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ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
7月 ~ファルディアと日常~
41/444

2-40 SAN値

 ファルディアでは、かねてより裏パラメータの存在が示唆されていた。


 それは構わない。どのゲームにでも多少は裏のパラメーターが存在する。

 ある意味当たり前の、普通の出来事だ。


 ファルディアではまずダメージ計算式が構築できなかった。

 よって、裏パラメーターがランダム数値とは別に影響を与えてるだろうとは事前に聞いていた。

 そもそも、肉体が無い妖精なんて種族もあるし、その裏パラメーターは精神的なもの、特に魔術的なものに起因している数値だろうと聞いていた。



 で、今出てきたのが『SAN値』―――。



 SAN値っていうのはもし、間違いじゃなかったらSanityの略である。

 すなわち『正気』。

 精神的正気度を問う値である。海外のTRPGから派生してきた言葉で、海外と日本での考え方は誤訳などの影響もあって違うみたいなんだけど、そもそも同じゲームじゃないんだし、ファルディアでは意味が多少違っているのはありうることだ。



 問題は、本当に正気のSAN値だった場合、”正気のパラメーターがある”って事。



 これ、(ゼロ)になったらどうなるの?って事でしょ。

 プレイヤーが発狂するの?いや、そんな事は流石にいくら何でも、例えファルディアがR18だったとしても、ありえないと思う。ゲームをやって発狂する人が続出したら、さすがにVRが全面停止される事態になるだろう。



 ・・・でも、”NPCはどうなるのか?”。




『―――後は消えるか、贄となり裏返るのみ。 』




 先ほどのセレネーツァ様の言葉が、とても不吉な意味に思えた。




 不吉な空気に耐えられなくなり、とりあえず内・・・アクティスにメールをする。


「う・・・じゃなかったアクティスー。今いいか?」


「おー珍しい、サクさんじゃん!どうしたの?今ちょうど一息ついたところ!お腹空いた!」

 左様か。平常運転で安心する。

「なんかレア称号っぽいものがきたんだけど、それにSAN値補正+3って書いてあるんだけど、ファルディアってSAN値あるの?」


「ぶっーーーーーーーー!!!!!何それ詳しく!」

 数秒後に吹いた音までメールで来たでござるよ。

「ん・・・事故であんまり詳しく自分も事情がよく分かってないし、ちょっと人には言えないイベントな気がするからアレだけど。変な所迷い込んで助けて貰ったら生えてた称号。で、『世界の裏を見たもの(SAN値補正+3)』と書いてあるから、アクティスならなんか知ってるかなって思ってメールした。」


「やべぇ。・・・いや聞いたことないな。ちょっと待って友達にも聞いてみる。」


 大人しく待つこと1分ほど。


「誰も知らなかった!やばい!」

 さよか。

「正気度だったらやだなー。怖いなぁ。」

「俺はあったら、あったで大歓迎?ちょっと興味あるかも!ファルディアはファンタジーじゃなくてダークファンタジーだった?笑うwwwww」

「だってさー、知り合いのNPCがSAN値直葬になったらどうするの?」

 SAN値直葬なんてタグにしかつかないが、意味合いは伝わるだろう。正気度を失ったらって言いたい。

「あー・・・。」

「PCはきっと大丈夫って思うけど、好きなNPCが頭おかしくなって壊れたらちょっと嫌かも。」

「それは俺も嫌かも。でも嫌いなNPCとか、敵キャラがそうなるのはちょっと面白そう!」

「まぁ敵だしねー。」

 それは分かるかなぁ。敵なら割とどうでもいいし。

 あのクソ鳥が急に正気を失っても自分はそんな気にしないと思う。

「何にしても、本当にSAN値がある可能性がある以上、それを踏まえて行動したほうがいいな。」

「だね。」

「情報の開示はした?」

「今気付いたのに、してるわけないでしょ。あ、忘れないうちに言っておくけど下のおばさんたちがヤバいから、部屋の中に飯おいてあるぞ。足りなかったら自分で下にとりに行け。」

「何で突然その話なんだよwwwwwww!・・・どうせ、サクさん自分で掲示板とか書かないんでしょ?俺が開示しちゃってOK?」

「いいよー。ていうかお願いします~。」

「SSとかある?」

「システムってSS撮れる?・・・のか?やってみる。」

 撮れそうな気はするよね。魚拓大事だしね。

 システム画面をだしてそれを見てSSを撮ると、システムだけ綺麗にうつる。

 おー。こんな機能もあったのか。お利口だな。

 でも、さすが自分のステータスの所も写ってしまってるので、ポップアップの所だけトリミングしたいんですが・・・文字さぁああん文字さぁああん!!!


【任意の箇所だけ画像をトリミングしますか?】

 はい、お願いします。

 いつもお世話になっています。ありがとうございます。

 残りの部分は破棄してもらう。で、『月神に会った』とか『世界の底で』とかヤバそうな記述は黒で上塗りして、それをアクティスにメールで送信。


「これでいい?」

「ん~・・・潰している所に何が書いてあるか気になるがOK。まぁコラだと騒ぐ奴はきっといるだろうけど、いつもの事だから気にしないで。」

「わかったー。きっと板見ないけどね。」

「ですよねー。」

「じゃあ、よろしく~。ありがとー。」

「うーい。」


 こういうマメなところは、ほんとアクティスは偉いなぁ。

 ・・・でもゲームだけかもしれない。

 現実では何であんないい加減なんだろう?

 興味がないからかな?そうかもしれない。




 さて、急いでやる事もなくなりました。

 ステータスも確認しました。

 兎君もどうやら見当たりません。

 敵性生物も見当たりません。

 ラフィーさんからも未だ返事がきません。

 よく考えたら、一度ラフィーさんにメールを見ろって言うクエストも受けてたしな。

 なかなか見ない人なのかもしれない。


 とりあえず、兎君を探しつつ、周囲の索敵を行いつつ移動。

 相変わらず、森は平和そのものだ。


 ちらりと時間を見る。

 ログインしてから30分くらい。

 リアル16時半くらいには多分上がったほうがいいから、後ゲーム時間で8時間くらいか。

 ・・・街にたどり着けるかなぁ?


 悩ましい。


 ここら辺は安全のようだけれども、どんどん敵が弱くなる方に進むしかないな。

 そしてどちらに進もうか?湖から見て東西南北は何となく分かる。方向感覚Lv.1のおかげかな。でもまぁ、今ファルディアも夏だし、この時間であの辺に太陽があるなら大体こっちかな・・・?くらいは分かる。最も地球の基準なので本当にあってるかは不明。まぁ間違ってても後で大体修正が効くとは思うけれど。

 アルシオン近隣の森は東側と、北西の方角、そして南東、南西である。

 沢山あるな。

 ここがどこかも分からない以上、とりあえず、西側に歩いてみることにする。

 森の中はサワサワと天気がいい。ヤバそうな敵性生物はとりあえず今の所いない。


 ずんずんと、西側に歩く。

 段々と動物の気配がしてきたので、少しずつ慎重になる。


 気配的には・・・格上の感じ。

 でも、凄い強すぎるという感じではないが、如何せん。先ほどからレベル45以上のフルパーティー推奨地帯の敵性生物を大量に屠れるクソ鳥とか(レベル100超えてないか?)、鳥を通り越して神様とかに会ってたりしたので、若干自分の尺度に自信がない。


 そっと、遠くから様子をうかがう。


 見た目は、リスだ。大きい。

 50cm程度の灰色のリス。

 欧米ではリスは害獣扱いだったかな?ねずみと同じポジションだった気がする。見た目はかわいいが、強烈だと思われる。


 どうしようかな、と悩んでると気づかれた。

 木の実をかじっていたのに放りだし、恐ろしい速さで直線上にこちらに迫ってくる。


 やはり格上!!!


 回避と受けに専念し、まずはやり過ごす。

 ・・・何とか避けられた!

 凄い早いけれど、クソ鳥程の大変さはない。・・・当たり前か。


 特に避けてもレベルも上がらないので、もしかして蟻より弱いかも!という一抹の期待を抱きつつ、すれ違いざま左に旋回しつつ裏で剣を当てる。

 入り方が浅かったのは分かっていたので、そのまま右手で追撃。

 リスも丁度避けられたのが分かって、スピードを緩めようとしたところだったので都合良く入った。右側の剣がうまい事リスの首にめり込む。


 あっけないほど簡単にリスを仕留めた。


 気配察知をかけても近くには生物いなさそうなので、とりあえず警戒は解かずにシステムを見る。


 ・・・結構経験値が入っていた。



 レベル的にあのリスは16くらいみたいだ。

 なってて良かったレベル10。

 油断したら一瞬で死ねるレベルだろう。

 大体、敵のレベルってフルPT推奨基準で書いてあるしね。

 多分、剣の性能がいいから何とか刃が通ったけど、反面、防具がないので、当たったら多分一瞬で死ねる。


 やだ・・・なに、この黒ひげ危機一髪的状況。

 フルパーティーでも強めで引きたくない状況ではあるが、考えようによっては「自分の努力で何とかなりそうな状況」ともいえる。無理をせずに、少しずつ歩みを進めていくしかないだろう。


 ところで、リスはリスの前歯を落としました。

 需要あるのかな?これ。

 多分レアドロップではない。


 そんなこんなで暫く歩く。

 リスとはあれから3回程戦ってレベルが1つ上がった。

 レベル的に14~18くらいみたいで、戦ったのは避けきれない場所で選んだ14,15の弱めのリス。

 落としたのは前歯前歯前歯。

 前歯祭りだ。

 名前は齧歯(げっし)になっているけれども。


 でもやはりキツイ。

 一瞬たりとも気が抜けないから、一番きついのは精神かもしれない。


 クソ鳥の事もあったのでなるべく木陰を歩きたくなるが、リスとか蛇って木の上から襲ってきそう。なので、なるべく上空に遮るものがない所を歩く。


 時間を見る。


 ログインして2時間くらい。


 ここは本当にどこだろう。

 このまま、リス修行でレベルが20くらい行くまで出れない何かなのだろうか。

 まぁそれはそれでいいんだけど、少し休めるところに出たい。

 メリハリはきっと大事だし、精神がどっかでブツッと切れそうな気がする。


 ひたすら集中力を切らさない様に、集中して歩く。


 少し動物の気配が・・・主にリスになるが、リスの気配が減ってきた気がする。

 森を抜けたのか?


 森自体も少し明るくなった気がする。

 だが、敵が強くなってる可能性もあるので、気は抜かない様にする。

 まずは、生物のレベルを見て・・・・



 ぐにゃ。



 なんか踏んだ。


 地面には何もなかったと思ったんだけど・・・


 びよよよよ~~~~ん


 思いっきり左足に縄の様なもの引っかかり、逆さに一本釣りされる。

「うわぁ~」と5メートルほどの高さに吊り上げられたが、特に焦りがない。


 だって、第六感さんが危険って言わないんだもの・・・。

 いや、直接的な危険じゃないのかもしれないが。


 多分リス地帯で精神が擦り切れたか、寝不足で疲れて情緒の波が低いのかも。

 はぁ・・・影族は確かにINTも低いしDEXも低いから、罠とか引っかかりやすいはずだけど、ほんと間抜けだなぁ・・・。


 なんか、どっちかというと、落ち込んだ。


 高さ5メートルほどで逆さづりになりながら、下を見る。

 吊り上げられた時の衝撃でまだ左右に揺れている。

 紐を見るとただの、紐だった。

 釣り上げた木みたいなのは、弾力性が富んでて竹みたいな素材なのだろう。

 普通の人には無理でも、これ影移動ですり抜けそうだなと思って発動させる。案の定、足はすり抜けて下に落ちた。

 落ちたところで、影移動を解除。


 ふぅ・・・。

 意外にも、とても便利影移動。

 手放せそうにないなぁ。


 罠自体の隠蔽技術は凄かったんだけど、紐はお粗末だったので、なんだかなぁといった感じ。

 もしかしたら、自分の罠の察知がお粗末なのかもしれない。しばらく取るスキルが無かったら罠察知を取ろうと心に決める。


「いたぞ!あそこだ!」


 ボンヤリしてると、なんかガヤガヤして、人間の・・・所謂人族の兵隊さんみたいなのがこちらに向かってくるところだった。

 気配察知によると7人くらい。


 猪とかリスとかと間違えられたんだろうか。

 なんか申し訳ない事をしてしまったかも。

 素直に謝って許してもらおうと思ってたら、見慣れない白を基調とした服の兵隊さんたちに警戒されて取り囲まれる。

 剣とか槍とかむけられるの初めてですね?


 おや?


「お前!影族だな!」

「どうやって、罠を抜け出した!!!」


 おや?


「どうやってって普通にですが?」


「喋ったぞ!!!」

 おいおいおい。質問しておいて何言ってるの?って思ったけど、よく考えたら喋らない影族さんの方が多いんだった。

 まずかったかなー?


「えっと、もうちょっと頑丈な縄にした方がいいカモです?」


 武器で簡単に切れそうだったしね。

 自分悪くないよね?


「うるさい!」

「何が目的でここに来たんだ!」

「お前の目的など分かっているぞ。」

「・・・それって矛盾してません?」

「「「うるさい!!!」」」


 やだなぁ・・・ヒステリックな大人って。

 面倒臭くなったので、特に抵抗もせずに大人しくしてると、じりじり近寄ってくる。

「動くなよ、動くなよ。」って言いながら槍を向けてくるから、なんか突き刺されそうでこちらが怖い。

 ふ、ふりじゃないですよね?動けっていう・・・


 しかしアルシオンの兵隊さんの練度と比べるとなぁ。

 あの人たち嬉々として蟻を狩ってたし、こんな初期職レベル10の・・・11になったんだった、雑魚いプレイヤーに腰が引けてて大丈夫?


 とりあえず、縄でぐるぐる巻きにされる。

 なすがままに成ってるけど、これたぶん抜けられるよなぁ・・・。


 まぁ面倒臭いからこのままでいこう。

 街の位置を確認したいしね。


 大体なんで影族だからといって捕まったのかもわからない。

 人種差別とかもこの世界あるのかな~。


「ほら、さっさと歩け!」

 グルグル巻きに安心したのか、強気の兵隊さんたち。



 ちょっと縄を抜けてみたい欲求にかられてるが、我慢しましょうね・・・。



 ―――――――――――――――――――――――



【ネタバレ】称号スレ お代わり14杯目【.com】


 117 名前:あなたのアクティス


 概出だったらゴメンドン!

 今、友達が取ったらしいレア称号?の情報だドン!

 ファルディアはダークファンタジーだったらしい。

(SSへのリンク)


 119 名前:ただの冒険者

 >>117 やべぇええええええええええええwwwww


 120 名前:ただの冒険者

 >>117 これは流石に嘘松。


 123 名前:ただの冒険者

 >>117 なんでタイコなんだよ


 123 名前:ただの冒険者

 >>120 偽者じゃね。じゃなきゃアクティスが愉快犯か。


 147 名前:ただの冒険者

 >>138 だが、ある程度名が知られた廃人が、後々分かる嘘を言うだろうか。

  まぁ言うやつは言うけど。


 153 名前:あなたのアクティス

 >>147 本人だドン。検証めんどい。あとはまかせた。


 168 名前:ただの冒険者

 >>153 どう見ても本人のノリで草


 170 名前:ただの冒険者

 >>117 (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!


 182 名前:ただの冒険者

 >>168 毎回情報の提供の仕方が雑過ぎるw


 183 名前:ただの冒険者

  世界の裏って、一体なにを見たんだ。

  おっと?こんな時間に何故か宅配便が・・・


 197 名前:ただの冒険者

  本当なら検証班が喜びそうだな。・・・うーにゃーうにゃーうるせー!w




すっかり観測者の称号の存在を忘れているサクさん。

まぁそのうち出てくるでしょう。


そして、板をあまり見ないサクは気づいておりませんが、板でもアクティスは安定のアクティスです。雑な気さく廃人の名をほしいままにしています。


【称号:世界の裏を見たもの】

世界の底で月神セレネーツァとの会遇を果たした貴方が、世界の裏側を見た報酬。世界の真相の一端を見、世界を正しく理解する助けとなったので、貴方のSAN値補正に+3が適応される。

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