2-47 ゴースト狩り 2
多分種族スキルなのだが、技系の所に分類されているのか、他のスキルと位置が違って気づかなかった。
【技系スキル】
影纏…存在力を消費し、武器に影を纏う
うん、まぁそうなんだろうけどね?
まず存在力ってところがアレ。
存在力もたぶん2種類ある。つまりステータス上のONTと、光からチャージする見えないパラメーターだ。ステータス上のONT(存在力)はダイレクトに多分影族の厚み。中身なんだけど、こう人間で言うと血とか肉体に近いのだと思う。
反面もう一つの存在力、隠しパラメータである光からチャージする方の空腹度にも近い挙動をする数値。こちらは強いて言うなら、ステータス上のONTが不動に近いなら、揮発性の高い存在力だ。影族のエネルギー源であり、動くとダイレクトに消費される。
で、どっちを消費するんだコレ?
ステータスの方だったら鬼だけど、多分高揮発性存在力の方だよね。そうすると、今は夜だから、月が上がってくるまで補給なしになる。しかも月齢が高いので多分ログインしている間には月は上がらない。
これはつらい。
魔法で言うならMPではなくHPを消費して打つタイプのゲームみたいなものだろう。数値が見えないから何とも言えないし、実際影纏いがどれくらい存在力を消費するか分からないからなんともいえないけど・・・
「じゃあ悪いがサク君、また釣ってきてくれ。そろそろゴーストが出るかもしれないから慎重に頼む。」
「分かりました。」
時間がないよね?
どうせ専用スキルなら取るだろう、とりあえず取ってしまう。
8SPと破格に高かった。
まぁその場のノリで考えよう。
なんなら1 ONT捨てるしかないな。勉強料だと思って諦めよう。
大分なれた砦前まで来ると、塀の暗い辺りに見慣れない黒い、でかい塊がいる。
影族の影とはまた違った異質ななにか。
あれは、暗い所にいるから見づらいが甲冑か何かか?
僅かに周囲の松明の光源を反射している気がする。
ぞわり。
と、第六感さんが仕事をする。
危機!って感じじゃないけど、ヤバいとか異質とか警鐘を鳴らす感じ。
気配察知上でも存在感が希薄な癖に異質だ。
「多分、アンデットだと思います。釣りますね?」
と、通常会話だと遠いから聞こえなそうなので、PTチャットの方で流す。
使った事ないけど、多分聞こえているよね?
普通にコレも殴ればいいのかな?
と思って射程範囲内に近づくと、向こうに先に気づかれ巨体が走ってくる。
ガシャンガシャンと音を立てながら、速度は遅いが甲冑が全速力で走ってくると迫力がある。
感知範囲が広いが・・・これは何を感知したかな?
生命力的な何か?
なんにしても自分の影変化の射程より、多分向こうの察知の方が高いだろう。
などと思いながら距離を縮めすぎない様に注意しながらPTの所に持っていく。
「でった!」
とアクティスが嬉しそうにしている。
ゴースト好きなの?って思うけど、多分大物が好きなんだろう。でかい敵とか、でかい剣とかアイツ大好きだし。大剣使いだし。
「わ~い本命きた~!」
と嬉しそうに跳ねている、くるるんさん。
ゴーストに喜ぶ魔法少女とは一体・・・。
「思ったよりでかいな。」
甲冑は3M半くらいの巨体である。PTでいちばん大きいベルデさんの倍近くある。
「はぁー。ヒーラー・・・。」
と、ため息をついている、りょっぴさん。確かに聖属性の魔法とか光属性の魔法とか使えそうなヒーラーが、最もゴーストとは相性が抜群に良さそうですものね。あ、自分相性最悪です。
「気合い入れていくぞ!」
と、さ迷う甲冑を剣でぶん殴るベルデさん。いつの間にか水色のオーラを纏っている。あれがエンチャント?
どうしても相対的にベルデさんが小さく見える分、威力が小さく見えてしまうが、十分な打撃があった様でベルデさんの方に敵視が向かう。あれは、バッシュ?ではないのかな。それとも挑発行為なのかな。実際、甲冑はピヨっていない。
「まっかせろ~♪」
と言いながら魔法少女も多分エンチャントと思しき緑のオーラを纏い、さ迷う甲冑に殴りかかる。あれは・・・風かな?
「まっかせろ~♪」
そんなくるるんさんを真似して、気持ち悪い声音でアクティス。
纏うは赤いオーラだ。きっと火だろう。赤の方が分かりやすく剣をメインにオーラが集まっているかんじだ。同じエンチャントでも属性が違う事によって、その効果が違いそうだ。
「あまねく揺蕩う風の精霊たちよ、我らにその力を貸し給え。『加速』」
りょっぴさんが魔法をかけているところを、始めてちゃんと見る。
エルフ・・・だから精霊魔法か。
りょっぴさんの側に、なんか緑のふわふわしたのが浮いている。あれが精霊なのかな?
高位神聖魔法とはまた違った感じがする。
影・・・纏は多分ダメージが与えられるけれども、消耗が物凄く激しそうな予感がする。
主に揮発性ONTの。
あれ一匹倒したら動けなくなる気がしてならない。
ならば纏うだけ纏って、強打はどうだろうか。
主に技を防ぐ方の。
それなら、ダメージがあまり入らない分、こちらの消耗も少なそうな気がするが。
影変化、影硬質化、影纏、影質量増加。
同時に4つ使えるのか?
まぁやってみるか。一瞬だし、メインは影変化。一瞬だけ影硬質化と影纏、影質量増加かな。
と、さ迷う甲冑が持っている大剣を地面に突き刺さすとエフェクトと共に、体からオーラの様なものが噴出。近距離の、すなわちアクティス、くるるんさん、ベルデさんを軽く1M程ノックバックする。スタンも少し入ってるかな?
そのまま、さ迷う甲冑は何か次の技を出すべくチャージしている。
これは、食らったら大ダメージじゃないか?と思い、そのまま左膝の裏を影変化、影硬質化、影纏、影質量増加でかなづちをイメージして力いっぱいぶん殴る。
ぐわ~ん、といい音がする。
音だけは鐘みたいだな。やはり中身は空っぽの様である。
・・・影変化、影硬質化、影纏までは辛うじて乗ったが、影質量増加は零れて発動しなかったのがわかった。スキルのレベルも低いし、しょうがない。
それでも、体のでかい甲冑は大きく左にバランスを崩し、出そうと思っていた技はキャンセルされた模様。
また通常の攻撃に戻った。
「ナイスアシスト~!」とアクティス。
攻めあぐねて観察気味だったから、偶々だけれどもね?
「今の当たったらヤバくない~?」
と、くるるんさん。魔法少女の様だが、どうみても挙動が歴戦の猛者だ。
「今のレベルだと、当たったらHP半分以上割りそうな気はするな。」
と、ベルデさん。
「勘弁してよ~僕の回復力だと、そこから戻すの大変ですよ。」
泣き言を言い出すりょっぴさん。りょっぴさんは、本来ならヒーラーじゃないので、状態異常がついてくると大変なのだろう。薬に頼ったとしても稼ぎ的に割りに合わない。
「よっし、明日解散しよう!」
と、明るくアクティス。固定の話だと思うが、お前軽いな!?
軽口をたたいてる間も、各自全く手は止めていないから流石である。
ガンガンHPを削っていくが、時間がかかる。ゴーストの類はHPが少なそうなイメージだがこの甲冑はタフすぎる!・・・いや甲冑だから当たり前なのか?それともこれって中ボス的な扱いなのか?
自分もちょこちょこと邪魔をしに行っているが、影纏をしていないので大してダメージは入っていない模様。精々オートアタックがキャンセルになる数秒キャンセルになるくらいだ。再びオーラが来てもいけないので、少し距離を取り気味に影変化で遠距離から入れている。あまり邪魔をしても敵視を取ってしまうので本当に様子を見ながらの作業だけれども。
そしてさ迷う甲冑のHPを半分を割る頃、再び甲冑のオーラが発動。
これ、25%ごとに来ているのかな!?
再び、ノックバックされる3人。オーラの範囲は5Mといったところかな。
次にまた大技が来るだろうと思ったが、やはりチャージを始めたので、今度は甲冑の右膝裏を強打する。同じところばかり強打して耐性がついてキャンセルできなかったら嫌だしね?
今回は問題なく、キャンセルはできた。でも心持、甲冑の強打からの復帰が早く、前回よりも少し効きが悪かった気がする。
失敗した気配はしないし、部位に関係なく耐性が付いたかもしれない。
今回は初めから影変化・影硬質化・影纏の3セットだ。影纏なんだけど、強打では少ししか揮発性ONTは消費されてない気がする。
あくまで体感だけれども。
「完封の方がありがたいかな?」
と嬉しそうなりょっぴさん。
自分が技を止める方を優先してると理解してくれた模様。
ヒーラーが居たらまた優先順位が変わるだろうけど、今回のPTバランスだとやはり被ダメを減らして怖い技は止める方がいいみたいだね?
「ですが、効きが初回より悪いです。あと一回は入りそうな気がしますが、もしかしたらその次は効かないかも。」
と、りょっぴさんに伝える。
「うわぁ本当?どうしようかなぁ。」
「次に来るのが残りHP25%時、残りあと1回で確定なら問題ないですがね。」
「最後っ屁を放つ可能性もあるって事だよね。」
よくある挙動ですねぇ。怖い。
「みんなー聞いてた?最後に今の技来ると止められない可能性あるから、技をセーブして使ってね!」
「りょうかい~。」
「わかりみー。」
スタンがとけた瞬間、高火力で燃やし尽くすという作戦か。
それが一番安全だよね。
結局、25%でもう一回波動が来てから、最後には一度も来ないで終了した。
それでも、ベルデさん、アクティス、くるるんさんの消耗が激しい。
HPも、精神的にも。
3人とも、ぜーはー言いながら地面に座り込んでいる。
何でこんなに消耗するのかっていうと、甲冑のHPが桁外れに高いからだ。
いや、防御力が高すぎるのか?
とにかく、トンガルーなどと比べて戦闘時間が5倍くらいあるので、物凄く疲れるのだ。
うーん火力が出せない自分が申し訳ないなぁ。
「なんか、自分だけ楽をしてて申し訳ないです・・・。」
影纏でも殴れそうだけど、そのままぶっ倒れちゃいそうだし。
うーん。
せめて日中か月があれば、もう少し役に立ったんだけど。
「いや、助かったよ。」
と、りょっぴさんが慰めてくれる。
「そうだな・・・。あれを一回でも食らっていたら崩れていた可能性がある。」
「倒せた可能性は高いけど、マラソンして交代交代ゾンビプレイって感じになったよね!もしくはアクティスがずっと技を止める係になる?そうするともっと時間取られたよね!」
と明るく、くるるんさん。普段は優しい魔法少女です。
「ていうか、サクがたとえエンチャント覚えてたとしても、エンチャントかけながらあのバッシュできるの?」
とアクティスに聞かれる。
「うーん?取ったことないからわからないけれど、今でも種族スキル3つ瞬間的に重ねて何とか・・・って感じだから出来ない可能性もあるよね?」
「うっはw!あれバッシュとかの技じゃなくて、スキル重ねがけかw!!!」
バッシュはあったら便利だろうけれど、盾じゃないから出にくいよねぇ。
自分のスキル取得可能リストにはまだ出てない。
それとも未だ派生してない技系スキルに分類されているのだろうか?
「器用ですねぇ・・・ですが、よく考えたら私も精霊召喚を使いながら精霊魔法を使って、さらに魔法を唱えているので3つ使用している事になるのでしょうか?」
と、りょっぴさん。
「くるるんもエンチャントつけながら正拳突きとかやるけど、やっぱエンチャントかかってる時の方が難しいよ?」
くるるんさんもそう仰る。
「あまり欲張らず、ああいう危なそうな敵には専属の止める係が必要そうだな。」
と解析をするベルデさん。今後の攻略でも、って事だろう。
「実質、中ボス並みだったよね~。」
楽しそうなアクティス。何でも楽しめるのがアクティスのいい所でもある。早くもHPは復帰して、飄々としている。まだ盾のベルデさんの方が回復しきっていない。まぁ盾の方がHP多いから当然だけれどもね。
「それで、中の様子はどうでしたか?」と、りょっぴさんに尋ねられる。
「釣った時にはまだ日が落ち切っておらず薄暗かったのですが、さっきの個体は光が届かない塀の陰に潜んでいました。その時には他にはゴーストはいませんでしたが、この戦闘中にほぼ完全に日が落ちたので…もしかしたら…」
増えてるかも、しれませんねー?
「うげぇ~。」
と嫌そうなくるるんさん。まぁね。みんな嫌だろうね。
ちょっと綱渡りの現場だよね。
「十分あり得る話だ、数は多くはないだろうが、あれが最後とは思えない。」
と、まともな事を言うベルデさん。
この人は始終まともで安心する。徹頭徹尾ぜひ最後までまともなキャラでいてもらいたい。・・・本人は苦労するだろうけれど。
「大丈夫そうなら、とりあえず様子を見てきますか?」
「そうだな。」
「予想はあくまで予想ですからねぇ。」
「ばちこーい!」
「こーい!」
ベルデさんのHPもほとんど回復している。
気を取り直して、次の敵を釣るために門前に向かう。
すっかりと日は落ち、周囲に置いたいくつかの松明の明かりで門扉がユラユラと不気味に影を作りながら、オレンジに照らされている。
正直不気味だ。
敵は・・・明るいうちにトンガルーを大分間引いたのでトンガルーは門扉近くにはほとんどいない。
ゴーストは見える範囲と気配察知だと・・・3匹かな?
「とりあえず、甲冑が3匹はいますねー。」
とPTチャットで報告をする。
特に返事はPTチャットで流れてこないが、みんながいる方が騒がしい。
ゲーとか嫌だーとか言ってそうな?
甲冑が2匹きたらかなりきついので、慎重に1匹釣る。・・・というか、向こうの感知の方が広いのでそうっと感知範囲に入る。
すぐさま反応してガショーンガショーンと追いかけてくる甲冑。
特に他に絡んでくるのはなくてホッとする。この釣りの時はいつも気を遣う。
「甲冑1」
とPTチャットで再度報告。
時間がかかるけれども、自分は途中で帰るわけだし、なるべく甲冑からやったほうがいいだろうという選択だ。技を止めるくらいしか役に立ちませんが・・・
で、大体の流れが分かっているからか、2回目は特に慌てることもなく終了。
りょっぴさんも使う魔法のタイミングが分かっているから調整できるし、やはり2回目の方が回りがスムーズで楽だ。
ランダムで見ていない技があるとかでもない限りは行けそうな感じ。
それでも戦闘時間が長かったので休憩が長めになる。
「自分、ログインできるのがファルディア時間であと2時間程度なので、優先的に甲冑連れてきた方がいいですか?」
と一応聞いてみる。
「まだ見ていない他の種類の敵でも湧かない限りはそれで頼む。」と、ベルデさん。
「えーサクサクあとちょっとなの~(・´з`・)」
とくるるんさん。変なあだ名付けましたね?
「その件はちゃんと先に伝えてあるから!」
と慌てて言うアクティス。自信がないのか。
そういえば、アクティスの顔見て思い出したけど。
「そう言えば、ばーちゃんが、昨日の飯が余ってるからアクティス来ないかなーって言ってたぞ。」
「いくわ。」
即答だな。
「順調に餌付けされてるねぇ~」と笑ってるりょっぴさん。
そんな感じで、休憩を大きくはさみながら、甲冑2匹とトンガルーを何匹か倒し、だいぶ建物周りが綺麗になった所で、すでに1時間以上が経過している。
甲冑の戦闘時間と休憩時間が長い!
レベルはあれからもう1つ上がっている。
甲冑で苦労しているからか、ステータスの伸びも自分はまぁまぁ。
アクティス達もステータス貯金が、2,3レベル分はあるとの事だったけれども―――希望ステータスが上がる様に鍛錬する事をステータス貯金と現在は呼ばれているらしい!しかも、レベルが上がって数値が上がった分だけ消費されていく…という概念らしい!―――甲冑がしんどいので、任意の数値かはともかくSTR、VITあたりは貯金がたまるな!と笑いあってた。アクティスやベルデさんにはいいだろう。くるるんさんもSTRは必要みたいだったが、AGIが伸ばせないので「これ終わったら走りこまないと!」って言ってた。
りょっぴさんが一番深刻で、INTあげたいのにMIDばかり上がりそう・・・と言ってた。回復魔法依存値は精霊魔法であってもMIDらしい。MIDも召喚などで必要ステータスと言ってたが、今後INT不足が深刻にならない様に祈っている。
まぁ自分は上げづらかったAGIと次にVIT、DEXが上がってるので、どうせソロに戻ればSTR偏向になるだろうし、ありがたいところ?かなぁ・・・?
結局はバランスと相手の敵との相性になってしまうので、どの辺までSTRがあればいいとかAGIがあった方がいいとか手探りの段階なのだ。
また、技がどの程度DEXが絡んでくるかによって上げなきゃいけない器用度が変わるし悩ましい所である。
まぁ、そんな手探りの状態で色々悩むのが新しいゲームの醍醐味だと自分は思うんだけどね。
攻略法が確立されている物はある意味つまらないというか、楽しみが一つ無くなってる気がする。
そして、スキル取得可能リストが結構増えてるのに気づいた。
ずっと走り回っていたし、普段やらない立ち回りをずっとしてたから補助的なスキルが多くて嬉しい。走法とか、鞭術とか、投擲とか色々。一番欲しいバッシュはまだ出ていない。あれだけバッシュ的な技をしたのに出てないという事は、前提クエストがされていないのだろう。
技系の開放クエストを早急に探さねば。
「では、そろそろ次をやろう。サク君もそろそろ時間が迫っている様だしな。」
とベルデさんが言う。
「あと2,3匹ってとこかなー。」
と、アクティス。トンガルーならそうだね。
「甲冑が2,3匹きたらアクティスが頑張ってくださいね。」
となかなか黒い事を言うりょっぴさん。
「とりあえず、行ってきます~。」
と出陣する。がんばれがんばれ~と陽気に応援してくれるくるるんさん。
いい人だ。・・・・今は。
さて、門扉の前まで来たが、実は殆どの敵を狩りつくしている。
クエスト扱いだからか、リポップなどはいまだに無い。
恐らく増えたのは日没でゴーストがPOPしたものだけだろう。
ゆっくり建物の方に近づく。
建物のドアはあけ放たれており、そこからも先ほど何体かトンガルーが出てきたのを釣っている。
まだいるかな?って思って近づくと
――――ぞわり
馴染みのある、馴染みたくない鳥肌の様な感覚。
これはやばい。こいつはまずい。
ソウイウモノがここにはいる。
だが、気配察知を全開にしていてもどこにいるのかが分からない。
迷わず影移動を使って元来た方向に全力で移動する。
が、特に異変は見当たらない。
しかし、第六感さんはいまだに警鐘を鳴らしている。
”注意せよ””注意せよ”。そう言われている気がする。
出来るだけ距離を取ると、だんだん危機感が薄まっていく気がするので離れてみんなの所に戻る。
「どうした?」
と、ベルデさんが何も釣らないで戻ってきた自分に問いかける。
「分からないです。が、建物に近づいたら異変を察知しました。かなりの格上の敵の気配を感じます。といっても、レベル100上とかではないですが…。」
「ここで、レベル100上を基準に持ってくるなんて、どうかしているよ。」
と苦笑いのりょっぴさん。
すみません、比較対象がなく、つい・・・。
蟻くらいかなぁ・・・?。
「これは胸が躍りますな。」
「やってやろうじゃないの!」
とノーキン組。
「釣れそうか?」
とベルデさん。
この人らは躊躇なくやるのが前提なのですね。
「釣れ・・・はすると思いますが。もしかしたらイベント扱いなのかもしれないです。あと数歩近づいたら捕捉されると思います。その時何が出てくるかはわかりません。もしかしたらボス扱いで同時に何匹か湧くかも。」
いや、捕捉はされているのか?第六感さんがボスの感知能力を上回ったのか?それともイベントで規定の場所に行くと発生するシステムなのか?微妙に不明。
自分に分かる事はあと2,3歩いけばヤバいって事だけ。
「甲冑もきついが、このクエストは頑張れば我々のレベルでもなんとかなるだろうと言われて紹介を受けている。普通のクエストではなく限定のクエストだからおそらく間違いないだろう。そこに、君という戦力も新たに加えている。りょっぴには一番負担がいって申し訳ないが、きつくてもやれる範囲だと自分は思う。自分はそう思うが、みんなはどうだろうか?」
と、全員に意見を求めるベルデさん。いい人だなぁ本当に。
「ここまで来たら、やるっしょ。」
「くるるんはやるよー!」
「まぁ死んでも生き返れるのが我々の特権ですからねぇ。やりましょう。」
ここまできて、死んだらロストするかもしれないとか非常に言いづらいのだが、まぁ自分はロストしてもゲームだからこそ後悔しない様にしておきたい。言わなくていいや。
「サク君はどうだろう?」
考え込んでいたので、躊躇してると思われたのだろうか。そうベルデさんに尋ねられる。
「やるよな!サク!」
にこやかに笑いながら背中をバンバン叩いてくるアクティス。
ちょっと!痛いよ!
「アクティス、やめなって!」
「意見の強要は友達でもいけないですよ。」
と言ってくれる。
いい人たちだなぁ。と思いながらも、自分がぼんやりしてたせいで勘違いさせてはいけない。
「あ、ごめんなさい。やります。大丈夫です。ちょっと、どういう手順にしようか考えてしまいました。」
かなりの格上。
強敵、しかもゴーストだった場合、自分の取れる切り札など影纏くらいになる。そうしたら確実に揮発性ONTが切れるというか死なない?大丈夫?ONTを犠牲にするしかないかな・・・。
もっと取れる手があるといいんだけど、一番怖いのが甲冑の怖い技が3回以上来た場合だよね。マラソンがいるかなぁ?
取れる手を考えるが、なかなか思い浮かばないよね。
「とりあえず、最悪の場合、甲冑が3とか湧いたら、自分がマラソンしますんで、その間に倒してくださいね。」
「そうしたら、アクティスがバッシュ担当で。」
「任せろ!」
と、明るく言うアクティス。目がキラキラと輝き、テンション駄々上がりなのが分かる。
なんでこんなに楽しそうなんだろう?あいつはホント肝が据わってるなぁ。
「薬は各自すぐに使える様にしておけよー。じゃあサク君頼む。」
「了解です~逝ってきます。」
若干字面が不吉になりましたが、キノセイデスヨ。はい。
影踏、影纏は造語です。念のため。
「ピヨるとは、意識が朦朧とし、ふらついている活動不能状態を指し示す俗語のラ行五段活用動詞である。」(ニコニコ大百科から抜粋)
説明が的確で面白かったのでそのまま引用しております




