2-52 散策
ベッドの上で暇をしているので、とりあえずスキルを見ています。
見ていますが、一番欲しいエンチャント系の技系スキルは出てきていない。やはりクエストを探すしかないんだろうなぁ。影族もアポリアで出るんだろうか?ちょっと調査が必要ですね。出るならばここに居る間に出してしまいたいところ。
影族にはエンチャントがなくて、影纏がその代わりを担ってるっていう可能性もある。だって、影族さんたちと狩りに行った時誰か使ってた?覚えが全くない。でも、影纏は強いんだけど、ヤバいんだよね。ゲームが出来なくなるほどの存在をかけた技ってどんな自爆技だよ、みたいな感じ。それとも威力調整がヘタなんだろうか?それとも打撃武器系の技なんだろうか?色々とこの辺も要検証だなって思う。検証するのは弱い生き物にしておこう。多分HPをPNTで削ってる気がしてならない。いや、この場合幽霊とか物理が通じない相手だけなのかな?HPというよりは・・・PP?どんなポイントやねん。
スキルポイントはまだ19残っている。欲しいものは物欲と一緒で沢山あるけれど、絶対!っていうものはまだない。エンチャントの事も考えて今のところは死蔵の方向かなぁ・・・?あ、気配希釈だけは取っておこう。2SPと安かったし基礎のスキルなんだろうなーと思いながら取得。
気配希釈かけながら移動してレベル上げしようと思います。
さて他には何があるかなぁ・・・?
あ、よく見たら称号が増えていた。凄い今更だけど、後ろの方だからあんまりちゃんと毎回見ていないよねぇ。
観測者という称号は多分あれだろう。月神様の所でもらったやつ。
ポップアップを出すとこんな感じ。
観測者・・・見えないはずのものを観たものに送られる称号。目に見えるものだけが真実ではなく、世界の真実を観測する力になる。
ヤバいなコレも。何がヤバいのかが分からないところがヤバい。
つまり・・・?ん~???月神様みたいなものを見つけやすくなる?って事かな・・・?
多分・・・?
トラブルの匂いも感じるので、見なかったことにしておこう。どうしようもないし。
どうせ、見てしまって気になれば、自分は見に行くに決まっているのだ。
称号といい、ユニークスキルといい、自分をトラブル沼に引きずり込もうとしている気がしてならない。
おのれ。
次。
『ユトゥスシーレイの守護』はちゃんと見てなかったけど、信者の人の好感度がプラスされるのと、アポリア王国に入国しやすくなるらしい。つまり、ピカ神様が保証人になった、みたいな事だよね?外国人であろう自分にとっては、大変ありがたい事です。シュライブングの剣も砥ぎに出しに時々来るだろうしね。
そして、いつの間にか増えていた『スキルを作りしもの』。これは新しいスキルを作った人に贈られる記念称号らしい。自分の場合は『影踏』。あ、これ自分が作ったんですか。プレイヤーが欲しいって思って行動したことに対して、スキルが無い場合だと作成されるみたいですね。これは凄いね!ちょっと増やしていきたくなっちゃうよね。きっとこれを趣味にするプレイヤーもいるんだろうなぁ。
でも逆に言えば、現出しないスキルに対しては、取得条件を満たしていないとかそういう判断には利用できる。考えようによっては使い道がありそうなシステムですね。
そういえば、『月神セレネーツァの加護』も見ていなかった。
加護って別枠でついてるからには、守護より強いんだと思うんだけど、称号と違うのかな?
月神セレネーツァの加護・・・今は亡きセレネーツァが与えた最後の加護。世界を廻る月の力が集まりやすくなる。月光操作+3 月光属性回復+2
・・・。これは、よく分からないけれど多分凄い加護なんだと思います?そもそも光属性じゃなくて月光属性って何だろ?って感じなんだけど。
それよりも、そんなことよりも。
―――『今は亡きセレネーツァが与えた最後の加護』
・・・やっぱり、もう亡くなっちゃったのかな、月神様。
会ったのはほんの少しの時間なのに、あの抱きしめてくれた温かい感触が、もう無いなんて嘘みたいで。
神様とか、世界とか、魂とか、難しい事はよく分からないけれど。
加護をくれるくらいなら、もう一度会いたかったな。
って、思ってしまって少し涙が出そうになった。
『新しく生まれ変わった我が汝と邂逅するだろう。 』
新しい月神様がどんな人になるか知らないけれど。楽しみの様な、不安の様な。そんな心持。
ユイベルト様みたいに破天荒だったらどうしよう、と考えたら少し可笑しかった。
ここに居ないのに笑わせてくれる王様ってやっぱり凄いなって思う。
気を取り直して、アイテム。
見ていくと、トンガルーの革×5枚、レムレースの甲冑の欠片×3個・・・あの甲冑レムレースっていうのか。あと、コンヴァラリア・トゥ・マイウの腕輪・・・。おー。紅甲冑は多分ボス扱いだからレアドロップ枠で防具落としかー!
使えるアイテムだといいんだけど!と思ってみてみる。
【コンヴァラリア・トゥ・マイウの腕輪 防護+1 力+3 精神+3(One)(inalienable) 】
やたら長い名前だけれど、実物を見てみたら分かった。日本名スズランの腕輪って事だと思う。黒光りする腕輪に繊細な意匠でスズランが描かれている。だが、金属が金属だけにスズランが目立たず、男でも使いやすい感じなのが有難い。早速アクセサリー枠で装備しておく。力が上がるのは紅甲冑の様子だと分かるが、精神も上がるんだね?でも、MIDはおそらく魔法の抵抗とかにも関係あるだろうし、スズメの涙なんだろうけど無いよりはあった方がいいと思うからありがたい。ええ・・・ホント雀の涙ですが・・・。
レア装備なのか、一個しか持てないのと譲渡不可がついているみたい。
などと見ていたら、1時間近く経っていた。
ステータスを見てみると残るはSTRにつく-1のみ。
これが消えたら動けるようになるのかなー?と思ってワクワクする。
スッとマイナスが消えた瞬間に、体がとても軽くなった。
爽 快 感 !
ああ!自由って素晴らしい!
ただ、PNT的縛りがなくなっただけで、結局チャージとしては0で技が使えないのには変わりない。
実際、影変化を使おうとすると物凄く怠くなる。
今日はおとなしく日光浴しつつ普通のスキルを上げるか、買い物だな?
そう思ってベットから立ち上がり、ベッドを整え、部屋のドアを開けると、そこへ丁度久方ぶりの左目の疼きが襲ってくる。世界がぐにゃりと歪む感覚がし、思わず目を押さえ膝をついてしまう。
・・・・こいつの存在を忘れていたぁあああ!!!
そこへ丁度通りかかった若い宿屋の娘さんが慌てて近寄ってくる。
「お客さん!大丈夫ですか!!?具合が悪いって聞いてたけれどまだ調子が悪いんじゃ・・・」
さっきとは全く別種の動悸、息切れ、目まい。
あと、ものすごーーーーーーーーく恥ずかしい。
クソっ!ホント誰だこんなシステム考えた奴!
そして何で都合よく、他人がいるときに限ってスキルが発動するんだ!
「だ、大丈夫です。具合の悪さとは別件で、こちらは不治の病ですので・・・。」
「お客さん・・・。」
何か勘違いをさせてしまったのであろう、お嬢さんはうるうるとこちらを泣きそうな目で見てくれているが、違うから!多分想像している物とは全然違うから!なんか!本当に!ごめんなさい!!!
「あ、いえ。ただの軽い発作です。すぐに収まります。心配させてしまって申し訳ありません。」
「そうですか・・・?あまり無理なさらないでくださいね?」
娘さんの優しさがホント恥ずかしい・・・。こんな病でホントゴメンって感じで。
かといって「ただの厨二病です」とも言い出せず、無難にめまいが収まったところで、礼を言い、その場を去る事にする。娘さんは「お客さん出かけるなら今のうちに掃除しておきますね!早く休んでくださいね!」と言ってくれた。本当にいい子である。
とりあえず、宿屋を出て日向を中心に歩き回ることにする。
まずはギルドで売るかなぁ・・・・と思ってると、宿屋を出てすぐ”ぴろーん”と気の抜けた音でメールが届く。
あて先はアクティスから。
「サク!!!!使わないならレムレースの甲冑の欠片売って!!!!」との事。
売ろうとした際からどんな超能力やねん。と思ったが、一応返信。
「今売ろうとしたけど、使うなら3つあるぞ。」と返信すると「今すぐ取りに行く!!!」とのこと。自分部屋にいないんだけど、どこにいるか分かるのかなぁ?と思ったら宿屋から「キャー!」って娘さんの声が聞こえる。ああ、間違って部屋に突撃しましたね?娘さん可哀想に・・・。
暫くすると、宿屋の玄関のドアがバーンと開かれて、中から宿のおばさんが怒ってる声が聞こえるが、謝りながらアクティスが飛び出して、宿の左側にいた自分に気づかずに右手に走っていった。
うーん。目の前にいるのに粗忽者。
アクティスが開け放ったドアを閉めていると、再びメールが着信。
「サクさんどこぉおおお!?」
「いま、お前が開けっ放しにしたドアを閉めていたところ。」
「ふえぇえええ!???」
ボンヤリ待ってると、すぐアクティスが戻ってくる。
「サクさん酷い!」
「何でだ!」
アクティスの粗相まで面倒みきれませんから!
で、レムレースの甲冑の欠片。
アクティスは欲しいらしいのに、中途半端に気を使ってるのか頻繁に本当にいいの~?と聞きながらも取引成立。といっても、アクティスだから言い値でいいやと思っていたので成立もなにもない。今現在この欠片はモノがないので大変高いらしく、だがしかし鍛冶師に持っていくと質の良い剣が打ってもらえるとの事。
「自分は剣は買い替える予定がないから好きに使え。」と言ったら喜んで買い取ってった。
値段は安めでいいよって言ったんだけど、1個30,000程。たけぇ。
実際は28000~56000くらいで売ってるので、これでもかなり安いらしい。
「ありがとう!これで剣を新調してくる!」
と叫んでまた恐ろしい速さで走っていなくなった。
町中走ったら怒られないですかねぇ・・・?まぁいっか。
固定の話も聞きたかったけど今度聴こう。
そう言えば、霧向こうの民はお店がまだ持てないので、街の外でバザーをしているらしい。
アポリアだとあまりいないらしいけど、開拓地の方のアポロディアだと、それはもう沢山いるらしい。あまりにカオスだからそのうち規制されるかもねってこの前笑いながらりょっぴさんが言ってた。規制される前に一度行ってみたい気持ちはあるなぁ。ただ、カオスだとユトゥスシーレイ様がめっちゃ怒りそうだけどねぇ。
とりあえず、ブラブラとギルドまでなるべく日向を歩き、トンガルーの皮を売れないか打診する。買い取ってくれるとの事なので、出すとこのトンガルーは精霊憑きだから階位が一つ上がって買取金額が高くなるとの事。有難い事です。ただ、元々トンガルー自体がそんな強くないので、1枚3000F。5枚で15000Fだって。それで買い取ってもらった。
フラウが10万超えてきたので、借金を忘れないうちに返しておこうと思いたつ。
本日の金貨の時価は35,550Fだったので、金貨2枚と端数が気になるので銀貨6枚分の送金をお願いする。しめて92,430Fかかった。残り借金が金貨9枚分。ウーン堅実設計。しかし、残金は2万フラウちょい。うーんお金ないようぅ。
ホント、シュライブングの剣が無かったらと思うと怖いよね。
・・・。月光属性。
鍛冶屋のあのお爺さんならわかるだろうか?
どうせ店の場所を見に行こうと思っていたし、散歩ついでにぶらぶらと歩いていくことにする。
服屋の娘さんに聞いていた場所を必死で思い出し、服屋辺りからフラフラと路地を曲がってお店へ。基本的にアポリア王国で火使う店は川沿いの出店を義務付けられているらしい。よって一つ路地に入ると鍛冶屋が固まってあり、カーンカーンといろんなところからいい音が聞こえたり、罵声が飛んだりしている。
これはこれで面白い。
大通り近くに会ったお店のほぼ真裏の路地は人気が少ないが、活気がある。通りには人が居なくても店の中で忙しく働く音や、人々のざわめきや加工の音が聞こえるからだ。
この通りの鍛冶のお店は販売はしていないみたいなんだけど、店先にサンプルがみたいなのが並んでいるので、鍛冶でも何屋か大体わかる塩梅だ。鍋ばっかりのところは鋳物屋だろう。建築用と思われるねじとかビスばっかり置いてある店とか、刀ばかりある店とか、鍬ばかりの店とか金床専門店とか色々。
場合によっては溶接専門のお店かな?っていうところもある。切断している奴とくっついている奴の綺麗なビフォーアフターが展示してあるからだ。中にはどどーんと炉専門っぽいお店もある。面白い。
表の娘さんに聞いていたお店は行ってみたら分かりやすい場所だった。回り道になったけど、川沿いで一番奥になる。剣や斧が多く置いてあり、武器を扱うお店だという事が一目で分かる。お爺さんは腕がいいという事だったので何人かお弟子さんがいるのか?っと思ってたけど、従業員っぽい人はたったの2人だけ。それも若い人じゃなくて結構中堅と言った感じの人だ。
特に商売的用もなかったので、ちらっと店の様子だけ見て、忙しそうなら帰ろうと思っていたのだけれども、先に店員さんに見つかってしまう。30代くらいの眼鏡をかけた真面目そうな男性だ。
「おや・・・。師匠のお客様ですね?本日はどういった御用件ですか?」
と言われて困惑してしまう。多分影族ってだけでバレてしまった。
こうなったら、正直に言うしかないなぁ。
「いや、すみません。「今度は正面から来い」と言われたので、散歩ついでに正面を探してここまでたどり着いてしまっただけなんです。・・・あと、剣の事で思い出してしまったので何となく足が向いてしまったと言いますか・・・。」
お仕事の邪魔してしまったかな。申し訳ない事です。
恐縮していると、そんな自分の様子に眼鏡の男性はちょっと驚いた表情を浮かべ、次に少し微笑んだ。
「いえ、そういった方は珍しいので少し驚きました。・・・少々お待ちください。」
何がどうなってそうなっているのかよくわらかないけれども、そう言って眼鏡の男性は奥に引っ込む。
黙って帰るわけにもいかないので、川の流れでもボーとみている。
右から左に流れているから・・・東から流れてきてるのか。
川は街中を流れているにしては割と綺麗で、ピカ神さまの目が行き届いてるのかなって感じがする。
中世ヨーロッパの街中の川はトイレとかそのまま流して汚かったっていうしね。悪臭とか全然しない、清潔な川だ。流石に清流って感じではないのだけれども。
いたるところでカーンカーンと槌をふるう音が聞こえる。
そういえば、この街ではまだ鐘の音を聞かないなって思う。
槌が鐘代わりなのかと思ったり思わなかったり・・・。
「待たせたな。」
鐘の音で妄想をしていると、いつのまにかお爺さんが来ていた。
いつも通りの厳つい感じで、職人!って雰囲気が安心してしまう。
「いえ・・・。お仕事のお邪魔をしてしまったでしょうか?申し訳ありません。」
頭を下げてお詫びをしておく。
「いや、構わない。」
と、一言お爺さんが言う。
自分が見てた方に気づいて、「川を見ていたのか。」と尋ねられたので頷く。
「ええまぁ。・・・この街では鐘の音を聞かないなと思いまして。」
自分のその言葉に、ああ、とお爺さんが頷く。
「この街は鐘の音が禁止されているからな。」
と言う。何でもアポリア王国で昔酷い火事があって、それ以来鐘を突くのは凶事の時と慰霊の時、そして神事と年が変わる時、という定めが出たのだそうだ。
「年が変わるとき・・・一度聞いてみたいものですね。」
自分の誕生日が、1月のはじめの方だから、結構感慨深いものがあるかもしれない。機会があったら聞いてみようと心にメモをする。
「剣の事を考えていたら、ここに足が向いたと聞いたが。」
真っすぐに問いかけてくるお爺さん。確かにそうなんだよね。暇だったら月光属性の話聞けたらいいなぁと思ってたらたどり着いてしまった。
「いえ・・・いや、はい。そうですね。お邪魔しては悪いとは思ったのですが・・・。月神セレネーツァ様の加護を見ていたら、月光属性と書いてありまして、何かご存じだったら教えて頂けたらなと思っていました。」
月光属性。
ベータの中でも、そしてサービス開始してから大して情報を集めていない自分が言うのもなんだけど、まだ聞いたことない属性だ。
ベータの中で出てきたのが、火、水、風、土、闇、光と定番どころ。他にも雷の精霊がいたりするので隠し属性はいるだろうと言われていた。火山の精霊も見た人がいるので上位属性もあるかもしれないとの事。
だけど、『月光』はちょっとそれら趣が異なる。司っているのは神様だし、ましてや月神様は亡くなってる事になってる。ファルディア内でも微妙な難しい感じがする。できれば憶測じゃなく、正確な知識を知りたいのだけれども。何処に行ったらそういう事が知れるのかも分からない。
その属性を知ってそうだったのが、砥ぎに出したこの御仁。
月神様の力を感じる、って言ってたから何かわかるかもしれない。
ふぅ・・・とお爺さんがため息をつく。
「俺も詳しい事は知らん。」
と、お爺さんが言う。
「そうですか。」
やはり難しい話なのだなぁ。有名な刀工の人でも知らないとは。
「お前、クレンセーテという町は知っているか?」
「いえ、・・・存じ上げません。」
聞いたことないよね・・・?うん、無いな多分。
「3年前、月神様が隠れる前まで北西に在った町だ。美しい町で、水路が発達している街だったそうだ。”アイツ”はそこの生まれで、代々兵士をしていた家系らしい。」
シュライブングの剣を持っていた50年前の持ち主さんの話か。
「クレンセーテという町が崩壊する事は事前に分かっていたので、月神様が眠られる前に大陸中様々な場所にクレンセーテの住人が移り住んだ。この街にも何人かいる。・・・が」
なるほど。ヒントは世界中に散らばっている、どこにあるか分からないという状況なのかな?
「この街に住んでいる元クレンセーテの住人には大体話を聞いたが、武術に携わっている奴は少なかった。”アイツ”と同じ技を使うやつもだ。」
キラキラと水面が反射をし、話とは関係なく路地を照らしている。
重たい話になるのだろうが・・・何となく重くなりすぎないというか。3年も前の話だからだろうか?
「俺が教えられることは少ない。俺が感じるのはただ、力の流れだけだ。・・・お前がこれからも、その剣を使い続けたいというなら、それ相応の技術がいるだろう。ならば同じ技をもった元クレンセーテの住人を探した方がいい。」
それは、・・・きっと技系クエストとかそういうことかなぁ。双剣使っている人って、他に未だに見ないし、そういう事なのかもしれない。
「分からないけど・・・分かりました。クレンセーテの方を探してみて教えを請うてみます。」
とんだ難易度のクエストかもしれないが、それはそれで目的があった方が楽しい。
それまで別の技術を学んでも、双剣に落とし込んでいけばいいだけだしね?
自分でオリジナルの技術を確立?ワクワクするかもしれない。まぁできるか分からないんだけどね?
でも、スキルも自作できちゃうくらいなので、世界に認められればできるかもしれない。
ちょっとワクワクしてしまったのがバレてしまったんだろう。お爺さんがこちらをみて少し笑っている。
「お前は変わったやつだな・・・。悲壮になるかと思えば喜びやがって。」
「何となく、これから世界中を旅したり、見つからなかったらそれはそれで自分で独自の技術開発してみようかと思ったら楽しくなりました。」
「とんだ変り者だな。」
バッサリ斬られた。酷いなぁ・・・。
「あと一つ。俺が知っていることと言えば、月光属性は上位属性、という事だ。」
「上位属性。」
まだ聞いたことが無いけれども何となく予想はつく。よくある複合属性とかそう言った感じだろう。
よくある上位職で解放される、ゲームでよくあるそんな感じのやつ!
「サクよ、そもそも神は2つの属性に分かれているというのは知っているか?」
「えっ!?」
そんな壮大な話からなの?
ていうか神様にもそんな属性あるの?
「天から体を分け与えられた神々は、陽の属性と陰の属性に分かれているという。すなわち、陽光と月光になる。ここ、アポリアの神であるユトゥスシーレイ様は陽光から分けられた陽の神。一方、月天セレネーツァ様は陰の属性であるが、月の名を冠しているだけあって誰よりも強い力を持った神だったという。」
えっ?まって?
そうなると月光属性って世界の神様の半分くらいの属性って事?
「月光が全部司っているわけではなかろうが、上位だけあってかなり強い属性だろう。特に陰の属性のものとは相性がいいだろうな。」
と、お爺さんは仰る。
「実際どういう挙動をし、どういう使い方をするのかは殆ど俺もわからん。が、”アイツ”はそれなりに使いこなしておったが、夭逝した。所詮、力はただの力。そして個は数には勝てん。俺に言えることは唯一つ。」
お爺さんはこちらを向いて真剣な目をして言ってくれる。
「驕らず、精進せよ。」
澄んだ瞳だった。ここの川と同じ、清濁併せ呑んだ、それでも人を支えていく川の様な。
自分にはない年季と重み。
これで、NPCっていうんだからなぁ・・・。どうなってるんだろう?
「・・・不肖ながら、精一杯、精進してまいります。」
ペコリ、と一礼をする。
正直何がどうしたらいいのかとか、全然分からないけれど、まあ自分なりに頑張ってレベル上げとかすればいいかなって感じで。
あと、剣を大切にしていきたいよね。
データーだったとしても、これだけ大切にされてきた剣なので。
そんな自分の様子をみて、また一つ、お爺さんがフッっと笑う。
「やはり変わり者だな。」
「そんなことは・・・多分ないですよ?」
普通の返事をしましたよ、ねぇ?
「気負ったり、驕ったり、煩い奴は沢山いるが、ここまでの話をしたのに、お前みたいな自然体の奴も珍しい。」
「やる事は何も変わらないですしねぇ?それに驕るなと仰ったじゃないですか。」
使いこなせるか、使えるかも分からない力を今から驕るなど、それこそ取らぬ狸の皮算用って奴だろう。どうせ驕るなら、レベルをカンストして、レア武器を最高値に強化してエンドコンテンツに行って最速クリアしてから・・・くらいじゃないとする気にならないな?
そういえば、このゲームカンストっていくつなんだ?
などと余計な事を考えていたら、またお爺さんに笑われた。
むぅ。
「なんにしても、お仕事中に押しかけてしまって申し訳ありませんでした。剣の話と、月光の話はありがとうございました。自分でも調べてみます。」
もう一礼しておく。
・・・あ、そういえば、剣で紅甲冑を影纏させてぶった切ったけど大丈夫かなぁあれ・・・。
お爺さんに怒られるかな・・・?
などと悶々としてると、お爺さんはこちらをじっと見て口を開く。
「・・・仕事の用もないのに工場に俺を訪ねてきた奴は、家族以外では50年ぶりだ。」
そう言ってお爺さんは、初めて屈託なく大きく笑い、鍛冶場に戻っていった。
ファルディアでの売買
冒険者ギルドでの売買は冒険者会員限定。
買い取りは安めで、消耗品の販売もお安めだが時価なので、値段付けには上限下限がない。
急いでる時の売買にはお勧め。
時間があるなら、プレイヤーとの直接取引の方が買い取りは高くなる可能性大。
レアアイテムはこちらで販売する人が多い。
ただ、トラブルの可能性も大きくなる。
店頭だと店にもよるが、固定価格が多い。商業ギルドの管轄。
値段や品質に詳しければ得をし、安く買いたたかれることもしばしば。上級者向け。




