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ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
7月 ~ファルディアと日常~
42/444

2-41 神星乱舞

 どうも。

 Sakuです。


 何だか知らないけど、捕まってます。

 簀巻きのまま尋問室の様な所に通されました。

 誤認逮捕なら、まず罪状を言ってほしいと思う現代人ですが、間違っているでしょうか?


「なんでアポリアに来たのか!言ってみろ!」


 先ほどから尋問を受けております。

 さすがに、中では縄を解かれましたが、腰は逃げられないようにか、縄で結ばれています。

 多分、影移動を使えばほどけるんだけど、言うと怒られそうなので大人しくしています。


「えっと。アポリアって何ですか?」

「しらばっくれるな!今お前がいるところだろうが!」


 なるほど。密入国の罪でしたか。

 うん、それは自分が悪いわ。


「どこがアポリアか分からないので入ってしまいました。私有地ならば入れない様に塀で囲っておいてくれませんか?」

「バカにしてるのか!!!お前は!(バァン」


 尋問されてるのは、見た目文官さんの様な方です。

 何故この方が出てきたのか皆目見当がつきません。

 本来、罪人を尋問するのはその筋の方とか、もっとこうダメージを与えたり殴ったりするような方なのではないかと?

 ん?とすると単純な罪人扱いじゃないのかな?

 どっちかっていうと政治的な話?


「そんな事言われても、変な鳥に追い掛け回されて、必死に逃げ回っていたらあそこだったんです(嘘は言ってません)。ここがどこか教えてほしいくらいです。」

「だからアポリアって言ってるだろうが!」

「どこの田舎ですそれ?」

「喧嘩売ってるのかお前は!!!」

 ごめんなさい、ちょっと売りました。

 だって、話通じなくてイライラしてくるよね。

 でも、なんか聞いたことあるな。

 アポリア、アポリア・・・・う~ん?はて?


「・・・どっかで一回位聞いたことあるんですが?思い出せません。近所にはなかったと思いますが。」

「・・・お前こそ、どこの田舎に住んでたんだ。世界で最も発展している法治国家だぞ。」

「ほぅ。」

 そんなところがあるんですね。知りませんでした。


「残念なことに、自分は”霧向こうの民”でして。この世界に来てまだ1週間くらいしか経ってないんです。普通の話も常識も通じません。ごめんなさい。」

 これは自分の不勉強かもしれないな。

 そこは謝っておく。

 同じ穴の貉になりたくないしね。

 はぁあああああ~と文官さんが長い溜息をつく。


「そうならそうと早く言え!お前あいつらの仲間か。」

「はて。」

 アイツらとは。


「”霧向こうの民”の連中だ!アイツら寄ってたかって問題ばかり起こしやがる!何かあるとすぐ叫ぶし、幼女が幼女のストーカをするし、気色悪いおっさんが気色悪い露出の高い服を喜んで着るし、パンツ一枚が無駄にハイスペックな装備を売りまくるやつが居るし、お前らはいったい何なんだ。」

「ごめんなさい、そういうのはホント一部なので法治国家の名のもとに法律にして全部取り締まって豚箱に入れてください。何なら永久にそのまま入れておいてください。」


 ていうか、あれらと同一視しないでください。

 ほんと変な人いるよね。

 大人は現代社会でストレスが溜まってると、奇行に走りたくなるのだろうか。


 文官さんも、問題ばかり対応させられてきたから霧向こうの民は問題起こす奴!みたいな目になってるのだろう。可哀想に・・・。


「だが、影族の”霧向こうの民”など今まで見た事がないぞ。」

「自分も見た事が無いですね。まぁ生まれても多分アルシオンだと思いますしね。」

 今までいなかったのはMJKBY氏がキャラデリまでいろんな人を追い詰めて殺しまくったせいだと思いますけどね。そこは言わないでおく。


「やはり、お前アルシオンの手の者か。」

「手の者。」

「いわゆる間諜だ。」

 間諜。スパイねぇ。

「やだなぁ、ハハハハハ。」

 影族が間諜?ないない。


「何がおかしい。」

「影族が間諜なんて、するわけがないじゃないですか。」

「それは分からんだろう。お前みたいな変わったやつもいるし。」

「それは、ちょっと否めませんが・・・。ジャイアントソルジャーアントが攻めてきたら蟻で野球を始める様な人たちですよ?」

 アレは多分野球だと思うんだよね・・・それとも打ちっぱなし?

 どちらにしても、遊び方が酷い。

「飲んだくれてそのまま勢いで近所でゴブリン退治なんて始める人たちが、間諜?ないない。」

「だが・・・。」

「まどろっこしいから、とりあえず怪しいから殴るっていうのはありますね。相手の情報を抜こうなんて発想がまずないですよ、影族には。」

 うん、かかってこいやぁあああああああって生き物だからなぁ影族は。

「そこまで影族が気に入らなかったら、間諜出す前に攻めてきますね。アポリアとの間に何があるか知りませんが、間諜の心配をするくらいなら攻めてくる心配をした方が早いですよ。」

 多分間違っていないと思う。

 あと、間諜になるほどDEXが高そうな人がほとんどいないしね・・・(憤怒。


「それでも、間諜を出すっていうなら自分ならエルフさんに行ってもらいますねぇ。髭族さんは酒ばっかり飲んで聞いてくれなさそうだし。アルシオンで一番常識人はエルフさん達なので。」


 影族と一緒に野球してるのは髭族だもんな。

 ラフィーさんの苦労の影を見ると、毎回そんな暴走の仕方っぽいしね。

 影族を間諜に仕込むよりも、エルフを間諜に仕込んだ方がよほど楽だろう。


「古代人か。」

「可哀想に、この前も門番の方が凄く苦労をされてました・・・。」

「どこも、問題児がいるのが当たり前か。これも公僕の務めとはいえ、やるせないな。」

「こちらでも、”霧向こうの民”がご迷惑をおかけしているのでしょう?一部とはいえ同じ霧向こうの民として申し訳ありません。」

「いや、お前が悪いわけではない。」


 なぜかしんみりとした雰囲気になってくる。


「それで、自分は結局何の罪でつかまってるのでしょう?迷子になって森を抜けようと歩いてたら、罠に吊り上げられて連れて来られたのですが・・・。」

 さりげなく自分は無害アピールをしておく。

 でもまぁ、本当の事だしね。


「”霧向こうの民”なら知らぬかもしれんが、目下のところアポリア王国は影の国アルシオンとの戦争を検討中だ。」

 うえぇ・・・まさかの敵対国家に来てました?

 戦争前に敵国人が来たら、それは、うん。スパイ疑惑をかけるわ。


「うわぁ・・・知らないとはいえ申し訳ないです。ところで、戦争の原因はなんです?」


「それは・・・神託である。」

「神託。」

「神のお言葉だ。」

 それは分かりますが。


「この世界では神様が戦争しろって言うんです?」

 それは初めて聞いたぞ。・・・いや、そんな事もないか。地球でも神の名の元に~とか、俺が神だ~っていう指導者は過去沢山いたしな。

「詳しくは明かせぬ。だが、アポリア王国が奉じ奉る神の御言葉である。まだ戦争と決まったわけではないが、神は神なりの事情があるのだろう。」

 神は神なりの事情ねぇ・・・。


 セレネーツァ様ならともかく。

 ユイベルト様はそんな事を考えているだろうか?


 ・・・・。


 ・・・・。


 いや、あの人も多分まどろっこしいかったら、自分で殴りに行くんじゃないかな?

 戦争なんてしないでしょう。

 喧嘩売られたら買いそうだけど。


 その、アポリア王国の奉ってる神様?

 どんな方が存じ上げないけれど、アポリア王国は法治国家って言ってたし、きっと真面目な人なんだろうなという印象。


 う~んと考え込んでいると、続けて文官さんが声をかけてくれる。

「つい、熱が入ってしまってすまなかった。我々もアルシオンの事はよくわかっていないので、警戒心が先に立ってしまった。これも職務なので許せとは言えないが、ここはひとつのんでほしい。」

 関係ない事で悩んでいたのだけれども、文官さんなりの最大限の誠意を見せてくれたように思う。

「いえ、こちらこそ知らないとはいえ、紛らわしい事をして申し訳ありませんでした。」

 と、こちらも頭を下げておく。それにホッとした雰囲気の文官さん。

「だが、調書は作らねばならん。・・・まず名前はなんと言うのだ?」

「名前ですか。Sakuと申します。」

「ほうほう、良い名じゃな。」

 と、後ろから女性の声。


 固まる文官さん。

 後ろを振り返ると、先ほどまでいなかったはずなのに、妙齢の女性がいる。

 美しい方であり、線が細く小さい。そしてサラサラとした茶色の直毛が複雑に半分結い上げられている。

 衣装はやはり薄手のサラサラとした柔らかい布?でヴェールを被っている。

 アラブのお姫様みたいな服で、赤が基調であるが、バラの様な色なのでどことなく品がある。

 セレネーツァ様と違って、優しいというよりチュシャ猫といった印象を受ける。

 こんな美人が取調室に居たのに気づかないはずがない。


 こちらも、圧倒的存在感で・・・。


 うん、言わなくてもどちら様か何となくわかるような。


「一体どちらの神様ですか?」

 つい、そう聞いちゃったよね。


「おや、つれないのぅ。」

 ククッと多分神様が笑う。

 ここの所、神様に会いすぎじゃないですか?

 そんなお手軽なの?神様?


 はぁ。と一つため息をつく。

「これまでの流れで、神様が出てきそうなものが一つもなかったので困っています。」


 なんか出てくる要素あった?

 精々出てきてもアポリア王国の神様だろうけど、なんかすごく真面目なイメージなので、手順を踏んで呼び出されそうだ。

 という、勝手なイメージ。


 それに、この神様みたいな人は、真面目って言うよりもチュシャ猫って感じだし。

 まぁ神様じゃないのかもしれないけれども。

 それとも今更お助けキャラが出てきたのか?


「つまらぬのう。もっと驚くかと思ったのに。」

「驚かせたかったんですか・・・。もう驚きました。うっわーすっごく驚いたなー。」

「可愛げがないのぅ。」

 仕方ないじゃないですか、性格なんだから。


「まぁ冗談は顔だけにしておき。」

 顔ないですけどね自分。

「我は占いの神ロロジーア。汝に興味があっての。ここまで出向いたというわけじゃ。」

 文官さんが固まったまま、さらに顔色を悪くしている。器用だなぁ。


「興味。」

 はて。興味。

 あったこともない人に興味を持たれるとは。

 しかも占い?の神様。まったく接点がないよね。


 首を傾げていると、

「覚えはないのかぇ?汝には預言が降っておる。この”占いの”神を差し置いて、誰がそなたに神託を施したのか興味があっての。」


 月神様か。でも、あの預言?は戯言とかではなく本物の預言だったのか。

「ああ。めちゃめちゃ個人的な様な事を言われた様な言われてないような・・・。」


「ほう。漸く思い出したかぇ。で、誰ぞ?誰がそなたに我が見ぬ預言を降らせたのか。」

 興味津々ですね。・・・いや、でも神様はふざけた雰囲気は出しているが、その目は真剣だ。大事な事なんだろうか?判別がつかないから困ったなぁ。


 でも、神様はこの世界を守る存在だったはず。

 自分とは敵対しない・・・よね?たぶんね?

 仕方ない、覚悟を決めるか。


「本当に個人的な話ですよ?・・・えっと預言?を授けてくださったのは月神セレネーツァ様です。それで・・・」


「またれよ。」


「ん?」

 まだ何も言ってないんだけど・・・。

 ロロージア様を見ると驚愕の表情だ。

「・・・いや、誠なのだな。そなたには月神の加護も降っておる。」


 はぁとロロージア様が一つため息。

「困ったのぅ。我の手には余るわ。とんでもない事をもたらしてくれたのぅ。」

 と、どこからともなく出した扇子で口元を覆う。


「そう言われましても、自分には何が何だか。」

「そうじゃな。そうでなければ、おいそれとその名は出せまいて。」

 と、ロロージア様。

 月神さまが、若干腫れもの扱いになってるんだが、どうなってるんだ。

 本体は封じられているって言ったけど、相当ヤバい事になってるのか?


「ロロージア。」

 再び、唐突に人が・・・いや神様がいることに気づく。

 こちらは、思わず居住まいを正し、正座したくなるような雰囲気を出している。

 金髪の短髪碧眼の方で、どこまでも神々しい。

 白を基調としたチュニックの様な服で、まるでおとぎ話のイケメン騎士!といった風情だ。

 身長は180cmくらい・・・だろうか。

 線は細いのに厳しい印象を受ける。


 青い色を通り越して、土気色になった文官さん。

「・・・我が君!?」


 慌てて椅子から飛び降り、五体投地をして震えている。すなわち両膝と額を地につける事。仏教における最高の敬意を表す礼法・・・だったか。土下座どころか完全に倒れられると、椅子に座ったままの自分が、大変その・・・もう、どうしたらいいの?せめて地面に正座します?

 神様たちはそんな文官さんが当たり前なのか全然気にしていない。


 ・・・もう神様はお腹いっぱいです。


 新たに表れた白っぽい金ぴか神様は、自分には目もくれず(これが正常な反応だね!)、ロロージア様に少し不機嫌そうに向かう。

「一体何の用だ。私の領域に勝手に侵入した挙句、しかも私には会いに来ず、こんな所でいったい何をしている。」

 おおう。

 やっぱりアポリア王国の神様で間違いなかったようだ。

 当初のイメージ通りやっぱり真面目そう。


「つれないのぅ。ほんの少しではないか。けち臭い。」

 と、ロロージア様。

 こちらは大らかを絵に書いたような方なんだな。


 ロロージア様の言葉に右の眉をピクリとだけ上げる金ぴか白神様。

「おお怖い!筋のためなら神をも殺す様なその姿勢は、ある意味不敬ではないのかぇ?」と全力で楽しそうに煽っていくロロージア様。

 神様って好戦的だなぁ。


「戯れは結構だ。いいから、早く理由を言え。」

「こちらも可愛気がないのぅ。」

 と、面白そうにククッっと笑うロロージア様。


「だが、まぁ丁度良かったともいえる。我の手には余るからのぅ。月神が現れたようでの。」

「まさか。ありえない。」

 と、ばっさりとピカ神様。

 流し目でこちらをみるロロージア様。

 つられて、こちらを見るピカ神。

 目線が痛い痛い痛いです・・・。なんでそんな生ゴミを見る様な目で見るんですか?


 自然と目線を逸らしてしまう。


「ソレがか?」

「月神から預言を授かったそうでの。」

「ますます、ありえない。」

 何も言ってないのに『嘘ついたら叩き殺すぞ』みたいな目線で見られてるんですが、何なのほんともう。


【精神苦痛耐性4レベルを獲得しました。】


 逸らした目線の先にいた文字さんが地味に主張してくれているのに気づく。

 やっぱ、これ苦痛ですよね・・・ハハッ。


「預言って・・・ほどじゃ・・・ない気もしますデス・・・ハイ?」


 もう、本当に帰りたいんですけど帰っちゃだめですか?そうですか・・・。


「そういえばまだ内容を聞いてないのぅ。隠れた月の預言。大変興味がある。はよ申せ。」

 申せる雰囲気じゃなかったじゃないですかーもー。

 相変わらず『殺すぞ』みたいな目で見てくるピカ神がホント怖い。

 何もしていないのに何でそんな殺されなければいけないのか、納得がいかない。

 きっと、”早く話さないと殺すぞ”って目線だと思う。

 ただ問題は話しても殺されそうなところだ!

 何でこんな怖いかっていうと、第六感さんがガンガン警鐘を鳴らしているのに今更気づいた。

 やっぱり殺す気満々じゃないですかね!?!?


 もう、しょうがない。覚悟を決めて、せめて間違えない様に心を整える。

「・・・一言一句まで合ってるかは分かりませんが、確かこうおっしゃいました。『我は死ぬ、いや生きていないから既に死んでいるのと同じだ。だが、生まれ変わった新しい我に汝は会うだろう』と。それだけですね。あ、汝って自分の事です。」

 多分ね。


「・・・それだけなものか。」

「ほんに、手が余るのぅ。」


 神々を見れば、何言ってるんだコイツみたいな目線で見られてた。

 言えって言われたからなるべく忠実に言っただけなのに、なんでじゃ!



「・・・なんだか随分と面白そうな話をしてんじゃねーか。」

 ロロージア様と、ピカ神に向かい合って座ったままだったけど(立てとも座れとも言われなかったので固まっていただけだったが)、また一人空間を割って当然そこに居ましたって感じで背後から声が顕現する。


 だからもう神様はお腹いっぱいですってば!!!


 ・・・って思ったけど、聞き覚えがある声ですね?


「・・・・ユイベルト・・・!」

 歯をギリッっと噛みしめるようにピカ神がつぶやいたのが分かった。

 先ほどの生ごみを見る視線とは比べ物にならない位、険しい視線を背後に投げつけてるのが分かる。アレを食らったら自分死ぬ自信あります。

 視線で人って死ぬんですね。



 ・・・ところで、この流れでピカ神様の名前が知りたいなんて言えないですよねー、やっぱねー。


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