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ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
7月 ~ファルディアと日常~
20/444

2-19 狩りの後と、狩りのはじめ

 今度こそ街に出て武器防具を買い・・・慣れたら城に行って・・・って思ってたけど、その前にドワーフシスター娘テルメさんに怒られるという高度かつ高尚な任務がある事を忘れていた。


「まったく、サクさんときたら!」


 なので今テルメさんに絶賛怒られています。

 システムなどを見てたら、テルメさんが様子を見に来てくれて、起きてたなら早く言いなさいとまた怒られ、そのままずっと怒られています。

 結局怒られてますね。


「はい・・・申し訳ありません。」


「どこに怪我が治ったばかりのレベル2のひよっこが中級冒険者をかばって倒れる人がいますか!」


「はい・・・申し訳ございません。」


「もう二度と無茶はしないでくださいね!」


「なるべく無茶しない方向で頑張りますが、同じことがあったらまたやると思います。」


「あ~~な~~~た~~~という人はぁあ~~~~~!!!」

 だって仕方ないよね。テルメさんみたいないい人に嘘つきたくないしね。


「なので、極力無理しないような状況になるように頑張ります・・・?」


 その自分の答えに「ハァ」と盛大な溜息をつくテルメさん。

 ご苦労様です。


「もういいです。諦めました。」


「はあぁ・・・。」

 次来たときは治療してもらえないかも。悲しい。


「今日は何処に行かれるのですか?」


「今日は、スキルなどを覚えたので、昨日の感覚を思い出してエルフの森でウサギ狩りを頑張ってみようかと思います。あ、薬草もあったら持ってきたいです。」


 折角昨日、影さんズと遠足行ったもんね?

 感覚を覚えている間に慣れておきたい。あと、影変化と影移動と影硬質化の練習をしたい。


「その前に行くところがあるでしょう?」


「え?城ですか?」


 確かにチュートリアルをまだしてないから、そっちが先でもいいかもしれない。


「違いますよ、冒険者ギルドです。」



 ―――――――――


 テルメさんに言われるまま、訳の分からない状態で冒険者ギルドに来ると、人数は少なかったが影族の人たちが飲んでおり、自分を見た瞬間集まってきてベタベタいろんな人に触られた。

 ナニゴト!?ナニゴト!???


『お前無事だったか!』『突然倒れるなよ!びっくりするだろ!』『よかったよかった(´;ω;`)』『影族が貧血になるとか聞いたことねぇぞ!』『まず血がねーしなー』『貧血じゃなくて貧ONTだろ』『それあっぶねーな』『やばい』『まぁ飲めや』


 あかん。なんか泣き上戸な人まで混じってるいる?

 昼間からこの人たち何してるんだろう・・・。よく考えたらこの人たちにとっては夜中って感じ?丁度お昼くらいだし夜中の1時位っていう感覚なのかな。そろそろお開きでもいい時間帯じゃないかな?


「えーとこれはどういう・・・?」


 集まりなのですか~?と思ったが、

『『『お前の事待ってた!』』』とのこと。

 途中で倒れちゃったのは悪かったですが、何か反省会か何かでしょうか。

 それとも、お説教?


『サクの無事な顔も見れたし~』『もう一度飲みなおすぞー!』『『おーーー!!』』『お前も飲めや』


「あ、自分飲めないので結構です。」

 未成年の飲酒はVRでも禁止されている。


『『『『ノリがわりぃいいい~~~~~!!!』』』と叫ばれるが、こればかりは仕方ない。


「じゃあお茶で。」


 折衷案としてお茶をいただくことにする。

 あ、意外とこのお茶おいしいな。


『『『『サクの快気祝いに~カンパーイ!!!!』』』』


「かんぱーい?」


 これ自分の快気祝いの集まりなんです?でも多分元気になる前から飲んでますよね?


『コホン、俺たちがここに残ったのはほかでもない。』

『サクに渡すもんがあったからさー』

『ホントお前ラッキーなのかアンラッキーなのか意味が分からねぇな?』

『これに関してはラッキーなんじゃない?』


 コトン。


 テーブルの上に置かれたのは、短剣より長く片手剣より短いものだった。

 刃渡り40㎝程、刃幅が3cmくらいの両刃である。

 細かな意匠。

 一番目につくのは柄の所に円があり、そこに内側に曲線と縦線一本と内側に細かい装飾の文様。王様の文様をどことなく思い出させもするんだが、こっちの国だとこういうの多いのかな?正式な紋章ってやつ?多分モチーフは月と扉じゃないかなって?感じだけど・・・。

 そして、刃の部分は見た事のない包丁より白っぽい光沢を放つ金属。

 とても凝っていて、一目で安いものではないことが分かる。


「これは?」


『あの時、アインが宣誓しただろ?『ここで出た一番いい武器はサクの物とする』って。俺たちもゴブリンがこんなものを隠し持ってるなんて全く思わなかったからとんだ大損だw!』


 ・・・え!?

 もしかして、この剣くれるっていうの?!そんなバカな。

 あの時自分はほとんど何もしてなかったのに。



『良くってゴブリンが衛兵からかっぱらった鋼の剣位だよなー』

『でも、影族の間で宣誓はとても重い。きっと、サクの元に行くように、このタイミングでその剣が出たんだろう。』

『実際、サクがいなかったら討伐はもっと遅れててその間にその剣持った奴がトンズラしてたかもしれないしな。』

『案外、黒ローブもその剣を狙ってたのかもよ?』

『宣誓は絶対だ。とりあえず一先ずその剣はお前の物ということになった。これは昨日のメンツの総意だ。』

『トラブルのもとになるかもしれないがなw』

『まぁ受け取っておけ。』


「こんないい剣・・・」

 自分にはきっともったいない。と思い、剣に触れる。

 ・・・あれ?この剣もしかして・・・


『ああ、その剣はな、『双剣』というのだ。1つの鞘に二つの剣が収まるようにできている。』

『一風変わった武器だしなぁ、使いこなすのが大変そう。』

『でも、今から武器を覚えるんだったらコレでもいいんじゃない?せっかくあるし。』


「自分にはもったいない・・・。」


 昨日の黒ローブだって気づいたのは偶然だし、アインさんが居たからたまたまうまくいっただけで、自分も死んでたかもしれない。完全に自己満足なのに、ゴブリンに至っては一匹も倒していないのに。


『お前、俺たちを黒ローブから庇っただろ?』

『どんなに小さくても、弱くても、お前は俺たちの仲間だという事を自分で示した。』

『だから、俺たちも仲間との約束は守る。』

『その証だ。受け取れ。』


 影族さんたちの気持ちが嬉しくて、

 双剣をもらえたことも嬉しかったけれど、仲間だって言ってくれた言葉が、ただ嬉しくて。


「小さいだけは余計です。訂正してください。」

 泣かない様に目に力をいれて、軽口をたたいた。





 ―――――――


 結局その後ゲームの中で2時間ばかり宴会に付き合い、影族さんの愚痴など聞いて楽しく(?)過ごした。

 例の自分が足蹴りにした黒ローブはアインさんのおかげでケガだけして命の別状はなかったらしいがムチウチにはなったらしい。これからお城で尋問を受けるらしい。魔法使いってVITがないから、何とかSTR,AGI極振りの自分でもどうにか不意打ちでダメージを与えられたんだろうなぁ。

 所持金が0なので、オススメの金策があるか聞いたところ、初心者はやはり経験値を上げつつエルフの森で採取しながら魔物を間引くのが一番いいとのこと。ただ、採取に関してはエルフの管轄でもあるのであまり取ると怒られるらしい。兎の毛皮や身が売れるので、それで少しずつ稼ぐのが無難らしい。

 あと、夜ならともかく昼間に行くなら一応エルフの村長にも顔を出しておいた方がいいとのこと。


 あらかた影族さんたちがつぶれたり帰ったりして収拾が付いたのが15時くらい。帰れない人はギルドの休憩所に放り込んでいるのだというので、手伝う。


 ちなみに、お茶代はしっかりとギルドの借金代にツケられていた。

 世知辛い世の中である。



 今日はリアル17時にはログアウトしたいので、ゲーム時間だとあと5時間きったところかな・・・?宿もないし金もない。今度こそ野宿かもしれないが、安全そうな場所を探さなければ。


 まず、地上を目指そう。

 それで、エルフの村長さんに挨拶して、エルフの森で狩りをしよう!



 ・・・・。



 ・・・・。



 ・・・・。



 どうやって行くの?




 前回はアインさんに担がれて多分影移動してしまったので、行き方が全然分からない。


 とりあえず、ギルド受付のお姉さんに聞いてみることにする。

 前回のドワーフさんとは違って今度は人族の色気がある黒髪流し目のお姉さんだった。


 上に行く方法が分からないと言うと爆笑された。


 ――――


 ギルド受付のお姉さんが言うには、城を左手に見て正面に来る街の端の壁に階段があるらしい。門番が居るからわかりやすいとのこと。


 行ってみると、影族の人が2人いて、一人は昨日ギルドで飲んでた人だった。ギルドカードを見せ、エルフの森に狩りに行く旨を伝えると『頑張れよ!』と応援してくれて嬉しくなる。


 階段が思った以上に凄くきつい。

 よく考えたらこの洞窟、城まですっぽり入っているので、25メートルくらいの高さはありそう。7階まで連続階段ダッシュするようなものだろうか。


 確かにVITたいきゅうが自分は少なすぎるかも。とてもきつい。


 ヒイヒイ言いながらなんとか上がり切る。


 こちらの出口にも門番の人がいて、その人はエルフだった。

 はじめて見たが、やはり耳が尖っていて金髪で弓を持っていた。

 ファンタジーっぽくてテンションが上がる。

 村長に挨拶したほうが良いと言われたんですがどこにいけばいいですか?と門番の人に伺ってみると、青い屋根の家に向かうと良いと教えてくれた。

 お礼を言って門を出る。


 門を出ると、そこは一つの石造りの建物の中で、内装は木材が使用されてる温かみのある空間だった。


 やはり飲み屋兼食堂の様で、この時間だとあまり人はいないが遅い昼を食べている冒険者風の人族とか飲んだくれているエルフの人もチラチラいる。


 興味もあったが、今は青い屋根の家を目指す。


 既に街の大半は木に占められており、所々切り開かれたところは畑がなってる空間だった。


 森の遊歩道の様に主に木でできた道を歩き、時々土の上を歩き、青い屋根を目指す。だが直線で行けるわけではなく、あっちにふらっと回り込んだり、思ってもない場所に出たりして意外と思っていたより遠い。時折エルフの人に会うので、こんにちはと挨拶をすると、少し驚かれるが、こんにちはと挨拶が返ってくる。時折、こんなところで何してるんだと聞かれるので村長の所に挨拶に行きたいが、道が難しいと言うと笑われて、分かりやすい場所まで送ってってくれる人もいた。そんなこんなで10分ほど歩いて漸く村長の家にたどり着く。


 村長の家は他の家より少し大きかった。かといってあからさまに豪華って感じでもない。野草がたくさん庭に生えていて、小ぎれいに手入れされている。家に寄り添うように一本の大樹が生えており、その大樹をの根傷つけないようにだろう、木の遊歩道が設置されていたりする。利便性よりも木の成長を大事にしていて、本当にこの木を大切にしてるんだなと暖かな気持ちになる。

「こんにちはー。」

 敷地前で声をかけても聞こえないのだろう。誰も出ないので、玄関の方まで入っていく。

 玄関先でもう一度声をかけると、若い濃紺のメイド服の様な物を着た女の子が出てきてびっくりする。エルフのメイドさん・・・?ハウスキーパーとかなんだろうけど、濃紺の長袖と、踝までの長いロングスカート。白のエプロン。白のハンカチで頭を覆っている。

「ど、どちらさまですか!?」

 自分に怯えた様に尋ねる彼女に驚き、慌てて村長さんに挨拶をしに来たことを告げる。

 彼女はしばらくお待ちくださいといって、ほっかむりを外して慌てて家の奥に向かう。・・・お掃除中だったのかな。悪い事しかな。

 待つこと数分。人間だと70くらいに見える矍鑠としたおじいさんが出てきた。


「ホッホッホ、貴方様が挨拶したいとわざわざワシを訪ねてくださった方かね?」


 話し方もなんかどこかの師匠!って感じだ。

 うちの爺さんは威圧的な人だったので、自然に村長も()()()()人が出てくるような気がしていたが全然違う感じだ。


「あ、お忙しい所お時間をいただきまして申し訳ありません。今度アルシオンで冒険者として登録させていただいたSakuといいます。冒険者の先輩方がエルフの森で狩りをするなら一度村長さんに挨拶をした方がいいと言ってましたので、ご挨拶に伺いました。よろしくお願いします。」


 と言って、ペコリと頭を下げる。


「お若いのにしっかりなさってるのう。ワシは、このエルフの村の代表をしておる村長のマパーチェじゃ。よろしくお願い申し上げる。こんな方が冒険者をしてくださるなら安心じゃのう。エルフの森はエルフが管理している範囲の森になりましての。時と場合によっては、減ってしまう実りや増えすぎてしまうモンスターなども出ますので、時期によって狩猟禁止に指定されたり、高額取引されたりするですのじゃ。そういったものは必ず冒険者ギルドに通達されてますので、森に入る前にはギルドの方で何か変わったことがないかチェックしてくだされ。」


 と、長老。なるほどね。そういった変化もあるのかあ。細かいなぁVR。


「わかりました。・・・ちなみに、ここに来る前に冒険者ギルドで特に何も言われなかったのですが、現在特に取ることが禁止されてるものはありますか?」


「今現在はないので安心してくだされ。丁度昨日、懸案だったゴブリンが夜中にノリで影族の人達に退治されましたからのぉ。」


 フォッフォッフォと笑う長老。すみません、それ半分自分のせいです・・・たぶん。


「おお、あなたも影族でしたのぉ。お話が上手で忘れておりましたわ。どうですか?こんなところで立ち話もなんですから、中でお茶でもされていきますかな?」


 と誘ってくださる。

 有難うございます。と頭を下げる。


「ですが、治療代の方でちょっと借金がありまして、森に入って少し頑張ってみたいので今回はご遠慮させていただきます。」


「お若いのに大変じゃの~。そうじゃ、わしから一つ頼まれてくれんかの~?」


 長老が言うには、シップ薬に使う実が森になってるのだが、最近のゴブリン騒動でストックが減ってきているのだとのこと。もし気づいたら何個か持ってきてほしいという依頼だった。


「わかりました。現物って今お手元にありますか?」


 すぐにメイドさんが持ってきてくれる。赤く小さな実が沢山なってる南天に似た植物だ。


「森に一人で入るのは初めてなので絶対できるとは言えませんが、それでよろしければ見つけたらもってきます。」


「それくらいのノリで大丈夫じゃよ。まだ少しならストックはあるからのぅ。気を付けてな。」


 玄関先で長老とメイドさんが見送ってくれた。

 別れるときはあまりメイドさんが怯えている様子もなかったからよかった。



 そんなわけで、これから初めてソロで狩りに入る。


 ワクワクしますね!




次回投稿が諸般の事情により16日夜中の2時になります。

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