表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
7月 ~ファルディアと日常~
50/444

2-49 日光浴

 多分鍛錬をしていた時間は30分を過ぎてしまったと思うけれど、居間に入ると丁度おばさんが帰る所だった。


「またくるわ~。」と言って去っていくおばさんをお見送りする。

 居間に戻り、ばーちゃんになんか手伝うか聞くと、おばさんがあらかたやってくれたので要らないとのこと。夕飯もあと作るのはお味噌汁だけだが、しばらくかかるんだって。風呂掃除して風呂にはいっていい、と言ってくれたので有難くそうする。ばーちゃんは鍋に火をかけて出汁を取りながらテレビを見て笑っている。自分も運動した後はやはりシャワーを浴びたい。


 ばぁちゃんは、内田は恐らくいつものノリで18時過ぎに来るんだと思って準備をしていたんだと思う。

 自分もそう思っていたが、意外なことに17時半過ぎにはもう家にきた。



「早かったな。」と言って迎えに出ると、「丁度キリがよかったしね。」と苦笑された。



 聞けば、あのボス的な紅甲冑がやはりボスだった様で、他には精霊憑きが何匹かいる以外は砦にはいなかったとの事。簡単に見回った後、掃除をして終了したらしい。大分レベルアップ貯金が減ったとの事なので夜からは鍛錬と報酬の分配なんだって。


 フーンと思いながら夕飯。


「ばーちゃんサイコ~~~!」

 叫びながら内田が唐揚げをむさぼり食っている。

 見ているだけで胸やけがしてきた自分は、ほうれん草のお浸しと、漬物に逃げがちだ。

 夏は特に食欲がなくなりがちである。


 見ているだけでお腹いっぱいになってきたが、唐揚げを一個と、ナスの天ぷらとカボチャの天ぷらだけはいただく。ばーちゃんも自分と似たり寄ったりだ。

 揚げ物は主に内田に任せようって思う。


「今日は二人であそんだけ?楽しかったか?」

 と、ばーちゃん。

 まさかばーちゃんも、死線をくぐってきたとは思わないだろうが、さて何ていうべきかな?


「すっげーーーーーーーー楽しかった!カヅキやっぱ上手いよ?凄く変だけど!」

「誰が変だ。失礼な。」


 そんな様子にばーちゃんが笑ってる。


「何やってるか知んねーけど、趣味は楽しいのが一番だな!」

 と、朗らかに言うばーちゃん。


「ばーちゃんの趣味ってなぁに!?」

 と、内田が聞く。そんなの決まってるじゃないか・・・。


「今はダイスケの餌付けだな!よっく食ってくれるかんら!」

 と言って爆笑している。


「えぇええ・・・・」

 と言いながら内田はかき揚げを口に押し込んでる。飯のペースは全く落ちない。顔だけは複雑そうな顔だけれども。


 ばーちゃんの趣味の一つは多分料理だと思うんだけど、やっぱり美味しい美味しいって食べてくれると嬉しいって言ってたので、内田の餌付け発言はあながち嘘じゃないと思う。


 そんなこんなで、にぎやかな食卓。

 内田のおかげで揚げ物の在庫があらかた減ったけれど、まだ残ってるので残りは内田ん家に納めようっていう事になった。

 そして突然の玄関のピンポンから、ドドドドドと音がする。


「あんたー!!!今日くらいはお母さんが帰ってくるから、おばあちゃんち行くのやめなさい!って言ったでしょー!」


 と、どなりながら里美おばさんが乱入してきたり、内田が逃げ出したり。


「まぁまぁ。」

 とばーちゃんが笑いながら里美おばさんを止めたり。


「昨日の夕飯が余ってて残り物で悪いんですが、内田君の方がよく食べるのでお願いしたんです」って言えば、おばさんはあらあらまぁまぁとコロリと機嫌を直したり。内田がむくれたり。・・・何でそこでむくれるんだ?


 結局、里美おばさんには悪かったけれど、賑やかな夕食は終わった。

 内田たちを見送り、お風呂にはもう入ってたので、後は勉強するだけ。


「今日はばぁちゃんの好きなイケメンが出る!」

 と、ばーちゃんはテレビの前待機している。

 22時からだそうで、まだまだ時間があるのに起きて居られるのかなぁと思いながら、一応録画機能をオンにしておいてあげている。ばーちゃんもそれは知っているのだが、やはり”ライブ感がいい”との事。

 撮影したものを流してるからLiveではないと思うのだけれども、人に会ったらすぐに話せるし、婉曲的意味合いで言えばそうなんだろう・・・。


 ちなみに、そのイケメン。爺ちゃんとは全く正反対のタイプである。闇が深いと思うのは自分だけだろうか。まぁいいや。



「今日は勉強してないから、寝るまで上で勉強してます。おやすみなさい。」

 と、ばーちゃんに挨拶をして2階に上がる。


 後は勉強するだけなんだけど、明日ファルディアはどうしようかな。


 ええと正確には計算してないけれど、明日の朝9時くらいだと丁度ファルディアだと遅めの10時とかそれくらいかな・・・?少しずつずれてるのが計算面倒なんだよねぇ。丁度2倍なら楽なんだけど。今度視覚的にグラフにしておこう。

 明日の朝は勉強しようかと思ったんだけど、日光浴をしなければならないので、早く上がるなら9時にログインして夕方を削ったほうがいいかな。日光出てないし。


 そうしよう明日の予定をきめる。


 そうとなれば、今日のノルマを広げる。

 化学、物理、地理。・・・何でこう、パラ~とかジクロロとか名前が覚えるの大変なんだろうね?って思いながら手で書いて覚える作業。


 正直、大学は行くか行かないか決めていないし、(ばーちゃんは行けと言ってくれる)かといって、やりたい事も未だに無い。

 やりたいことが無ければ勉強して上の大学に行った方が、いざ、やりたいことができた時に生きやすいんだって。

 そうは言われても、全然ヴィジョンとか湧かないけれども、うちはもう家族がばーちゃんしかいないから。


 ばーちゃんも歳が歳だから、突然”何か”あるかもしれない。

 もし何かあった時に、自分がいい所で働けてたら、ばーちゃんを支えられるかもしれない。恩返しができるかもしれない。


 だから、どんな道に進んでもいいように、塾が遠すぎて自分には通えないから、今のうちに勉強しておくしかないんだよね。

 まぁ、自分の性にも合ってるしね。


 毎日コツコツは続けようと思います。


 カリカリとシャープペンの音がすることに、半ば安堵感を覚えながらも。



 この怠惰でつまらなく平凡で、そして、とてもとても愛おしい幸せな日常は、

 きっと、いつまでも続かないという事は自分が一番よく分かっているのだと思う。








 そして3時間勉強して寝た翌朝。

 起床は予定通り5時半に目覚ましで目が覚める。正直、ねんむい。


 睡眠時間が6時間半くらいあるんだけど、眠い。

 もう一時間くらい睡眠時間を増やすかなぁと思いながら、ばーちゃんに挨拶をして朝のランニング。

 そして、朝掃除、朝の水やり。

 今日は珍しく少し天気が悪い。雨は降っていないけれども、降ってもおかしくはなさそうな塩梅だ。


 もしかしたら、畑に水やらなくてよかったかも?

 シャワーを浴びて出てきた今日の朝ごはんがイワシのつみれ汁。ごぼうとニンジンとショウガが入っていて美味しい・・・。最近胃が疲れていたので、大変染み渡りました。

 白米と、モロッコインゲンの和え物と、おしんこを少し食べてご馳走様。


 その後は掃除したり、仏壇のお茶を代えたりしたが、ばーちゃんはどうやら昨日は寝落ちしてしまったらしい。これからイケメン君を見るとの事。凄いバイタリティだ!


 録画したものを見れる状態にしてあげて、食器を洗い上に戻る。


 時間は8時半くらい。

 少し早いけれど・・・ログインしようかな。

 午前3時間半と午後3時間・・・位でいいかなぁ?


 ログインしてから考えよう。

 そう決める。



 ―――――――――――――



 ログインした途端、襲い掛かる倦怠感of倦怠感。


 覚悟はしていたけれども、間を置いてしまった今では「あれ?こんなにキツかったっけ?」みたいな感じになってる。


 ただ計算した通り、さんさんと日が降り注いでいる日中なのだけが救いだ。


 うつ伏せになって倒れたままログアウトしたので、せめて上を向いてからログアウトすればよかったと思いつつも、指先ひとつも動かせはしない。



 ぐぎぎぎぎ。



 ・・・この後、諦めて1時間ほど転がっていたが、まだ回復しない。

 自分は一体どれだけ揮発性ONTを使ったのか。

 ステータスのONTを使えば即座に回復しそうな気もするけれど、多分一生元に戻らないので、動けるようになるまでは我慢する!


 こういうところも、多分、繋がってないから回復が遅いのかなぁ?

 もしかしたらだけれども・・・


 などと考えて居たら「おい!大丈夫か?」と、衛兵さんらしき人が助け起こしてくれる。

 これは、あれだ。隣の掘立小屋詰めの衛兵さんだろう。


「アリガト・・・ゴザイ・・・」

 少しだけ声がでた。

「どうしたんだ!?誰にやられたんだ?」

 なんか盛大な勘違いをしてくれてるみたいだったが、ただのガス欠なのでここに暫く干していて欲しいとお願いするのに、声がほとんど出ないので、とても時間がかかった。

 部屋の中にいれて貰っちゃうとね、死んじゃうかもしれないから。

 ここがいいのです!


「こんなところで寝ていたいなんて、影族は変わってるなぁ。」


 一応そう納得してくれた衛兵さんは、また来ると言ってお仕事に向かわれました。

 巡回とか、ゴースト退治した砦のお掃除とか薪の準備とかだそうです。


 あ、ちなみに自分では寝返りもまだ打てないので、衛兵さんに助け起こしてもらう際に表にひっくり返してもらえました。

 ありがとうございます。


 そこからしばしの日光浴。


 日光浴。



 日光浴。



 日光浴。



 ・・・。



 全然治りませんね?


 お日様は南天に近いところまで達しているので、かれこれログインして体感で2時間近く経っていますがいまだに治る気配がまるで0デス。


 でも、あっ・・・少し良くはなってるかな?


 少なくともステータスは見ようかな?って気持ちになるくらいには微妙に回復しています。


 あまりに退屈だから何かしたい!って気持ちと、怠くて仕様が無いから寝て居たいって気持ちがあるんだけれど・・・


 軽く視線を動かし、文字さんにお願いしてステータス画面を呼び出す。


【ステータス】

 キャラクターネーム:Saku

 種族:影族

 性別:不明

 身長170cm

 職業:戦士 Lv22


(能力値)

 HP  76/MP  36

 STR 61(-55)

 VIT 19(-15)

 DEX 19(-15)

 AGI 51(-50)

 INT 12(-6)

 MID 13(-10)

 ONT 32

 LUK 10


 ・・・・・・わぁあい?

 この数値なんだろう?わぁい・・・。


 えーと頭がまわらないけど、ひゃく・・・ごじゅうくらい?ステータスにマイナスがついてますね?

 通常のデスペナルティーがステータス半分とからしいので、物凄く割っているのがわかる。


 え?なにこれ?

 リアルで死にかけの人?


 とは思いつつも、ONTが減ってないのも変ですね?

 明らかに揮発性ONT不足ではあるんですが・・・やはり使ったのは隠しパラメータなんですね。


 そりゃこんなにマイナス補正かかっていれば動けないですわ。

 デスペナルティーでもゲームタイム2時間ほどで解除されるそうなので、影族のONT不足がいかにヤバいかがよく分かる。


 ・・・いやまてよ、これは自分が繋がってないからなのかな?

 繋がってたらこんなマイナスは食らってないかもしれないし、食らっても回復が早いのかもしれない。

 ”繋がり”がONT回復系スキルかもって考えるとものすごく複雑な気持ちになる。

 しかし、比較対象が今の所いないから、分からないのもまたアレ。


 実際・・・2時間の日干しでどれだけ回復しているのかな?

 少しはメンタルが回復しているし、INTが-6くらいですんでるので、この辺が多少回復したのだろうか?


 今の時間をチラリと見る。

 ファルディア時間で12時07分が表示されている。


 ステータス何て細かい数値を覚えているのも物凄く怠いが、13時07分まで大人しく日干しをされて、見た結果がこちら。


【ステータス】

 キャラクターネーム:Saku

 種族:影族

 性別:不明

 身長170cm

 職業:戦士 Lv22


(能力値)

 HP  76/MP  36

 STR 61(-53)

 VIT 19(-13)

 DEX 19(-13)

 AGI 51(-48)

 INT 12(-4)

 MID 13(-8)

 ONT 32

 LUK 10


 んんん・・・?

 大体2ずつ減ってるような?

 となると大体1時間で12ポイントの復帰?ということは5分で1ポイントの回復?


 ・・・おそっ!


 あと140ポイント近くって、12時間以上日干しにならなくてはいけないのでは!?

 うそー!?


 ・・・まぁ、と考えられる程度には復帰してきた。

 ありがたい事である。

 全回復しなくても、ある程度で動けるようになるのかもしれない。

 凄ー―――――く怠くて暇であるが、暇って感じられるくらいには元気になってきたと思う。

 病気で例えるなら、高熱で寝込んでいたのが、熱が下がってきて怠くて暇だーって叫んでる治りかけの人みたいな感じ?


 でも、なんとな~く思いついたんだけど、これだけステータスにマイナスをくらうって事は、純粋に揮発性ONTってステータスの総計なのかなぁ?『存在力』って名前は伊達じゃないのかな。


 ・・・いや、それだとおかしいな?


 緩やかに揮発性ONTが(ゼロ)になったMJKBY氏は倒れて動けなくなる程度な筈である。

 喋るくらいは普通にしていたし・・・。

 ん~?

 マイナスからもさらにランク付けがある?


 そうなるとどちらかと言えば、ステータス値の2倍揮発性ONTのプールがあって、ステータスを完全に満たすONTがあれば丁度(ゼロ)、その倍ONTがプールできるって考える方がしっくりくるかなぁ?

 で、揮発性ONTがマイナスに割り込むとステータスがマイナスになっていって、ステータスが完全に0になると死ぬ?って事かな?


 ・・・あれ?

 その考えでいくと、影族はステータス値も光で形成されている?

 影族ってホント植物かエネルギー生命体なのか・・・?


 なんて暇のあまり妄想をしていると、突然声がかかる。


「あっれ~?サクサク、こんなところで何しているの?」


 目線だけ動かすと、紫のツインテールの少女が見える。

 額には汗を流し、昨日とは違って軽装の薄手の服である。


「・・・コンニチハ。」

 我らが魔法少女くるるんさんだった。

 見た様子だと、レベル上げ貯金のための鍛錬の途中・・・といったところか?

 AGIは走り込みって聞いてたから偉いなって思う。

 そして、声がさっきよりもまともに出せるかも!

 怠すぎて全然喋りたい気持ちはないんですがね!


 ・・・シャベリタクナイワケジャナイヨ、ホントダヨ。

まさか50話まで続くとは思っていなかったのですが、そもそも7月の話すら終わっていないという状況が来るとも思わず、見切り発車でここまで来てしまいました。


ファルディアゆっくり進行ですが、このようなペースで今後も進んでいく予定です。

いつも読んでくださっている方や、ブックマークや評価をつけてくださった方々、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ