2-43 邂逅
早く7月の話を終わらせたい一心で書いてるのですが、まだ終わらなそうです・・・
あれから文官さんが一向に目覚めないので、外に向かって誰か呼んだところ、自分が何か文官さんに無体な事をしたのではないかと疑われて大変でした。
結局の所、回復できる神官さんが呼ばれましたがヒールでは回復せず。
『多分、殺気の様なものにあてられたんだと思います』と言うと怪訝な顔をされたが、神官さんが精神の回復魔法を唱えると、文官さんは途端に回復した。
ガバッと突然起き、「我が君は!?」と叫びましたが、「もう帰りましたよ。なんかカタベント?ってとこで会議するって二人を連れて行っちゃいました。」って言うと、「そうか・・・。」とガックリと肩を落としていた。
ふと、横をみると神官さんと衛兵さん2人来ていたんですけど、ざわついている。
何だろうと首を捻っていると、文官さんが
「我が君、ユトゥスシーレイ様が顕現なされたのだ。」
と、重々しく仰る。
途端に、ありがたがって祈りはじめる神官さんと、慌てふためく衛兵さんでカオスに。
自分だけ、!!??って感じになってると、胡乱な目で文官さんに見られる。
「お前は一体何者なのだ・・・。」
それ、ピカ神・・・じゃなかったユトゥスシーレイ様でしたっけ?にも言われましたから!もうお腹いっぱいですから!ってなる。
結局、ユトゥスシーレイ様の守護って称号項目がステータスに生えてた影響で、全くのお咎めなしとなった。
何でそうなったか根掘り葉掘り聞かれたが、「多分、神様にとって有益な情報提供したから・・・?」と言ったら変な目で見られたけれども。そんな目で見られたって、何でそうなったか自分でもいまいちわからないしね?
そもそも、「お前は変だ!」って言って守護をくれる方もどうかしていると思う。
ちなみに、その神様に提供した情報の内容は何なのかと、やはり根掘り葉掘りとは聞かれたが、「神様に話していいか聞いてないから言ってもいいか分からない。直接本人(神)に聞いてくれ!」って言ったら虫けらを見る様な目で見られました。
何でなの・・・。
で、アポリア王国です。
無事釈放されて詰所から出ると、アポリア王国王都のど真ん中でした。
アルシオンがフランスの田園地帯の様相なら、こちらはロンドンの町中みたいな感じ。石畳に風情がある街並み。行き交う人々に、馬車、たくさんのお店と活気がある。
影族なので、珍しいのか行き交う人にじろじろ見られますが・・・。まぁ無遠慮な視線は不本意ながら慣れているので全スルーの方向になってます。
それより、冒険者ギルドでドロップアイテムを売りたいので、冒険者ギルドのマークを探そう・・・と思ったら見覚えのある看板が目の前に。都合よく、斜め正面向かい側が冒険者ギルドだった。きっとこの辺にアポリア王国の機能が集まってるんだと思う。
流石法治国家!って思いながら入店すると、アルシオンとは違った活気にあふれている。
まず居る種族が違う。人族がメインで、獣族や小人族、稀にヒレがついた水棲族や晶族と思しきキラキラとしたガラス細工の様な人間が居る。
・・・目が!目が楽しい!アルシオンに居ない見ない種族が総ぞろいだよ!!!
ちょっとテンションが上がって楽し気に見てたら、お上りさんの様で微笑ましかったのだろうか?方々でお姉さんたちや稀に年配の男性から生暖かい優し気な視線が向けられているのに気づいて恥ずかしくなる。
そんな様子もまた面白かったようで、クスクスと笑われるが気にしない様にして、受付に行く。
ギルドは西洋の歴史がある図書館といった風情があり、飴色の木目の家具が美しい場所である。
「ようこそアポリア王国冒険者ギルドへ。本日は何の御用件ですか?」
テンプレートなセリフを優し気に言ってくれる受付嬢の人族のお姉さん。
「えっと、まず素材を売りたいのですが、こちらで良かったでしょうか?」
「はい、こちらでも承っておりますよ。どれくらいの量をお持ち込みになりましたか?」と聞かれる。
ええと、バックの中を見ると、カピバラさんの毛皮が4枚、歯が3本、山の蛇の皮が1枚・・・自分倒していないけれど来たのか・・・あと、フランコティラバードの尾羽が1枚・・・なんだコレ?と齧歯が4本・・・これはリスだな。
「皮が5枚と歯が7本羽が1枚、でしょうか?」
というと「ではここで大丈夫です。お出しください。」とお姉さん。では、と遠慮なく出すと、お姉さんが若干固まってる。
「これ・・・は。」と鑑定している様だ。
「この辺では見ない生き物が多いですね。」
「アルシオンの北側で獲った生き物が多いですね。」と自分。
アルシオンって言うと何故か背後の他の冒険者さんたちがざわつく。
いや・・・そういえば戦争前だったか。失言だったなぁ。
だが、お姉さんはプロ根性なのか、そんな事はまるで気にせず次々と鑑定をする。
「この羽は何処で手に入れられましたか?」
と聞かれる。
「正直よく覚えていませんが、アホみたいに強い火を噴く鳥に追い回されたので、そいつのでしょう。なんで生きているか分かりませんが、いつの間にかカバンに紛れてたようです。」
と言うと、顔を引きつらせている。だって本当だしねぇ。
特に倒したわけでもないのに鳥のドロップアイテムが来ているところを見ると、イベント的に逃げ切り型のクエストだった気がしてならない。
「この羽は、フランコティラバードの尾羽ですね。階位2段階目のモンスターレベル125になります。」
道理でクソ強いはずですよ、あの鳥。
レベル125って初級レベル10の新人に倒せるわけないじゃない。
むしろなんで生きてるの?って本当に疑問ですよ。
思ったよりも兎君に守られていたのかも?という気がしないでもない。
「正直、あなたが逃げ切ったほうが驚きですが、このドロップも珍しい部類になりますのでラッキーでしたね。おめでとうございます。」
と言ってくれる。
「ちなみに、どこにその鳥はいたのですか?」
とお姉さん。
「アルシオンの北側にある山の中ですね。」
「今すぐ討伐隊を編成しなければならないレベルなのですが・・・。」
「アルシオン側に近いので、向こうでやってますかね?一応上層の衛士の人に報告はしてあります。」
「念のためこちらからもアルシオン冒険者ギルドに問い合わせておきましょう。」
とのこと。有能な受付嬢さんである。
「買取はしめて158,956Fになりますね。よろしいですか?」
ひゅぅ~♪と外野の誰かが口笛を吹く。
なんか後でカツアゲされない?大丈夫かなぁ。
「はい、それでお願いします。ついでに、お願いしたいことがあるのですが。」
なんか危なそうだから、このお金一気に使っちゃいましょうね。
「まず、冒険者ギルドの登録料を支払ってないのでそれを払いたいのですが。」
「かしこまりました、では金貨一枚分、35,730Fを差し引かせていただきます。」
「残りの代金をアルシオンの方の借金にあてたいのですが金貨3枚分送金できますでしょうか?」
「可能です。神殿への治療費の補填ですね。そうしましたら、金貨三枚分送金させていただきますので、残金が16036Fになります。よろしいですか?」
丁度いい感じかな?敢えてリスクを冒してまでカツアゲする程じゃないかなって思う残金だし、治療費の借金があるって公言したようなものだから予期せぬラッキーな収入に対しても反感がもたれにくいしね。
「ハイお願いします。」
「ではアルシオンに送金させていただきました。残りの治療費が金貨11枚と銀貨6枚になります。」
「ご丁寧にありがとうございます。」
多分、受付のお姉さんも自分の意図は分かったと思うんだよね。
ラッキーな収入があっても、まだこの人は可哀想な人です、みたいなイメージを聴き耳を立ててる人たちに残してくれたからね。
個人情報なのに、あえてまだ借金があると名言してくれているから、そういう事なんだろう。
日本じゃやらないけどね。
これで、とりあえず潜在的な敵は減ったと思います。
悪人は知らんが。
ぐぅ有能なお姉さんありがとうございます。
「あとは、おススメのそこそこの宿屋と、初心者にもできそうなクエストってありますか?」
ついでにそう聞くと、お姉さんはにっこりと笑う。
ギルドのお姉さんに、一泊食事なし5000F程の宿屋を何件か紹介してもらい、ついでにリス辺りの仕事を紹介してもらった。リスはやはり害獣に相当し、今の時期増えすぎて困ってるが動きが早いので敬遠されがち、とのこと。あえて狩りに行くほどの報酬ではないのだが、あえてリスでレベル上げをしようと思っている自分にはとても都合がいい。
今すぐにアルシオンに帰る必要性もないし、物見遊山をして、計画性を持って帰ればいいだろう。
ついでに、アポリアのギルドにも地図を写したりできるサービスがあるそうなので、値段を聞いて今度時間が出来たら来ます。と言っておいた。アポリアも24時間営業だそうなので、人が少なくなる夜中がいいのだろう。多分そう。
時間的には今、ログインして5時間程たったところ。3時間弱も取調室にいたのか・・・。長かった。
あと3時間なら、宿は必要ないかな。
アポリア王国はアルシオンに比べて見た目都会である。
まだアルシオンの地下の街もちゃんとは見てないのだが、それなりにここの装備も見ておきたい。
丁度いい装備があれば押さえておきたいところである。
・・・アルシオンの方が影族用の装備があるかもしれないけれども。
「サク!!!」
声と同時にがばー!と誰かに抱き着かれる。
!???
ってなったけど、多分こんなのはアイツしかおらん。
「やめろバカ、突然抱き着くな。」
と、問答無用で抱き着いてきた左腕をねじりながら捻り上げる。
ギャー!と大げさに叫ぶ黒髪の人族・・・。多分アクティスだよな、コレ。
なんかいつも使うキャラと印象が違うなぁ?確認してから手を離してやる。
「やっぱりサクさんだー。」
「・・・確認する前に抱き着くとか、なんなの?」
「そんな気がしたもんよ。この辺影族いないし。おかげで板がお祭り騒ぎよ。」
「お祭り騒ぎ。」
それは少し大げさじゃないだろうか?
「ホントホント。初めて影族みたーとか、かわいいとか板に書いてあったから見に来たら、サクさんの匂いがした。」
「匂い。」
なんか怖い。
しかし。
「道理で先ほどから視線を沢山感じるわけだ。」
ただ珍しいだけじゃなかったのか。プレイヤーも随分いたようだ。
「サク、アルシオンにいたでしょ?どうしてアポリアにいるの?俺は嬉しいけど、今、アポリア王国とアルシオンは微妙な時期だから捕まっちゃうよ?」
「というか、もう捕まった。」
「笑う。」
「で、なんか出られた。」
「ヨカッタネ。」
「多分もう大丈夫?」
「どういうことなの・・・?」
どういうことって言われてもねぇ・・・。
「まぁ、大人の事情がきっとあるんだよ、多分。」
そう、多分ね。
もっと上の神様の事情とかね。
「まぁいっか。それよりまだアポリアにいるの?」
「うーん、不慮の事故で来ちゃったから、かえるけど。せっかく来たのだから一通り街を見てから帰ろうかなって思ってた。とりあえず、まだしばらくは居るかな?」
物凄く急いで帰る用もないしね。ただ、またどこかに突然飛ばされる可能性を否めない?
「じゃあさ、狩り行こうぜ!」
「えっ!?」
「明日、友達と狩りに行く予定なんだ。リアルで13時から!サクさんも行ける?」
「いけなくはないけれど・・・アクティスレベル今幾つ?」
「20かな。」
「今11なんだけど。」
「笑うw」
たしか、今トップが35レベルだったか。でも早すぎてステータススカスカ疑惑が出ている。
自分も上げようと思えばもう少し早く上げられるし、多分アクティスもそうだろう。
慎重にレベル上げをしているって事だ。
・・・うーん、それにしてもたまにはアクティスと遊んでみたいのも事実だが、アクティスの廃人仲間と混ざりたいかっていうと微妙だ。が、ファルディアでのパワーウエィト的検証で今後を考えてノーマルPT戦を試してみたいのもまた事実で。
「空きはあといくつ?」
「ずっと2個かな?サクが来ないならだれも来ない予定。」
「レベル差許容範囲は?」
「せめて-5がギリギリかなぁ・・・。まぁうちらはいいんだけど、サクさんが多分酷い目に合う?」
ステータスがスカスカってやつか。
「じゃあとりあえず、今からレベラゲしてくるから、明日間に合ったら行く。」
「それこそ笑うわw」
あの上がり方だと、真剣にやれば多分間に合う気がするけどね。
ただステータスがほんとSTRに極振りされると思うけれど。
「持ち物は?」
「そこまで今は縛りないけど、ポーション?」
「今1個しか持ってないけど。」
「せめて三つはほしいかなぁ?あと、解毒薬2個」
「何フラウくらい?」
「これから買いに行くし一緒に買っとこうか?ポーションと解毒薬合わせて4700Fくらいかな。」
「そんなもんか。お願いしてもいい?」
「り。」
忘れないうちにアクティスに念のため5000F渡しておく。
「ちなみに明日は1時から何時間?」
「えっ!?やれるだけ・・・?」
「鬼畜生か?自分は入れても16時半までだぞ。」
「りょうか~い。」
「あと、レベル16辺りのリスって何処にいるか知ってる?」
アクティスにうわぁ・・・って目で見られた。
「それ、ソロでするの?レベル11で?流石だね。俺そんなのしたくない。」
「人によりけりじゃない?」
あと、相性にもよると思う。自分も魔法タイプは絶対にしない。
今の自分だと先手が取れ、装甲が薄く、ほぼ一撃で仕留められるのが条件になってくる。
リスは早いがイニシアティブが取れないというほどではない。集中力を欠かなければ倒せる相手だ。
「まぁねえぇ・・・?」
とか言いつつも、アクティスは丁寧に出る門からどちらの方向に何分くらい歩けばいいかまで教えてくれる。さすがにハイヒト。周辺地域を網羅している。
あと1時間40分ほど。
とりあえず、リス狩りに精を出しますかね?
――――――――
アクティスと別れ、門を出てリスがいる場所に戻るまでに20分くらいかかった。
ちょっと急ぎ目に歩いたし、移動速度が称号で増えてなかったら多分もっと時間がかかっていた。
1時間20分ほどなら集中力が続くと思うので、比較的安全地帯を確認すると、片っ端からリスを片付けていく。安全地帯に近い所はレベル12~13のリスが多かったので、まずは手ならしにその辺を殲滅。リスは早いが防護がそこまで硬くない。しいて言えば的に当てにくいなといった感じ。攻撃も単調気味で、自分には格好の獲物だとおもう。命中さえ確保できれば・・・ってファルディアの命中ってDEX依存じゃないのかなぁ?なんでこんなDEX低くて当てられているんだろう?って思いながらも、もしかしたら武器によって命中の依存パラメーターが違うのかも!って思う事にする。じゃないと、リスに攻撃が当てられてる説明がつかないしね。
それか未知のパラメーターがあるか?
まだ隠しパラがるのか・・・ありそうではあるが・・・。
余計なことを考えて居られる程度にはまだ余裕がある。
が、段々回転が良くなってくると、雑念が減ってくる。
リスの動きがより単調にみえる。
次にどう動いてくるかがわかる。
こちらがどう動けば最善なのかが分かってくる。
相手が気づく前に最短で急所に刃を滑り込ませて、一番簡単な首を刎ねる。
2匹いて首が間に合わない場合は目でもいい。大概、そこに深くダメージを入れれば倒せる。
黙々とした作業。
ふっ、と現実に引き戻される。
「・・・?」
何で現実に引き戻されたか分からないけれど変な感覚だ。
思ったよりも息が上がっていて、こなした量が多い事がわかる。
だが、まだ余裕はある程度だ。
周りにリスはいない。
少なくとも自分の気配察知の範囲には一匹も居ない。
一体何匹リスを屠ったのだろうかもよく覚えていない。
だがしかし、自分は一体何に引っかかったんだろう?
時間を見ると、あれから1時間30分ほど経っていた。
「・・・あっ過ぎちゃった!」
といっても、現実は五分くらいだろうが。
慌ててログアウトボタンを押す。
ログアウトするまでの数秒間。
ふとステータスの画面を見ると、レベルが17に上がっていた。
―――――――――――――
・・・・。
現実に戻ってくる。
自分はどれだけリスを狩ったのか。
正直、途中でトランス気味だったと思う。あまり覚えていない。
殺戮マシーンもいい所である。
ステータスもみていないけど、大丈夫かなぁ?スカスカじゃない?
というか、今日だけでここまで行くとは思わなかった。
多分足りなくなるだろうから、明日の朝ログインしてそちらをメインにしようと思ってたのだけれども。
うーん。やりすぎてしまった。結果が怖い。
だが他にもやりたいことは沢山あったから、ありがたいかもしれない。
自分一人ならばいいが、人とPTを組むなら、最低限の装備は確保しておきたい。
人としての礼儀である。
そして、武器を手入れにだしていない。
そちらも確認しなければならない。確かファルディアも装備にたいする耐久度はあったはずだ。
不壊属性という特殊な属性でもついていない限りは、ヘタしたら壊れかねない。
最も不壊属性がついていたとしても、切れ味は落ちてくるのでやはりメンテナンスはした方がいいが。
そして、目標の差を埋めたけれども、やはりレベル3差は大きい。
あと少しだけ縮めておきたいところである。
明日、内田たちと会うまでにやりたいことは
①目標レベル3上げ
②武器のメンテナンス
③素材の売却
④防具の新調
かな?
お金もないし、やる事が目白押しである。
明日何処までもっていけるかなー。
と、思いながら階下に降りる。
これから水まき、庭掃除、夕飯の準備、部屋の掃除、風呂掃除。
やる事はこちらも目白押しなのである。
部屋を見渡すと、昼に持ってきた食べ物は全て無くなっていた。
内田が食べたのだろう。
下はまだ盛り上がっているので、おばちゃんたちがまだ夕飯を作っているのだろう。
食器をもって、下に降りよう。
階位2段階目っていうと、サクさんはきづいてないですが、一回進化をしているので、人類で言うと中級ジョブ130レベル相当。
今更ですが
ぐう有能・・・ぐうの音も出ないほど有能、という事。元々はなんJ民の小笠原スレでぐう畜(畜生)が発祥とかなんとか。そこから転じて、ぐうかわなど色々派生した。
アポロディアにはPCはたくさんいますが、アポリア王国(王都)の方には現在の所そんなにプレイヤーは多くありません。アクティスもクエストで偶々来ていただけ・・・って感じです。よってサクさんを見ていたのはNPC8割と攻略組が殆どのPC2割といったところ。
本日の金貨の時価 金貨1枚=35,730F




