表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
7月 ~ファルディアと日常~
31/444

2-30 コリエ平原 3

そろそろストックが尽きます・・・

 門番の人に事情を言って通してもらい、街の外に出る。前線は街から出た丁度100M前後のあたりで膠着してる模様。

 氷魔法やら風魔法やら水魔法などだろうか?華々しい音とかする。

 とりあえず自分は危ないから、遠巻きに目的の人物、制服を着た偉い人ラフィーさんを探し中だ。



 ――――ズドーーン


 ――――ワァアアアア!!!


 ――――ぎゃああああああ酸くらったぁああ!!!


 ――――衛生兵!衛生兵!


 ――――行ったぞ!そこだ!やれ!



 様々な物音や怒声が飛び交っている。ついでにいうと、蟻のギチギチ音も結構聞こえる。

 そう言えば影族は声が聞こえないのでこんなことないな、と改めてゴブリン討伐の時と比べたり。

 まぁこっちが戦いとしては普通だよね。



 え~、お客様の中に~ラフィーさんはいらっしゃいませんか~?


 などとくだらない事を考えながら一番偉そうな人を探しているけど、なかなか見つからない。


 蟻の方は完全に物量戦になっており、皆慣れたもので淡々と蟻を屠っていく。

 淡々と怪我人も運ばれていく。


 今の所押し負けている様子はない。


 押し負けそうならきっと影族さん全員たたき起こされるんだろうが、今の感じだと交代までに現場に来るようにと言った感じなんだろうかね。


 おっと門番の人たちを発見したので、近寄ってみる。

 彼らは門を守りつつ、負傷兵を中にいれたり、ポーションらしきものを配ったり、門に近づいた余った蟻をとどめを刺したりとあちこち動き回って忙しい。


「すみません、ラフィーさんって方探してるんですがどこにいらっしゃいますか?」


「それなら、すぐそこにいるだろ?」


「お前、さっき挨拶してたじゃん?」


 ん?


「なんだー?俺に用か?」

 とサムズアップするムキムキエルフ兄さん。

 さっき門の前で見送ってくれた人だ。


 ちなみに、丁度槍で蟻にとどめを刺していたところだ。


 あなた、一番偉い人だったんですか・・・・?

 遣いぱしりみたいな感じだから、てっきり違うかと・・・。

 道理で見つからないわけですね。


 若干遠い目になりがちだったが、頭を切り替えて要件を伝える。

「えっと、ギルド長からの要請で参りました。メールを送ったから見てほしいそうです。あと、蟻の死体置き場で先ほど放火しようとした不審者がいたので取り押さえてあります。ギルド長は不審者がまだいるかもしれないと警戒しているようですね。」


「本当か!?」


 放火のあたりで声を遮られたが、とりあえず最後まで言った。

 他のエルフの門番さんたちもざわついている。


「放火は未然に食い止め、今は死体置き場に見張りが2人いるみたいですよ。」


 と追加して伝えておく。


「そうか・・・、いや分かった。メールは確認しておく。よく伝えに来てくれた。有難う。」

 真面目な顔をしてラフィーさんにお礼を言われる。

 こんな真面目な顔もできるのか。

 まぁそうか、責任者だもんな。


「しかし困ったな。襲撃はまだ続きそうだ。今の所人員を割く余裕がない。」


「確かに。」


「蟻の掃討は現段階で多く見積もっても、まだ半分くらいだと斥候も言ってましたね。」


「蟻の死体回収の人員を少しだけ割いても良いんじゃないか?」


「割きすぎると蟻が邪魔になって結局後手になるから、壁際にどんどん積んでくだけになりますね。」


「それで割いても、せいぜい3,4人ってとこだな。」


「ですよねぇ。」


 う~んと皆さんが考えこんでいて、ふとラフィーさんと目があった。


 すると、その目線に気づいたのか、次々とこちらを向くエルフの門番さんたち。


 ・・・え!?


 自分ですか!?


 えっ!?


「・・・安全第一で見つけるだけならいけるんじゃないか?」


「この際猫の手でも借りたいですしね。」


「この街の平和は君にかかっているゾ☆彡」


 サムズアップするラフィーさん。


 いや。

 いやいやいやいや。そういう事じゃないですよね?


「えぇ~・・・・・・・」


 まぁどうしてもそれ以外ないって言うならやりますけどね・・・。


「まじめな話、今地下の方も髭と影族を招集中だ。それらが動きだせば、こちらにももう少し余裕ができる。」


「だといいんですがねぇ~。」


「・・・たぶん、できるはずだ。たぶん・・・。」


「その分トラブルもグッと増えますからねぇ。」


「・・・ウッ!」


「背に腹は代えられませんしねぇ。」


「影族と髭族が交ざるとなぁ・・・。」


 何だろうこの門番さんたちの、苦労のにじみ出るオーラ。

 影族と髭族が加わると、トラブルが増えるんですか?

 増えそうではあるんですが、そんなに増えるのかな。


「とにかくだ!その間だけでもいい。町の中を見回って、おかしなところがないか、変な奴がいないか、不審なものがないか見回ってきてくれ。」


 と、ラフィーさん。

「賜りました。」


 まぁ嫌とは言えないですしね。有事ですし。

 ゲーム的に言えばイベントですね。・・・ゲームだったね、そういえば。




 と、言うわけで蟻の片づけから町の見回りに仕事が変更になりました。


 ラフィーさんにどういう風に見ればいいですか?と聞いたところ「全部!」という素敵な回答が得られたので、この際もうアルシオンの街上部を全部散策してやるぜ!という気持ちでいる。


 あと、連絡用にラフィーさんのメールをゲットしました。というか、フレンド登録しました。NPCとできるんだ、そんなこと。

 で、見た目もレティナさんやアクティスと一緒なので、どれがNPCか一見すると分からない。これは怖い。間違ってPCにNPCへのメールを送ったり、NPCにPC向けのメールを送ったりと変なメールを送るやつが出るだろうなぁ。


 ここでアルシオン上部の街並みを簡単に説明すると、アルシオンは北部、西部、南部を地石組みの城壁におおわれている丘陵地帯に位置する町である。蟻が攻めてきているところが北門や西門近く。主に北門の方がトラブルが多いので、物見の塔みたいな石組みの塔もある。ここが門番さんたちの主な詰め所で、現在ここを拠点に蟻掃討作戦が行われている。


 そして街の主な機能は中央の広場に集中している。この中央広場は石畳で出来ている美しい広場であり、その広場を円形に囲むように、冒険者ギルド、武器屋、雑貨屋など主な商店が軒を連ねている。そして広場の店は全て石組みの建物になる。火事か何かの対策なのだろうか・・・?飲み屋とかも広場にしかない。個人でその辺で飲んでる人は時々見かけるが・・・。地下行くには中央の広場にあるギルドの横の建物から降りていく仕組みである。そして、中央には巨大なレンズのような物があり、魔法陣のようなものの中央に配置されている。これは街のシンボルでもあり、魔道具でもある。夜に月光を集める装置がこれである。


 その広場から主要な道が2本ある。北門に向かう道と、南門に向かう道である。その街を横断する道路によって町は東部と西部に分かれており、機能もはっきりと分断されている。まず町の西半分は畑と果樹園、そして放牧地帯になる。

 エルフは農業従事者が多いと聞いていたけど本当みたいで、畑仕事についてる人が多い。

 次に見かけるのが狩人だけど。

 後養蚕もやってるみたいで、町の南側の方は工場みたいな建物がある。紡績をやっているらしい。


 街の東半分はほぼ森・・・?林?まばらな巨樹の合間に民家がある。

 森の間は林道や遊歩道みたいになっており、バンガローや別荘地のような風合いだ。そしてそのままエルフの森に繋がっており、こちらはバリケードはあるが塀などはあまりない。

 エルフの森全体がアルシオンの物・・・といったところなのだろうか?


 とりあえず、この塀とバリケードに囲まれた一般的アルシオン上部の街と言われているところを見ていくことにしますか。


 というわけで、まず北門付近は空き地や畑ばかりである。一見見渡しても異常はないが、誰も畑の手入れをしている人もいない。物陰や作業小屋、休憩小屋のような物もあるので、そういったところに、何か変な細工がされてないかとか、変な人が潜んでいないかをチェックしていく。こちらにはあまり来る用事はないと思ってたんだけど、それなりに散歩みたいで楽しい。緑の麦穂がさわさわと風に揺れて耳を楽しませてくれる。米と違って直立なんだよな。


 そして西門付近に来る。西門付近はでかい風車が目印だ。これでアルシオンの水をくみ上げているらしい。そして、この付近にも多少人がいる。門番の人に「何をしているのか。」と暗に”暇をしているなら手伝え”みたいなオーラをうけたが、ラフィーさんの命令で付近を見回りしてると言えばあっさりと納得された。「何か不審な物とか人がいたらすぐ教えろよ!」と別の門番の人にも声をかけられた。おおむね好意的に受け入れられた模様。


 北門ほどではないが蟻の数が少ない分人も少ないので、相変わらず忙しそうな現場を離れて塀伝いに南下してゆく。ここからは茶畑や桑・・・だと思うんだけど、木が定期的に植わっていたりする。何かの用途で使う樹木なのだろう。木の陰も結構あるのでざっと見まわしながら速足で歩く。時々、猫に似た生き物がいる。可愛い。

 ネコってテイムできるのかなぁ、などと思ったりする。相も変わらず牧歌的(パストラル)な風景で、南イタリアのぶどう農家に来たような。環境系番組を見ている様な、そんな気分になる。

 自分の歩く音が主に聞こえて、一定のリズムを体に刻んでいく。



 木々が多いゾーンを唐突に抜けると、急に目の前が開ける。木などは生えておらず、下草だけが生えており見晴らしがいい。そこには牛みたいな動物や豚みたいな動物、訳の分からない生き物などが仲良く草を食んでるのがあちらこちらにいる。遠くの塀側には牛舎みたいなのとか、円形のレンガ組の建物がいくつかあったりする。

 放牧ゾーンまで来たようだ。ここを抜けると丁度アルシオンを半周することになる。放牧ゾーンは見晴らしがよく、下草もそこまで背が高くない。そもそも、穴などがあいていたら動物がけがをするので、誰かが人為的にでも作らない限りは穴などはないはずだ。

 ゆるーと横断しながら、動物の落し物だけは踏まないように避けながら歩く。よく考えたら服はなくても靴は必要だった。本当に買ってよかった。こんなに役に立つとは思わなかった。



 そして、地面ばかり見て移動してたからだろうか。


 明らかに他とはちがう”ソイツ”が近づいてくるのに気が付かなった。


 唐突にドン!と後頭部に衝撃が加わる。


 同時に何かこう、モフッッとした感覚。


 大変焦る。


「な、なに?!」

 慌てて振り返っても何もない。ただ、近くにヤギっぽいのがいて、もっしゃもっしゃ草を食んでいるだけ。こちらをチラリと見たが気にせずもっしゃもっしゃとお食事を続けている。


 しかし、後頭部のあたりはまだふんわりと温かい。

 そして、なんか鞄の上が重い。


 多分動物っぽいけど、・・・・動物だよね!?


 こんな人肌温かいスライムとかで食われたりしたくないんだけど!?


 慌てて左手を後頭部の方に手をやると、モフッフッッとした感触・・・。

 凄い良い手触り・・・。温かい。

 なんか、見えないけれど、後頭部に毛玉のでかいのがくっついてます・・・・?


「きゅーーーーーーーーー!」


 なんか、鳴いた。


 何だコレ、可愛いな?


 ・・・今の所。見えないからわからないけどたぶん。

 というか、可愛い生き物だと信じたい・・・んだけど・・・。


「きゅーーーーーーー!!!」


 また鳴いているけれど。


「なんなの~!?降りて~~!???」


「きゅーーーーー!!!!」


 モフモフを掴もうとするが、手をよけられ絶妙に後ろに回られる。

 真後ろ過ぎて手も届かないし毛玉はぴったりと頭の裏に張り付いている。

 無理に取る事は出来るけど、毛をわしづかみにするのも忍びない。

 

 しかしながら、頭のモフモフ気持ちい・・・。


 クッ・・・・!このままじゃ堕落してしまう・・・!

 こうなったら奥の手!


 影移動を発動させる。ごく短時間でいいから5秒くらい。


 フッと重みが消え、体をすり抜けて毛玉が地面に落ちるのが分かる。


 ちょっと毛玉の後ろにずれて、影移動を解除。


 目の前にいるのは、何かプルプル震えてるやはり毛玉だった。

 色は柔らかそうな薄い茶色をしている。

 そしてお腹のあたりは白い。

 直径45センチくらいありそうだけど、これ中身どこまでだろうなぁ?


 毛玉が気づく前に、そっと抱き上げる。

 もふぅ・・・ッと物凄く手が沈む。


 うわぁ・・・凄い毛玉だなぁ。

 暴れることを想定したけど、毛玉は抱き上げても大人しくしていた。



 どうやら裏側だったらしくて、反対側から「きゅ?」


 という声が聞こえるので毛玉を回してみる。


 兎っぽいつぶらな瞳と、長い垂れた耳がある。

 口はどっちかって言うとミッフィーちゃん的な感じもするけど兎口だ。

 ただ、概ね毛に埋もれがちだ。

 だから、ぱっと見毛玉にしか見えない。


「君、誰?」


 思わず兎に聞いてしまう。


 いや、兎でいいんだよね・・・?

 それとも、これも魔物?


「きゅぅうう~・・・・?」


 と首をかしげる。どこが首だかわからないけれど目が傾いだから首がきっと傾いだんだろう。

 小動物ならではの可愛さに一緒に首を傾けてたことにハッと気づく。


 これはすごいチャームのスキルだ・・・!

 よもや敵の魔物なのでは・・・・?という疑惑も持ったが、第六感さんは仕事をしないので、とりあえず直接的危険はないのだろうか・・・?


 そういえば、さっきの蟻に火をつけるところでも特に第六感は働かなかったしな?



 兎君は何を聞いても「きゅ~?」しか言わないので、とりあえず、抱えて歩くことにする。



 ここまで異常なし・・・!



 ・・・でいいんだよね?


作者の欲望が詰まっている毛玉。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ