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ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
7月 ~ファルディアと日常~
33/444

2-32 ニンジンツナコーン

 アルシオンの広場まで戻ってくると、結構人がいた。


 といっても十数人くらいだけれども。広場にある蟻とかを主に処理しているので、多分薬士ギルドの人たちだと思う。油に焼けてない蟻を何か薬剤に漬けている。油がかかって少し焼けているところの前で何人か話し合ってるので、用途や処理法でも悩んでるんだろうか。


 北門の方に戻って蟻の処理を手伝おうかとも思ったんだけど、残りゲーム時間が2時間くらいだったのと、少し疲れたので行かないことにする。

 まず今日の処理として回収した蟻をSS(写真)を撮って蟻山に置いておく。ついでに、ラフィーさんにもメールしておく。画像も添付できたので、これで証拠になるでしょう。



 どうしようかなと思うんだけど、東側の方の少し開けた場所で休憩しながら座って考える。経験値を稼ぎに行きたくはあるけど、門は閉じているし何より危ないので外には出れない。東の方ならもしかしたら出れるかもしれないけれど、もうちょっと時間が欲しいところ。


 じゃあスキル上げでもしてようかと、ずっと検証したかった影変化と影硬質化を試す。

 影変化はみょ~んと影が伸びることが出来る。大体30cmが限度だろうか。伸ばせば伸ばすほど細くなる。一時的ならともかく影変化は結構集中力いるし、実践で使うのは結構大変だと思う。あと、やはりONTに直結する”何か”を消費しているらしく、太陽に当たりながらでも結構キツイ。時々休憩をはさむ。


【影変化が2レベルに上がりました。】


 5分ほど休み休み、みょんみょんと影を伸ばしたり縮めたりとやってるとスキルレベルが上がる。目に見えて影の稼働範囲が広がるし、変化の仕方がスムーズになるが、その分別に体積が増えてないので変化させている部分の自分が薄くなる感じる。これも、きっとONTが関係してるんだろうなって思う。何と言うか、こうONTって”存在力”って言われているけれど、影族という風船の中に入ってる空気みたいなものなんだろうって思う。空気が多ければその分、大きくなるし、いろんな形になれる。


 あれ?その発想で言うと、ONTが増えすぎたらどうなるんだ・・・?

 いや、まさか破裂はしないよな、と怖い発想になる。



 次に影変化と影硬質化を交互に。

 これは影変化だけよりも格段にキツイ。見た目は全然変わらないのに凄くきつい。

 影を硬くしてどうするんだろうとは思うんだけど、これが極まってくると、武器になると信じたい。そして、DEXが低い影族のいい投擲武器になるんじゃないかなって思う。いや、切れないから遠距離武器?


【影硬質化が2レベルに上がりました。】


 漸く影硬質化も2レベルに上がる。影変化よりも長い気がするのは、交互にやってるからだろうな。これ、敵にあてたほうがやっぱスキルレベルは上がりやすくなるんだろうか。

 もう少し戦士のレベルが上がらないと怖くて魔物で試したくはないけれども。


 そんなこんなで、小一時間ほどスキル上げと検証をやっていて影変化が4レベル、影硬質化が3レベルになった。そしてメールのが点滅していることに気づく。いつの間に来ていたんだろう。集中している時は気づきにくいよね。見てみると、ラフィーさんから感謝のメールと、レティナさんからのメール。おや・・・レティナさんは自分にメールくれるのは当分先だと思ってたんだけど、読みがはずれたかな?

 と思い、未読メールをタップする。


「もしもし?私リカちゃん。今あなたの後ろにいるの。」


 ・・・。


 そっと後ろを見る。


 ニッコリと笑う見覚えのある緑髪の幼女。




 い  た。





 ――――――何これ怖い。




 とりあえず見なかったことにして、顔を戻しスキル上げを再開する。


「何で無視するんですか~~~~!!」


 怒られた。


「せっかく人が緊張をほぐすために笑いを取ろうとしたのに!酷いです!」

 と怒るレティナさん。

 プンすこ怒る幼女はそれなりに可愛い。


「いや、軽くホラーでしたよ・・・。」

「またーサクさんは敬語使ってぇ・・・。」

「レティナさんも使ってるじゃないですか・・・。」

「ううう・・・すぐ言い訳する子に育っちゃって。」

「お前はオカンか。」

 などと、最近の定番になりつつある軽口の応酬から軽く入る。

 あんなこっぱずかしい事をしたし、お互いやっぱ多少気まずい思いはあると思う。

 少なくとも、自分はある!

 おいおい、慣れるよね?


「それはそうと、こんにちはサクさん。何をしてるんですか?」

「えーと、影族限定のスキルのスキル上げ?」


 みょーんと影を伸ばしてレティナさんに見せる。


「うわっ気持ち悪っ!!」

「いうよねー。」

 みょんみょん~ふりふりと左右に揺らして回転させたりして見せる。

 確かに見た目がちょっと気持ち悪いかもしれない。


「何でこんなところで?」

「外出れないんですよ。」

「えぇ!?」


 レティナさんに蟻が大量に出た話と、アルシオンが現在封鎖されている話をする。


「えぇ・・・せっかく森にレベル上げ行こうとしたのにぃ・・・。」

 と、残念そうなレティナさん。


「レティナさん、あれから調子はどうです?」

「えっと、ちょっと夜中にゲームをやりすぎちゃって、おかげで少しレベル上がりました!サクさんのおかげです!ありがとうございます!!!」

 廃人体質なところも、レティナさんは内田属性なのか。


「え!?いや、自分にも経験値が入ったからお互い様だからね?あ!あれから装備買えました?」

「まだー。でもお店はたくさん見たので、あたりはつけました。後はお金を稼ぐだけなんだけど・・・。」

「ああ・・・。あっ!そうか。レティナさんにできるか分からないけど、蟻が出てる今なら、ギルドでお手伝いとかするとお金が少しもらえると思いますよ。」

「マジか!」


 まじだ。


「レベル上げ行けないなら、私できる仕事ないか探してきます!あ、・・・サクさんもどうです?」

 と、誘ってくれるレティナさん。

 折角のお誘いありがたいんだけど、間が悪かったなぁ。


「自分はもう蟻運びまくったし、あと45分くらいで落ちるから今日はやめとく。」

 と普通に言ってしまってから気づく。


 ちょっとだけレティナさんの顔色が悪いし、ほんの少し震えている気もする。

 友達を作らないと言ってたレティナさんが、自分を誘ってくれるのって凄い勇気がある行動じゃないかって。

 自分だって、あんなこと言っちゃって誘うのちょっと迷うし。


「誘ってくれてありがとう。また今度よろしく。」


 普段はそんな事を言わないんだけど、するっと言ってしまう。

 恥ずかしいけど、影族だから気づかれないよね。


 レティナさんはちょっと笑ってくれて、お互い挨拶をして、彼女は去っていった。


 ・・・なお、この挨拶した瞬間左目が疼きだして、レティナさんにばれないようにものすごく精神的に消耗した事を記録しておく。


 誰だよ、こんなクソ能力実装したやつ!!!何の恥辱プレイだよ!




 ―――――――――――


 そんなこんなで45分くらいスキル上げと検証をして終了。

 レベルは上がらなかったけど、コツを少しずつ掴んできている実感がある。

 で、思ったのはONTがもう少し欲しいっていうところ。MJKBY氏も30弱レベルあったよね?自分の存在力がないと、なんかこうスキルで出来ることが少ないのだ。影移動もあるし、もう少しレベルを上げないとできることが増えないような感じがする。レベル(結果的に存在力)に紐づいたスキルなのかもしれない。



 人がいなそうなところでログアウトし、リアルに戻ってギアを片付ける。

 隣を見ると、内田がギアを被らないで寝ている。

 どうやらログイン限界の時間に達したらしい。



 時計を見ると11時45分くらいだ。

 昼食くらいだけど、正直寝てただけなのでお腹はそんなに空いてない。

 ただ、ばーちゃんが作っちゃってもアレだしなぁ。

 と、思って階下に降りると、ばーちゃんが庭から戻ってくるところだった。

 手には大量の大葉。


「おー、起きてたか。ばーちゃん、素麺で簡単に食べようと思ったけど、カヅキはどうするね?」


「正直、寝てただけだからお腹空いてないんだよね。スープだけもらって、15時まで勉強する。」


 そうけ、と言って笑うばーちゃんがスープの素を色々出してくれたので、酸辣湯スープをもらった。コップにお湯を注ぎ、自室に戻る。

 ギアで勉強してもいいんだけど、体動かさないと鈍る様な気もするので、机に向かって勉強をする。まぁそんな変わらないのかもしれないけど、姿勢よく座るのも筋肉いるっていうしね?

 幸い内田はいびきもかかずに静かだ。眠りが深いのかもしれない。



 ・・・



 ・・・カリカリカリカリ。



 部屋にシャープペンの音だけ響く。



 問題のキリがいい所で、そういえばスープがあったことを思い出す。

 集中してやってたので、結構時間が経っていた。時計を見たら14時20分くらいだ。



「うぅううん・・・・」と内田が寝返りをうった。

 意識して耳を澄ますと、ブーーーーーーーーーーンと低く小さいクーラーのモーター音。


 そして、外には気の早いセミの鳴き声が遠くに聞こえる。


 スープを口に入れる。

 冷めてしまったそれは、温かい時とはまた違ったくどさがある。

 自己主張と言うかなんというか。



 窓から外を見る。

 昨日と同じく光が溢れ、いかにも初夏!と言った風情だ。

 視界には家々と、畑と、エルフの森とまた違った木々の緑が良く目に入る。

 うだるような暑さと、梅雨が終わったばかりの澄み切った青空と、高い太陽。

 昼に区切られた、夜の様な自分の部屋。

 外を見て感じる自分の部屋の中は薄暗く、影族の体の中もこんな感じかなと夢想したりする。


 スピーと内田のお気楽な呼吸音が聞こえる。



 昨日の昼間に感じた妙に生々しい、生きているのに世界に独りみたいな、妙な感覚は無くなっていた。


 特に何かするわけじゃなくても部屋の中に誰かいるのも悪くないな、ってそう思った。



 少し小腹が空いてきたけれど、夕飯までにまだ時間があるからスープを飲み切る。

 50分になったら出かける準備をしようと思い、再び問題に集中する。





 ――――――――――――――


 あれから15時過ぎに山田さんが迎えにきてくれたので、ばーちゃんと遠くのでかいスーパーに山田さんと買い物に行った。

 懸念してた通り、ばーちゃんははしゃいでいっぱい買い物をしたのでついてきて良かったと思う。しめて2万5千円分くらい買ってた。

 ・・・こんなに買って、すぐ食べない分も冷凍庫に入り切るのかなぁ?


 山田さんにお礼を言い、戻ってきた時間が16時40分くらい。

 家に戻っても、活動している気配がないので内田は多分まだ寝ている様だ。

 11時位に寝たとしても6時間弱だもんな。

 ・・・そういえば、アイツ今日の夜中もログインするのか?

 こんな時間まで寝てたら普通夜寝ないよな?

 明日学校来れるのかな。



 台所に買ってきたものを運び、麦茶で一息つく。

 ばーちゃんが夕飯を作ってくれている間に、植物の水やりとか、庭を掃いたりとか、こまごまとした用事を片付けておく。

 昼間は暑すぎて外に出たくないので、主に外の事が中心だ。

 庭を掃いていると、山田さんの家と反対側のおばあさんから回覧板を貰う。お礼を言うと、飴ちゃんをもらう。おばちゃんたちはいつも飴を隠し持ってるんだろうか?

 さっそうと帰っていくおばあさんを見送っていると、ふと家の方からいい匂いが漂ってくる。一緒に買い物に行ったので今日は肉だと知っている。

 この匂いで内田も起きてくるだろうか?

 昼をほとんど食べていない一月はウキウキと家に戻った。


 夏の空はようやく赤く染まり始めていた。






 ―――――――――――――


「ばぁちゃん、これうめーーーーーーーーーーー!!!!」


 結局匂いにつられて起き出してきた内田が、夕飯をうちで食っている。

 朝食を食って寝てただけなのに、夕飯もがっつり食うとかアイツ胃袋どうなってるの?


 なお、ばあちゃんの本日の夕飯は、パプリカの肉詰め、鯵の揚げ物と酢和え、ニンジンとツナコーン煮と、コマツナのニンニクごま油炒め、大根の柚子おしんこ、長いもチーズ、豚キムチ。

 豪勢だ・・・。


 どれも食べたいがこんなに食べれる気がしない。

 迷ってとりあえず長芋チーズ。美味しい・・・。



 ピンポーン!



「ゲッ!」


 突如なる玄関のベル。青ざめる内田。

「ごめん下さい~!失礼します矢神さん~!うちのバカ息子・・・!やっぱり居た!!!」


 内田のかーちゃんが来る。

 内田のかーちゃんも結構内田に似ていて騒がしい人だ。

 ドスドスと足音を立てながら玄関から上がってくる。

 だが、スーツをビシッと着こなし、髪もばっちり、メイクもぴっちりセットしてあり、バリバリのキャリアウーマン風である。

 こんな田舎で里美おばさんの様な人がやる仕事がある方が不思議だが、製薬会社の営業をしているらしい。


「あんれー!里美さん!お久しぶりだなぁ!一緒に飯食ってったらどうけー!?」

 と、ぶれないばーちゃん!


「やだー!矢神のおばあちゃん!いつもお元気そうで羨ましいわ~!うちのバカ息子が毎度毎度ほんっと―――――に御免なさいねー!」

 ゴスッっと後頭部を殴られる内田。

 ギャッっと叫びながらも、豚キムチの皿を離さない。さすがだ。


「こんばんは、里美おばさん。」

 と、一応挨拶をしておく。


「あらーカヅキ君こんばんは。うちのバカ息子といつも遊んでくれてありがとうね。こんなバカだけど見放さないであげてね~?」

「いえ、こちらこそ大輔君にはお世話になっていますので・・・。」


 何て言ったらいいか困るよね。

 内田はホントバカだけど、頭は良いほうだし、ちゃんと空気は読む。一緒にいて苦じゃない。むしろ、多分きっと楽しい。

 迷惑はかけられてるけど、自分がダメな所では助けられてるって感じで。

 こういうのギブ&テイクっていうの?


 おばさんの息子下げはいつもの事だしネタ枠だけれども、内田を無暗に上げるのもおべっか使ってるみたいで変だし、かといって下げるのも変だし、どの程度で言えば近所のおばさんに一番角が立たないのかよくわからない。

 と思って困って笑ってると、おばさんがホゥとため息をつく。


「ホント、どうしてうちの子とこんな違うのかしら?」

「・・・カヅキはこれが素面なのが怖い所だよな。」

 と、内田。オイコラどういう意味だ。


「かわいいじゃろー。」

 と、何故かしたり顔のばーちゃん。ばーちゃんは孫ラブでいてくれるから、里美おばさんと違って自慢してくれる。くすぐったいけど有難い存在だよね。


「・・・よくわからないけど、里美おばさんもご飯食べます?」


 見てる人がいたら食いづらいよね。

 内田を帰すにしても、きっと食いきるまで帰らないだろうしね。


「あらやだーありがとう!でもねぇ旦那が家で待ってるから食べれないのよ。」

 と、里美おばさん。

「里美さん、作りすぎたからちょっとオカズ持っててよ!」

 と、ばぁちゃん。というか、もうすでに使い捨てパックに詰め始めている。

「ヤダー!本当?おばあちゃんのご飯凄くおいしいのよー!嬉しい!」


 ほんと、里美おばさんは内田とそっくりだなぁ。

 いや、まぁ親子なんだから当たり前なんだろうけど。

 自分は父とも母とも性格が似てる気がしないから不思議だ。

 おばちゃんと、ばーちゃんがきゃいきゃいと楽しそうに世間話をしながらご飯を詰めている。

 里美おばさんがうちのご飯を持って帰るのもよくある事だ。

 ばーちゃんとおばさんが話している間に、内田が必死に飯を食っている。

 よくある光景だけど、賑やかでちょっとホッとする感じ。


 ばーちゃんと二人だけになったこの家は、好きだけれど広くて。

 ばーちゃんは明るいけれど、家トータルで考えると、とても静かだ。

 それはそれで、気持ちがいいけれど。


「ちょっとあんた、もっと早くご飯食べなさいよ!お父さん待ってるんだからね!」

「育ち盛りの息子になんてことを!欠食児童にする気デスカ!?」

「児童って歳じゃないでしょ!ホント馬鹿なんだから!大体既に3人前くらい食べてるじゃない!まだ食べるの!?うちで何も食べさせてないみたいじゃない!やめてよ恥ずかしいわね!」

「しょうがないだろ!かーちゃんの飯よりばーちゃんの飯の方が旨いんだから!」


「ダイスケー。」

「ごめんなさい。言いすぎました。」

 ばーちゃんが止めに入ると、手のひらを反す内田。

 餌付け効果怖い。


 本当に男の子はかわいくないんだから!とプンスコしている里美おばさん。


「おばさん、お茶入れるけど一緒に飲む?」

 日本茶くらいは飲んでっても良いんじゃないかと思い声をかけると「もらうわー」とのこと。お茶を煎れていると内田がコソコソと話しかけてくる。


「でもさーホント、かーちゃんの飯まずいんだよ!父ちゃんがいるときはマシだけどさ、俺とだけだともっとひっどいの!野菜炒めとか野菜生焼けだぜ?」

「あんた何食べても何も言わないじゃない!作り甲斐がないんだから手も抜くわよ!」

 と耳ざとく聞きつけたおばさん。

 酷い!虐待だ!とわざとらしく騒ぐ内田。


 皆の前にお茶を出しながら、ちょっと笑ってしまう。

 こういう雰囲気はうちにはなかったから、ちょっといいなぁって思ってしまう。

 まぁ生焼けの野菜炒めばかり毎日出てきたら嫌だけれども。


 おばさんが、もう一息ため息をつく。

「・・・うちの子はかわいくないけど、ホント一月(カヅキ)クンは可愛いわぁ・・・。攫われたりしない?大丈夫?危なくなったらうちの息子遠慮なく使ってね?・・・あんたも一月クンに手を出しちゃだめよ?」

「ブッ!!・・・・だ、出さねぇよ!!!馬鹿じゃないの!??」

 飯を吹き出しかける内田。

 お前まだ食ってたの?ご飯何杯目?


「いくら小さいからって、攫われることは流石に・・・」

 無いと思いますが・・・。いや、昔は攫われそうになった事は何度もあるけれど・・・。女の子と間違われて(憤怒。


「一月クンは顔がすっごく可愛いし、背も小さくて可愛いし、仕草も男の子とは違って綺麗だから余計になのよ!女の子としても可愛いけれど男の子としても可愛いんだから、油断しちゃだめよ?」


 どういうアドバイスなの?


「・・・もっと、ガサツに動いた方がいいです?」

 そういう事じゃないわよ、と笑うおばさん。

「かーちゃんもアホな事言うなよ!カヅキはこのままでいいだろ!!ばーちゃん御馳走さまでした!」

「おうよー。また来いダイスケー。」

 カカカッと豪快に笑うばーちゃん。

「食器洗っとくからそのままにしておいていいぞ。」


 サンクス!と内田は言いながら、里美おばさんを引っ張って玄関に向かっていく。


 ・・・これは内田に気を使われたかな?

 確かに女顔をからかわれるのは嫌いなんだけど、里美おばさんは屈託なく自分の事を気遣って言ってくれてるのがわかるから、そこまで嫌でもないんだけど。

 まぁ、内田の気遣いはありがたいかな?


「もう!ちょっと!あんたはいつもマイペースなんだから!」

 ぶーぶー文句を言いながら、しっかりとばーちゃんのご飯は確保する里美おばさん。

「矢神さん、それでは失礼します。また今度お礼に伺いますね!いつもありがとうございます!」

「あんれ、気にせんでええよ。里美さんもお仕事日曜日までご苦労さんでした!」

「おばぁちゃん!ホント優しい!大好き!じゃあお邪魔しましたー!」

 癒されるわ~と言いながら車に乗り込んでいくおばさんと内田を玄関先まで見送る。ばーちゃんは足が少し悪いので来ない。

 ムスっとしてる内田と、ばいばーいと手を振る里美おばさんを笑って見送り、家の中に戻る。


 しん。


 家の中が急に静かになる。


 でも、内田家族が遺していった熱は、まだ家の空気の中のどこかに残っていて。

 今日一日は心地よく過ごせそうだな、って思う。



「ばーちゃん、風呂張ってから食器洗うからつけとくから置いといて~。」

「あいよー。ありがとさん!一月、明日学校け?弁当どうする?」

「終業式だけだから、午前で終わる~。いらない~。」

「そうけ。明日ばーちゃんは午前病院だから!」

「わかったー。」



 明日もまたいい日でありますように。


SS・・・ゲームでSSと言えばスクリーンショットの略。ショートストーリーではない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんだか、おばあちゃんの声が脳内再生されます……w やっぱりおばあちゃん可愛いですわ……(*´ω`*) それにしてもそうか……一月君も可愛いのか……いかん、ニヤニヤしてしまうw
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