもの。さっきみたいな『偉業!』って伝説ならいくつか知ってるけれど。・・・クレンセーテが無くなったのが、まだ3年前だったかしら?人が生きているならば流派は残ってるのではない?せっかく月光属性を持っているんだから、まずは習える流派を探した方がいいわね。」


 とのことです。

 なるほどね、・・・なるほど。前進したと見せかけて、あまり前進していないような。

 結局世界廻りをしなければならない様である。まぁするんですけどね。


「ただ・・・。」

 と、幽霊さんが続ける。


「ただ、私の我儘を言うなら、出来ればクリートゥス家 の一門がいいと思うわ。シュライブングの剣は月都でも珍しい直刀双剣。クリートゥス家はそれを代々受け継ぐ双剣使い。月都は曲刀が主流ですもの。生かせない可能性がある。・・・あなた次第になるとは思うけれど。」


 なるほど。シュライブングの剣を使うとなると、ほぼ一択になっていくのか。そうするとクリートゥス家の人を探さなければいけないのね。でも、生き残ってる人いるのかなぁ?そして場合によっては前の持ち主さんを殺した”敵”という可能性もあるわけだね。難易度が高いクエストだなぁ。


「なるほどですね・・・。ではクリートゥス家の方を探してみると致しましょう。」


 もんの凄ーく時間がかかりそうだけどね。

 でも、ここまできたんだし、もう拘っちゃっていいよね。

 サービス開始からリアルでたったの1週間。ユニークスキルのせいか、アホみたいに変な出会いを繰り返してきたわけだから、このままでいったら、そのうちスキルが引き寄せてくれるかもしれない。


「それがいいわ。別の派に属してから改めて派を移動もできるけど、後で問題になったり酷いと殺し合いになったりもするから、やめた方がいいわね。人道的にもね。・・・あと先にできることがあるとすれば、魔力感知はとっておいた方がいいわ。」


「魔力感知ですか。」

 それは取ろうか悩んでたんだよね。

 PTプレイなら取らないんだけど、ソロだと完全に魔法が弱点になる。

 魔法に弱かったとしても、イニシアチブさえ取れれば、魔法使いを潰すことをそんなに難しくはない。ただコストがでかい。魔力感知のコストは自分で12SP。魔法使いが取得すると1とか2らしい。いかに畑違いかがよく分かる。コストのでかさで取るのを躊躇してたんだよね。

 まぁ、スキル取得可能リストに出てるだけありがたいんですが。


「他の属性はともかく、月光属性は魔法でも技でも他の属性の魔力を読んで先手を打っていくスタイルなの。だから、月光属性を持ってる人は相手が月光属性か分かるのよ。上手くいけば、相手から声をかけてきてくれるわ。」


 なるほど。

 じゃあ魔力感知は必須ですね。SP足りているか分からないので後で確認しましょう。

 ・・・これに関しては自力で取得できる気がしませんしね。


「あと、感知系を伸ばしていくのも手ね。影族だから種族スキル『闇視』があるでしょ?目で感情を読むことに長けてる種族だから、ある意味月光属性と相性はいいのかもね。」


 魔力だけじゃなく、人の感情の機微も読んで先んじるっていうのが基本なのかな・・・?

 ただ、読んでも手が打てないという自分はあれであれですが。初心者だからそんなものかな・・・。

 ただ、『先んじる』というのは自分のスタイルには合っている。



「分かりました。魔力感知を取って感知系を伸ばせるかやってみます。自分のスタイルがそもそも先行強打型なので、おそらく有効でしょう。ただ、ゴースト系との相性だけは、いかんともしがたいですが・・・。」

 切り札もありますが、相打ちって感じが半端ない。


「そうねぇ・・・魔力操作まで覚えると刀剣に魔力を纏わすことはできるけれど、シュライブングの剣との相性はどうなのかしら?・・・いえ、今の状態のその剣は普通の剣と同じ。剣を強化したら要らなくなる技法ではあるかもしれないけれど、邪魔にはならないわね。」


 エンチャントって事か。

 流派に入門できなくて出来るなら助かるけれど、魔力操作のSPコストがまた同じくらいかかりそうで怖い。

 そして、魔剣に近いシュライブングの剣が魔力を纏ったら別にエンチャントは要らないって事かな。


 そう考えると、流派っていうのは魔力操作を取らずに技として学べる良い機能みたいなものかなぁ。みんな取得するはずである。


「結構コストが大きそうなので、魔力感知を取ってから考えていくことにします・・・。」

 そうだよね、その前にスキル上げをして土台を整えなきゃね・・・。


「それがいいかもね。あれも!これも!ってしちゃうと、失敗する可能性が大きいもの。まずは魔力感知を完璧にものにした方がいいわね。」


「はい、頑張ります。」


 技としての目標はまだできていないけれど、当座の目標が出来たのは大きい。一つずつ丁寧にこなしていけば見えるもの出てくるはずだから、頑張りたい。

 自分結構、こういう作業嫌いじゃないんですよね。


「頑張ってね、応援してるわ。」

 と優し気に微笑んでくれる幽霊さん。


 空も大分赤くなってきた。

 帰りにギルドで地図も写したいんだった。

 要件も大分済んだし、そろそろ帰るかな・・・。


 自分が空を少し見上げていた事に気づいたのだろう。

 幽霊姉さんが先に

「そろそろ、帰る時間?」

 と聞いてきてくださった。


 幽霊さんには帰る場所が多分無いと思うので、(しいて言えばここがその場所?)ちょっと申し訳ないなという気持ちもあるのだが、ログインできる時間も限られてるし、今日は自分の体調も万全じゃないからあまり無理はしたくないな。


「はい。・・・そろそろですね。今日はありがとうございました。また、来てもいいですか?」


「当たり前じゃない!幽霊なんだし、やる事もないから何時まででも待ってるわよ!最も私の記憶が飛んじゃう可能性もあるから名前忘れないうちに来てよね!」

 幽霊ギャグか悩むところではあるが、こちらもそのつもりである。


「えっと、とりあえず鍛冶屋のお爺さんが来たいって言ったら一度連れてくるので、近々もう一度来ると思います。その後はちょっとアルシオンにも帰らなきゃいけないので、もしかしたら間があいてしまうかもしれませんが、さすがに名前を忘れられる前には一度来ますよ。教えてほしい事が沢山出来ると思いますし。」

 世界を回るときには全然来れなくなっちゃうかもしれないしね。


「そう、楽しみに待ってるわ。」

 嬉しそうな幽霊さん。

 ちょっと後ろ髪引かれちゃうよね。


「次はお供えをお姉さんの分も持ってきますよ。何がいいですか?」

「え?そんな気を使わなくていいのよ。幽霊だから食べれないし。・・・。でも強いて言うなら、またお花があると嬉しいわ。この辺は花が咲いてないんだもの。」

 そうおっしゃる。

 剣オタで男勝りなのかと思えば、花が欲しいと可愛らしい事を言われました。


「たまわりました。買えるかわからないですが、出来たら持ってきます。」

「無理はしなくていいからね。」

「はい、ありがとうございます!・・・兎君ーーー!そろそろ帰ろうーーー?」

 遠くにいるだろう兎君に呼びかける。

 一緒に帰るつもりかは知らないけれど、その気なら声が届くところにいるはずだ。


「キュ!」

 少し遠くで声が聞こえたが、すごい勢いで戻ってきた。

 ・・・多分自分よりも脚が速いデス・・・。さすが兎・・・。

 ちょっと毛皮が冷たくなってた兎君を撫でると『抱っこして!』って感じで鼻を手にこすりつけてきた。そっと抱っこしてあげる。兎君は暴れたりせず気持ちよさそうに目を細めて耳を垂れているので、正解だった様だ。


「それでは、僕らはこれで失礼します・・・ね・・・?」


 後ろを振り返り、お墓の方を見ると既に幽霊姉さんはいなかった。

 ただ、茜さす湖畔の畔の、うち棄てられた墓がそこに在るだけだった。



 寂しいから先に帰ったのか、それとも兎君がいるから消えてしまったのか、はたまた今のは全て自分の夢だったのか。


 そんな気持ちになったけれども――――――。



 それを含めてお爺さんに話して、来てくれるつもりなら、きっとお爺さんは来てくれると思う。



 会った時よりも居なくなった時に化かされたような気持ちになるなんて変だけれども、・・・いや正しいと言えば正しいのか?

 それから兎君とアポリア王国にへの帰途についた。


 門が有料になるまでには何とか間に合った。


 ちなみに、帰りはリスとは全くエンカウントしなかった。幽霊の加護でも貰ったのかもしれない。



『水こそが万物の根源である(ターレス)』

ここ、カヅキ君の期末テストで出たとかでないとか。



幽霊殿が”直刀双剣”と言ってますが、適当な語訳が無かったのでそんな感じになっています。が、誤用なので考えないで感じてください(!?)。幽霊殿の国では曲刀が主流なので真っすぐと言いたかっただけですね。

まぁ魔法がある世界なのでそこまで厳密に考えないでいいと思いますが。


月光属性と月属性と出てきますが、特に大きな違いは今の所ありません。しいて言うなら月光属性はその属性そのものを指し示し、月属性はフィールド的に陰属性の範囲を何となく指し示している広範囲なイメージになります。サク君はともかく幽霊さんの使い方はそんな感じです。

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