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ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
7月 ~ファルディアと日常~
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2-11 神殿2

我は(ワ・)願う(フェルフォロス・)この者をシャナ・ア・フィアー・助ける力(メティラ)を。我は(ワ・)請う(シュフル・)(ゼス・)ユイベルト(ユイベルト・)(ア・)助力を(メティラ)我は(ワ・)歌う(ポアリュシュ・)影族の(スキアー・ア・)為の(ウンス・)力を(シェリスフェ)許し(ゼリィ・ゼッタ・)給え(シュフル)傷ついた(ベデリス)この者の為に(ヴァズン・ア・フィア)力を(オント)分け(シュフル・)与えることを(ソロウゼ・タ・ス)。」


 浪々とドワーフシスターが祈りの句?魔法を紡ぐとシスターの手元に光が集まってくる。不思議な現象である。しかも、その光は力を感じさせる。まるで王様の気配の様な・・・?


【気配察知が2レベルに上がりました。】


 あ、これでもレベルが上がるのですか。ご苦労様です。

 相変わらず何もしていないのにスキルレベルだけ地味に上がっていく。


 しかも、このテルメさんの祈りの句。知らない言葉なのに意味が分かるんだよね?

 って思ったけど、そもそもファルディアでみんなが話している言葉も日本語ではなかったわけなんだけど。なんでこんなにこの祈りの句に違和感を覚えるのか逆にわからないな・・・。魔力的に何かがあるのだろうか。


 それにしても、この光。とても暖かい。

 王様の気配なのに癒されてるのは若干不本意であるのだが、何かとても安心する。このまま寝てしまいそうな、日向ぼっこの様な感じだ。勝手に癒されていると、何かがするっと自分の中に入ってくるのが分かる。これが・・・存在力?確かに力なんだな?



高位治癒(ラオ・ヤーシュリス)



 などと思ってたら、テルメさんが集めていた明かりがフゥ・・・ッと消えていく。名残惜しさを感じていると、ふと自分の手が元に戻っていることに今更気づく。


「おぉ・・・・・」


 すごいね。やっと手が戻りました。

 手の代わりに借金は残りましたがね!!!


 手をぐーぱーぐーぱーするが、特に引きつれなど違和感は感じない。凄い技術だ。



「これで治療は終了になります。高位治癒魔法を使用した為、先ほど言った通り治療費は金貨15枚になります。サクさんはお支払いがすぐできないという事なので、通常でしたら詰所に連れて行くところですが、ユイベルト様のご紹介枠として特別に割賦ということにして差し上げます。これから契約書類を結んで、返済計画をちゃんと立てましょうね。ちなみに、割賦の最大値は12回までです。」


 最大12回とか生々しいなぁ・・・。


「はい、よろしくお願いします。」


「何でしたら、こちらに直接薬草を収めて頂いてもかまいませんよ。買取価格はギルドより少ないですが手間賃や何やら税金で結局はトントンといった感じですね。あとは時価や相場によって多少変動はありますが・・・。影の国はほかの国より薬草が高めですね。この国では絶対的に僧侶が足りないのと暗いので薬草が育ちにくいので。」


 ああ・・・・そうかーここは影の国だった。ということは、この辺じゃ薬草はとれないのかなぁ。でも、遠くで働いてお金に変えて持ってくる手段もあるし、まぁいろいろ見て回って考えようか。


「とりあえず、色々見てみて自分の合った方法を考えてみます。」


「それがよろしいでしょう。」

 と、テルメさんが微笑を浮かべる。


 この後、テルメさんに書類を作ってもらい(しかも読めなかった。文字さんと同じ文字なのに・・・。)、有難いことにご紹介枠として利子が無い事を確認した後、12回割賦を結ばせてもらった。1回目の初回は遅れること伝えたけれど、とりあえず1週間後できる範囲で一回収めることも約束した。


 リアル時間でログアウトの時間が迫っていたので、ついでに宿は何処でとればいいのか確認したら今日くらいは神殿内の客間に泊めてくれるという事なので有難くお願いすることにする。


 テルメさんは用事があるという事なので、あの時お茶を飲んでた別のシスターが客間へと案内してくれる。

 ベッド一つにサイドボードが一つ。シンプルだけれども掃除が行き届いて温かみを感じる部屋だ。シスターに案内してくれたお礼をいい、彼女が出て行った後、すぐベッドへ飛び込んでしまう。太陽の香りがふんわりとする。心地いい。

 こういう時、影族って服着てないし?楽だなぁって思う。・・・あれ?王様配下のほかの影族の人は服着てたけど、自分、もしかして、これ全裸って事?


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 色々あって、とてもとても疲れてしまった。


 それでは、おやすみなさい―――。






 ――――――――――――――――――――――――――――



「カヅキぃ~~夕飯~~~~~!」

 ログアウトして潜入機械を片付けていると、1階からばーちゃんの声がした。


「わかった~~~~!」

 ばーちゃんは耳が遠いので大きめに返事をしておく。

 時間は19時。丁度良かったようだ。


 今日の夕食はキュウリ味噌和えに茄子の煮びたし、トマトと玉ねぎのカルパッチョ。セリのお浸しに、だし巻き卵、そして突然のポテトサラダ。ポテトサラダはきっと貰い物だろう。食卓に上がる野菜が夏だなぁといった感じになってきた。


「いただきます~」

「あい、召し上がれ。」

 キュウリをかじってみたら、味噌がとても美味しいことにびっくりする。まさかの味噌メインだった。


「カヅキ。」

「う~ん?」

 ポテトサラダ。懐かしい。だがこの味、誰が作ったんだろう?過去何回か食べたことがある味なのに、何処の家の味か思い出せないのでモヤモヤする。だがここまで来たら自力で思い出してみたいところ。


「ブィアールはどうだった?」

 ポテトサラダの事を考えるのをやめ、ばーちゃんを見る。ちょっと真面目な顔をしていた。


「別に。」


 別にってことはないだろう。別にっていうのは。でも、かといってそれなりに楽しくてワクワクして酷い目に合って、でもゲームってそういうものじゃないかな?って思うと普通の事に思えてしまって、結局「別に」に着地してしまう。でも、ばーちゃんが聞きたいのはきっとそういう事じゃないので、もう少し伝わる言葉を考えてみる。


「・・・特に変わったことはないけれど、思ったよりは楽しめそうかな・・・?」


 首をひねりながら答えた自分に、「そうけ。」と、ばーちゃんは嬉しそうに笑う。


 その後、ばーちゃんと他愛のないことを喋りながら、夕飯を終える。食後の皿洗いは自分の仕事なのできっちり済ます。


「カヅキ~風呂湧いてるぞー」


「わかったーーー!」


 お言葉に甘えて先に風呂に入り終わると21時前だった。この時間から社会人の人たちも帰ってきてファルディアは今まさに混んでるところだろう。何たってサービス初日だし。お祭りに参加したい気も凄くするが、明日の朝は畑に水をまかなければいけないので早く寝なければならない。自分はゲームはがっつり長時間やりたいタイプなので、今からログインしても2時間も居られないので今日はやめておくことにする。よって、長くゲームができる様に学校の先の課題を終わらせたり、塾に行っていない分復習をしておくことにする。夏休みに入ったらどの程度勉強しておけば間に合うかなぁ。1時間半くらいで丁度きりが良かったので終了する。明日は土曜日なので、家の仕事が終わったらがっつりゲームをやるのだ・・・!


 寝る前に充電しようとして普段あまり使わないスマフォを見ると、ファルディアを強烈に勧めてきたきた友達の内田から連絡が来ていた。時間は1時間前くらい。あいつの家はサラリーマン家庭だから、きっと今もがっつりインしているのだろう。

 内田からは一言『ファルディアどうだった?』とのメッセージ。どうして、ばーちゃんといい内田といい、どうだったかと聞きたがるのか。

 どうだったのか・・・・深く考えると、よくわからない。とてもワクワクしたのは本当だけど・・・・冷静に考えてみて、PKからのイベントに次ぐイベントで、実はまだステータス画面すら一度も見ていない事に気づく。はじめて使ったシステムがブラックリストっていうね・・・。



 だけど、


 だけど。


 多分明日もきっとログインすると思う。それ以降の事は分からないけれど。




『分からん。チュートリアルにすらたどり着けなかった。明日早いからもう寝る。おやすみ』

 と、内田にはメッセージを返信しておく。



 明日は六時起きである。

 そんなに広い畑じゃないので水やりは大変じゃないけれど、自分がやらないでばーちゃんにやらすのは罪悪感にかられる。



 さて、リアルでも寝るのは変な感じだが、もう一度、おやすみなさい。






 ――――――あのポテトサラダ、結局どこの家からの貰い物だろう・・・・。




ステータス考えるより、魔法言語を考える方が楽しかったりします。

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